あなたが笑えば~最愛~31

「…何もなかったというのは、嘘か?」2人きりになった部屋で静かにユンホが言う。チャンミンはうつ向いたまま首を振った。だって本当に何もなかった。ああ、…でも、何もではない。キスをされた、ユンホの痕が残る身体を舐めるように見られた、首筋をガンソクの唇が這った。チャンミンはどう言えばいいのか分からない。ガンソクに抱かれてもいいと、覚悟し抵抗をやめた時点で抱かれたのと一緒じゃないかと思う。でもそれはユンホを諦...

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あなたが笑えば~最愛~30

 会社へ戻るというガンソクとは店で別れ、チャンミンはひとり屋敷の前で車を降りる。ユンホが帰ってるかもしれないと、チャンミンは足早に離れまでの道のりを急いだ。早く会いたい、会いたくて会いたくて堪らない。一度はガンソクに抱かれる覚悟をしたチャンミンだったが、なぜかガンソクはチャンミンを抱かなかった。頭を撫でる手が優しくて、いつガンソクが自分に覆い被さってくるのだろうと目を閉じ震えるこぶしを握っていたら...

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あなたが笑えば~最愛~29

ユンホは用意されていたハイヤーへ女を乗せ、隣に自分も乗り込む。「家まで送る。どこへ向かえばいい?」あっさりと言うユンホへ女は驚きの表情を見せた。まさかこのまま帰されるとは思っていなかったから焦ったようにユンホの腕を引く。腕を絡め体を密着するがユンホの反応がまるでない。「まさか本当に帰すつもり?アフター付きの契約なのよ?このまま何もせず帰れるわけないじゃない。」会場を離れ若いユンホと2人きりという気安さ...

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あなたが笑えば~最愛~28

ユンホはうんざりしていた。今夜出席する組の幹部の名前から経歴まで事前にすべて覚え準備は万全なはずだったのだが、それが大して役に立つことなく懇親会はお開きになろうとしている。最初こそ大勢の幹部連中に囲まれ質問攻めにあったり賛辞を送られたりしたユンホだったが、それも酒が進むにつれひとりに対してひとり宛がわれた接待役の女性と楽しむ酔っ払いを眺めるだけの集まりになった。それならそうとチャンスを見計らって脱...

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あなたが笑えば~最愛~27

暮れかけた街並みを車のウインドーガラス越しに眺めた。景色を楽しむ余裕などチャンミンにはないが、何かしていないと不安なのだ。強がってみたものの8歳で初めて対面して以来チャンミンはガンソクの前ではひどく緊張してしまう。これまで何年も続いている月に一度の食事会では、ガンソクからユンホに似た箇所を探しては気持ちを落ち着かせてきた。涼しげな目元が似てる。あまり声に出して笑うことのないガンソクだったが、時々思...

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あなたが笑えば~最愛~26

吐く息さえ凍りそうな夜道を、くっきりと輪郭を露にした月が照らす。足早に遠ざかる背中を眺め、ユンホの小さくついた溜め息はひどく硬質で、澄みきった空気とは裏腹に重く落胆に沈んでいた。 上着もなしで玄関に突っ立ったままのユンホを部屋へ連れ戻したいチャンミンだが、いつまでも動こうとしない背中へ声を掛けるのも憚れるのだ。だからそっとユンホの背中へ身体を寄せた。両手を添え、コツンと額を合わせる。煌々とした月が...

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あなたが笑えば~最愛~25

「…ユノが、あまり無茶をしませんように、…」そっと胸にあてたしおりをチャンミンはゆっくりとユンホへ差し出した。ほんの少し濡れた睫毛がきらきらと照明に反射して、嬉しそうな微笑みもお返しとばかり要求してくる手のひらも愛しくて堪らないとユンホは思う。「お前も、…無理するな。嫌なら今からだって俺が話をつけてやるぞ?」チャンミンへ自分のしおりを渡しながら思わずユンホは言ってしまった。困ったように笑うチャンミン。そう...

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あなたが笑えば~最愛~24

月に一度、ガンソクがチャンミンを食事に連れていく日。その前日にユンホはロジンから忌々しい電話を受けていた。 明日、同系列の組長主催の親睦会へガンソクの代理で出席するロジンのお供をしろと言うのだ。立場上若頭の指示に背くことは許されず、その日何があるのかわかっていて敢えてユンホを指名したのだとユンホは苛立ちが抑えられない。「若頭、貴方は意地悪だ。」つい言ってしまったユンホへロジンはふっと笑う。「いえ、親...

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あなたが笑えば~最愛~23

「っ、ひどい兄さま、…やっぱりふざけてる!」チャンミンがついそう言ってしまうほどおどけた様子のデイルをセヨンが嗜めようとしたが、それをデイルは片手を翳して制した。「ふざけてないよ、チャンミン。俺はね、弟が可愛い。可愛いからユンホの一番の望みを叶えてやりたかったけど、それをチャンミンが考えられないと言うなら俺の提案を聞いてくれる?」「一番の望みって、…でもどうして兄さまが僕と、その、…ユノのことを知ってるの...

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あなたが笑えば~最愛~22

「チャンミンさんですね。」「え?」庭で枯れ葉を掃いていたチャンミンは寒椿の生け垣越しに掛けられた声を一瞬デイルかと勘違いした。ちょうどデイルが散歩と言っては顔をだす時間だったし、そこに立っていた男性が見た目はまったく違うのに雰囲気がどこかデイルと似ていたのだ。それも丁寧に自己紹介され合点がいく。「兄さまの秘書の方なんですね。どおりで似てると思いました。」「デイルさんと私は、…似てますか?」「似てると言うか、...

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