HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人《15の風景》18




































チャンミンside





その日は学校が休みで、約束があるというユノさんを見送った玄関前。
ひんやりとした朝の空気に柔らかな日差しが暖かい。
ふと見ると、ジャージ姿で走るユンホくん。



「ユンホくん?」
「あ、…」


イヤホンして黙々と走ってるから周りが見えてないらしい。


「走ってるんだ?すっごい汗!」
「…体がなまるから、…」
「そっか、受験生は体力勝負だよね。」
「……。」


そのまま黙ってしまったユンホくんを、僕は構わずにいればよかったのに。
進路指導の日、ユノさんで頭いっぱいになっちゃってユンホくんを気にする余裕がなかったことや、トンカツだよなんて言っておいて食堂へ顔を出さなかったこと。
そんな負い目があったのだと思う。


「ね、高校の卒業アルバム見る?10年前のものだけど多分校舎は変わってないから。」

「ついでに水分補給していきなよ?」


なんて、気軽く誘ってしまったのがそもそも間違いだったのかもしれない。








「珈琲飲む?あ、ジュースの方がいい?」
施設の子を家へあげるのは初めて。
本当は同じ敷地内でもきっちり境界線は引かなきゃいけないから駄目なのかもしれない。

 
「…珈琲。」
それでも拗ねたように大人ぶるユンホくんを純粋に可愛いと思ってしまう。
初めての家の中をキョロキョロと半分開いた口が可愛くてつい構ってしまうんだ。





「チャンミナ、若い。」
教えてないのにあっという間に僕を見つけたユンホくん。
「…でも変わってない。」
できれば僕のことはスルーしてほしいのに、集合写真や部活や行事の写真、そこから僕を探すのに必死になってるのが可笑しくて。
「中学生のチャンミナも見たい。俺と同じ年のチャンミナが見たい。」
そう言われれば、断る理由なんてなかった。



アルバムとか、いわゆる思い出の品っぽいのは寝室のクローゼットの中に保管していた。
と言っても僕のものだけ。
ユノさんの子供時代が分かるようなものは何ひとつ無く。
「全て捨ててきた。」と言うだけで何も教えてくれない。
以前カン社長に見せてもらった写真の中のユノさんが僕の知る一番若いユノさん。
十代後半だというユノさんの笑った写真は一枚もなくて、鋭利な刃物のような鋭さと不安定な危うさ、…そして他を圧倒するような存在感と容姿。


「一枚あげようか?」と言うカン社長に、頷くことはできなかった。
僕の知るユノさんとはあまりに違いすぎて。
ユノさんの笑った写真が欲しい。
そう思うも、写真嫌いのユノさんからそれを手に入れることは簡単じゃないんだ。 


隠し撮りもうまくいった試しがない。
人の気配を敏感に察するユノさんにはすぐバレてしまうし。
「笑って?」とカメラを向けても
「機械相手に笑えるか。」と返される。
その奥にはちゃんと僕もいるのに。




という、くだらない事を考えながら伸ばした腕がクローゼットの上段を探る。
整頓されていたはずなのに雑に置かれた何かに指を引っかけたらしい。


バサバサッ、と雪崩のように落ちるアルバムやいくつかの箱。
「っ、うわぁ…!」
意表を突かれて大袈裟に驚いてしまった。
パタパタと足音がして、
「っ、チャンミナ?どうした?」
顔を出したユンホくん。



「あ、っ、や、…大したことないから、」


焦って言っても足元は乱雑に散らばった本や小物たち。
「あーあ、何やってんの?」
呆れたように近寄って片付けてくれるから、僕も慌てて片付けはじめた。



「いつもはもっとキレイにしてあるのに、…どうしてだろ、ごめん、…」
「……。」



ふとユンホくんの手が止まってるのに気づく。



「ねえ、…ここ寝室?」
「あ、…まぁ、…///」


聞くまでもなくどう見ても寝室なのが何だか恥ずかしい。


「…ベッド、…ひとつなんだ、…。」
「!!///」


どうしよう、敢えて言われると無性に恥ずかしい。


「あ、…け、喧嘩したときなんかはリビングのソファーが僕のベッドなんだけどねっ!///」
なんて馬鹿なこと口走ってしまう。


そのまま黙ってしまったユンホくんが片付け寄せたものを戻し、そのまま僕をじぃっと見つめるから。
気まずくて、
恥ずかしくて、
つい、


「ミ、ミヨンは女の子だから、…えっと、ちゃんと大切にしてあげなよ。」
などと勝手なお世話を焼いてしまい。
途端に強張った空気に失敗したと後悔してももう遅い。




「チャンミナ。」
「…う、ん?」




「俺さ、前に言ったよね。チャンミンがいなくちゃ生きていけないって。」


それは確か5年前、僕が運ばれた病院での会話。


「っ、…そ、そんな子供のときの、…
「そうだよ、…もうあの時の子供じゃない!」


突然声を荒げ僕の二の腕を掴むから、
咄嗟に振り払おうと腕に力を入れても、


「ユンホく、…っ、離し、て、」
「それでも変わらない、…ずっと、…変わらないんだ、チャンミナ。」


ビクともしない事実にショックを受け、いつもと様子の違うユンホくんに足がすくむ。


「…背はまだ敵わないけど、力なら負けない。
もう10歳の俺じゃない。ねえ、ちゃんと俺を見て?」
「ちが、…
「っ、違わない!もっと俺を見ろよっ!!」







体の奥底からしぼりだすような声。 
悲痛に歪んだ顔が心臓に突き刺さる。



僕がユンホくんにこんな顔をさせてるのかと、
悲しいのに、
目の前のユンホくんが10歳のあどけない彼ではなく、じりじりと迫る様は雄のそれで。








少しずつ後ずさる僕の腕を離すことなく、
足を引いては詰められる間隔に息をのむ。


トンッと触れたのがベッドの脚だと、
後ろに下がった勢いのまま重なるように倒れこみ沈んだシーツのなかで初めて気づいた。















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