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Baby don't cry19

油でギトギトのキッチンエプロンはなんとか外して。それでも早朝からドーナツ製造をしていた制服はグレーズの白いかたまりやシュガーの粉でよごれ、道行く人が振り返るほど甘い匂いをはなっていた。「わっ、…ちょっと、ユノさ、」それなのに文字どおり放り込まれるように助手席へ乗せられ、こんな高級シート、汚したらたまらないと腰を浮かせるくらいに恐々縮こまっていたのに、「なにやってんだ、危ないだろ。」再度助手席ドアを開...

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Baby don't cry18

最後に誰かを好きになったのはいつだろう。友人関係からなんとなく盛り上って付き合いだしたり、人恋しい時期にタイミングよく告白されれば受け入れもした。まだ若い僕の恋愛はおままごとのようで、会えない日の寂しさすら恋を演出するスパイスだったのに。「最近オーナー来ないよな?」何気なく呟いたのは僕と入れ代わりに入店したソジュンで、だからといって困るわけじゃなく逆に細かいチェックをされないからせいせいしているよ...

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Baby don't cry17

夜景が煌めく時間帯はとうに過ぎ、寝静まったビル群の上空をチラチラと星が瞬いている。 雑誌で見て飲んでみたいと軽く話した高級ワインが今目の前にあって、それは当然のように美味しかった。ぐいぐいグラスを空けていく僕を嬉しそうに微笑むユノさんがいて、それが僕にも伝染するのか高揚した気分のままつい飲み過ぎてしまう。僕の思い出話を聞きたいとユノさんは言うけど、そんなに楽しいものじゃない。それに調査済みだろ? ...

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Baby don't cry16

そうか、テソンはジウのことが好きだったのか。僕は結構お似合いの2人を頭のなかで並べて意味もなくうなずいていた。店長にとってショップ内の恋愛は全く無関係ではない。付き合いはじめの浮かれた時期はミスが多発するし、別れたといっては急にバイトを辞めたりするからだ。 でもまぁ、テソンとジウなら勤務時間がズレてるから大丈夫だろう、と付き合ってもいないのに別れた時の心配をしてしまう薄情な僕だが実際これまで何度も...

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Baby don't cry15

──明日は休みだろ。今夜ラストであがったら来いよ。その電話を受けながら、僕はユノさんがしっかりシフトを把握してると確信した。やはり僕が翌日早朝出勤なのを知っていてわざとドーナツトレーニングを指定していたのだ。それは僕をマンションへ呼び寄せたいとしか思えないし、そう思いたい僕がいる。ヨネさんが言っていた、僕を弟のようにというのはあながち間違いじゃないかもしれない。でも、ユノさん。僕はあなたを兄のように...

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