あなたが笑えば~愛憐~9(完)

ガンソクが出ていくと続いて男達も出ていき、嘘のように静まり返った部屋はユンホとチャンミン、そしてジノだけになった。ジノはどう声を掛けていいのか迷い、結局壁際で言葉なく立っていた。「…チャンミン。チャンミナ、…、っ、」チャンミンの前に膝をつき、だらりと垂れた両腕を鷲掴む。抑えた低い声で冷静を装ってはいるがユンホの顔色は悪く、ジノは見てられないと思う。「…ユノ?」「俺が、…俺がもう一度父さんを説得するから。な...

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あなたが笑えば~愛憐~8

      その日は突然やってきた。 チャンミンがこの家に人質として来てから3カ月が経とうという長雨が続く梅雨の夜だった。「っ、ユノ!いるか、おい!」勢いよく玄関の引き戸が開けられ、転がるようにやって来たのはジノだ。ユンホはといえばチャンミンにねだられ、かるた遊びにつき合わされていた。平仮名ばかりの取り札とは違い、読み札は漢字混じりのうえ行書体だから読みにくい。ユンホの役目はもっぱら読み手だった。「...

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あなたが笑えば~愛憐~7

「チャンミン!チャンミナ~!」何の挨拶もなくドタバタ入ってきたのはハイルだった。チャンミンはユンホの離れではなくエナの部屋に来ていて、あちこち探したのか息せき切って文句言いたげにやってくる。「もうっ、探したろ!せっかくチャンミンの為に給食のパンを持ってきてやったのに!」「ぅわぁ、ホント?///」別にこの家でパンすら食べさせてもらえないわけではない。むしろ細っこいチャンミンを皆で太らせようとこれでもかと食べ...

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あなたが笑えば~愛憐~6

8歳といえば本来なら小学3年生。それなのにチャンミンはまったく読み書きができなかった。ずっとあの小さな部屋に閉じこめられていたんだ。それも仕方のないことかとユンホは読み書きを教えはじめた。「チャンミン、すごいな。あっという間に平仮名を覚えた。」「これでユノへ手紙が書けるね。」「あ、ああ、…」言うことがいちいち可愛くて困る。そして本当に毎日ユンホへ手紙をよこすのだから、そのマメさにもユンホはたじたじだった...

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あなたが笑えば~愛憐~5

 ユンホの思いは取りあえずチャンミンへ伝わったらしい。翌日からたどたどしくではあったけど誰とでも話すようになった。伏し目がちだったのが少しずつ相手の目を見て喋るようになった。バッサリと切った髪の毛はもうチャンミンの澄んだ眸を隠さない。くっきりとした二重瞼にくるんとカールした長いまつ毛。それが笑うとふにゃり崩れる。その愛らしいさまに誰もが好感をもった。おいしいお菓子があるぞとコワモテの男達が入れ替わ...

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