Strawberry Candle(41)

~チャンミンside~「チャンミナ。・・・どういう事?」玄関ホールへ降りてくる足どりが徐々に重くなり、僕の数メートル前で完全に直立不動になった人。不機嫌さを隠そうともせず僕を睨んでくる。予想通りの反応に心の中で大きなため息をついた。「ユンホ坊ちゃん!元はと言えば坊ちゃんが原因なんですよ。」隣から割って入ったのは初めて見るカジュアルなスヒさん、なんてったってリュックまで背負ってる。「午後からの会議に出席する...

Read More

Say Hello (21)

~チャンミンside ~─────まあまあと、宥めるように腕を引かれ連れていかれたのは寝室。一瞬我に返った僕の肩をストンと押されベッドに腰かけるように座らされた。「伯父さんって、ずいぶん前に亡くなった父方の伯父、なんだな?」「亡くなる直前に籍を抜いてたし、何度も住所を変わってるからなかなか繋がらなかった。」「え?」───籍を抜いてた?初めて聞くそれにかなり動揺していたのだと思う。ギュッと僕の手を握って。「それで、やけ酒の...

Read More

Strawberry Candle(40)

~チャンミンside~「ユ、・・ユンホ。・・なに馬鹿げたことを、・・。」心なしか震える、低い声。驚きと動揺、・・それがみるみる怒りの表情に変わっていく。「・・おまえ、それは正気で言っているのか?」「勿論です。」一切の迷いない即答に。また呼吸さえ出来ないくらいの張りつめた静寂。真っ直ぐに父親を見据える愛おしい人を。僕はあとどれくらいこの人に尽くしたらこれほどの愛に応えられるのか、と。そう思うほどの覚悟を見せ...

Read More

Say Hello (20)

~チャンミンside ~──────クラクラする、後頭部を支える片手が、くしゃり髪を梳く指先まで敏感に感じて。もう片方が器用にシャツのボタンを外すのにも感じる。スルッと落ちて露になった肩に唇を滑らして。柔らかなそれは絶妙な強弱をつけて痺れるような快感をひきだしていく。朦朧とした頭では今の現状を把握することなんて出来なくて。「や、…あんた、っ、……すげ、慣れて、……っ…」思わず口をついたセリフに目眩がするほど後悔したり。「…...

Read More

Strawberry Candle(39)

 ~チャンミンside~「──ボストン支社の大幅な業績の低迷、労働生産性の著しい低下について、・・・勿論、ご存知だと思いますが。」そう言ってひとつめのファイルを開き説明しだしたユノ。そこには過去5年間四半期に分けた売上の推移、経常利益から営業外収支の数字まで事細かく記されグラフにされていた。「主力である鉄鋼部門での不振がかなり深刻です。アメリカ新車販売の低迷で鋼材需要が冷えこみ鋼材加工も苦戦してます。それに通...

Read More

Say Hello (19)

~チャンミンside ~────しまったっ!ロッカーの鍵を受け取り駅に向かったところで気づいた。絶対に、何よりも、忘れてならないもの、───書き上げた小説の原稿!それを忘れてしまうなんて。まだ夕方だ、急いで取りに戻らなければ。罠を仕掛けられた会合にみすみす出席するとは思えないから、いつ帰ってきてもおかしくないし。「あ、……。」無操作に脱ぎ捨てた革靴。帰ってきてる?つい習慣でそれを揃えてしまい、そんな自分にイラッとしつ...

Read More

Strawberry Candle(38)

~チャンミンside~「・・・どうして、・・スーツ?」大切な話があるから部屋で待ってて、と約束した人がなぜかスーツ姿で現れた。両手で持ちきれないほどのファイルを手に。「悪い、・・ちょっと手伝って?」と少しだけ渡されたファイルを持って促されるまま廊下を歩いていく。隣を歩く端正な横顔。少しだけ緊張の色が見て取れるのを、そのわけを聞きたいのに有無を言わせない雰囲気。「ユノ?」ふと立ち止まった先、ユノの目線は小窓...

Read More

Say Hello (18)

~チャンミンside ~シーンと静まり返った部屋。乱れたシーツをなぞったら、まだ仄かに温かいのが悲しかった。結局ヤツからは何も聞きだせないまま。すぐ叔父に報告しなければ、と思うのに動く事ができなかった。案外着痩せするヤツのがっしりとした胸。狂おしいほどに求める口づけ。乱暴にしてくれたらもっと違っていたのかもしれない。冷たく突き放して罵ってくれたらどんなにか。首筋に、肩に、胸に、何度も往復し触れる唇やその長く...

Read More

Strawberry Candle(37)

~チャンミンside~それからの僕らは穏やかな日々を過ごした。相変わらず仕事が忙しそうなユノは、時折疲れからか全く喋らない日もあったけど。それでも時間を見つけては一緒にいた。ソファーで本を読む僕に凭れかかるユノ。「そんなに疲れてるなら部屋で寝てきたらどうですか?」冗談じゃなく本当に心配して言ってるのに。「もう少し。」と、言葉少なに。そしてその──もう少し、が呆れるほど長いのも日常だった。ユノが早く帰宅した日...

Read More

Say Hello (17)

 ~チャンミンside~ほんの少し開いたドアから漏れる廊下のあかり。それを背にしたヤツの表情はまるで見えないのに。深い怒りと戸惑いが刺すように僕を責める。「……ハァ、…ハァ、…ん、…や、っ、…」必死で捩ろうと逃げる体を、しっかり縫いとめられてまるで自由がきかない。首筋をなぞっていた舌が鎖骨へとおりていく。その窪みまで丁寧に舐めとる仕草に。無性に涙がこみあげてきた。────それじゃあ駄目だよ、チョンユンホ。僕が計画的に近づ...

Read More