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あなたが笑えば~最愛~夏祭り10

ユンソクの手は魔法の手なのだろうか、とチャンミンは思う。それほど先ほどまでの険しい顔つきが柔らかく緩んだガンソクが可笑しくてならない。「ね、社長。ユノさんを褒めてましたよね?」そう言いながらユンソクの手がガンソクの背中を上下し、その度ガンソクは決まり悪そうに苦笑いしつつ仕方なくと言ったふうに話しだした。「べ、べつに褒めたわけじゃない。護衛をまいたつもりだろうが行き先などわかりきっていたしな。ただ今回...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り9

「っうう、…」「…泣くなよ、チャンミン。」「う、…な、泣いてない!」よしよしとユンホの手がチャンミンの頭を撫で、そんな子供扱いチャンミンは恥ずかしくてぶんぶんと頭を振る。隣ではハイルが、「ユノ兄が大遅刻してチャンミンを泣かせた~!」なんてふざけてソユンに脇腹をつねられていた。チャンミンはなぜユンホがこの場に現れたのかわからない。大切な仕事があったはずなのにと思うけれど、でも今は祭りの浮かれた気分に紛れて...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り8

“脅しの蛇”と恐れられる男が率いる鳳昌組のシマと隣り合わせにその事務所はあった。駅前の小さな盛り場は道を一本入っただけで薄暗く寂しい。この盛り場と裏通りの風俗店だけで食ってる組だとユンホの調べにあり、それを裏づけるような小さなビルをジノと二人で見上げていた。「鳳昌組の事務所と目と鼻の先じゃねぇか。これじゃあ鳳昌組がやたらちょっかいをかけてくるってのも頷けるな。」「ああ、あの親父は脅しのネタを見つけるん...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り7

チャンミンを借りていいか?と言われた時は驚いたチャンミンだが、自分がいてはハイルとソユンの邪魔をしてしまうと思えばジェハンの申し出は有り難かった。そしてなぜか屋台の人も祭りのスタッフさえジェハンと知り合いのようで、チャンミンは夢にまで見た本物の屋台で焼きそばを焼くとか、綿菓子を割り箸でふわっと巻くとか、そんな貴重な体験ができてわくわくしていた。「ジェハンさんって実はいい人なんですねぇ。」などと結構...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り6

「スターマインってずっと花火の名前だと思ってたんだよね、僕。」賑やかな河川敷を歩きながらチャンミンがポツリと呟き、それをソユンはイカ焼き片手に聞いていた。違うの?と開いた口がべっとり甘辛そうで、おしとやかな浴衣効果も堤防沿いにずらっと立ち並ぶ屋台を前にそう長くは続かず。「数百発の花火を連続で打ち上げる方法のことをスターマインって言うんだって。昔の手打ちとは違って今はコンピューター制御されてるから複雑...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り5

日が昇って随分経つのが障子越しでもわかる。ユンホはまだ覚醒しきれない頭で、透ける日差しの強さを閉じた眸の奥に見ていた。肌にまとわりつくような空気。もう昼が近いのだろうか。そろそろ起きなければと傾けた首筋に何かが触れた。危険を察知する能力には長けてると自負するユンホだが、これはそういう類いのものじゃない。優しく触れてラインを縁取るように移動し、ピタリと止まる。次に触れたのは鼻の頭。くにくにと押しつけ...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り4

「チャンミナ~、行くぞ!」と、エナの離れへやってきたのはハイル。紺の幾何学模様の浴衣を涼しげに着こなし、隣に立つ大輪の牡丹柄に同じく牡丹の大きな髪飾りをつけたソユンとはとてもお似合いだ。「あら、ハイル坊っちゃんたらはやいわね。まぁ!なんて可愛いの、ソユンさんてば。ハイル坊っちゃんには勿体無いわぁ。」「っ、うるせぇよ!」エナがハイルをからかうのはいつものことで、ハイルも言われ慣れてるからブツクサ言いな...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り3

正面玄関から堂々と訪ねて行けばいいと言われたけれど、屋敷を囲う木々に身を隠しこっそり垣間見る中庭の光景に勝るものはないとチャンミンは思う。日によって時間はまちまちだが、毎日のように聴こえてくる篠笛の音にチャンミンは吸い寄せられてしまう。こっそり聴いている自覚はある。だから大小の木々を縫うように近づき、大きな体を折るようにすぼめて耳をそばだてているのだ。それが例え周囲にバレバレだとしても。最初は遠慮...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り2

「夜分遅くに悪い。」あらかじめ電話で聞いていたものの、やはり深夜に訪ねられるのは歓迎できない。悪いと思うなら大人しく帰ってくれたらいいのにと思いながらエナは玄関の戸を開けた。「あと数時間もすれば勝手に起きて勝手に帰るんですから、何も今迎えに来なくても、…」本来長年仕えた組のトップに立つ男へこんな口の利き方、ひと昔前ならエナの指が飛びそうだがどうも昔からの癖が抜けず気安い口調になってしまう。「ん、…貰い物...

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あなたが笑えば~最愛~夏祭り1

真夏の暑さが地表や大気中の水分を蒸発させ、それが空へと昇り雲になる。むくむくと急激に発達した積乱雲が真っ黒なカーテンを引くのにそう時間はかからず、やがて遠くで白銀の刃が踊りだす。ドンと地響きのような音がして、ぶるっと震えたのはチャンミンで。「おや、高3にもなってまだ雷が怖いのかい?」と笑ったのはエナだった。 「べ、べつに、怖くないし、…」只でさえなで肩のチャンミンがさらに肩を落として縮こまるから、エナ...

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