HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人《15の風景》20








    























チャンミンside






「っ、…ユ、ユノさ、…」




上半身だけ起きあがってユノさんと視線を合わせる。
大丈夫、服は乱れてない。
ふざけていただけだと言い訳できるだろうか。



「ユノさん、…?」



感情がまるで見えない貼りついたような表情。
いつかカン社長に見せられた若い頃のユノさんのようで。
触れたら切れてしまうんじゃないかと思うほどの空気。



今だにひと言も発せず、僕の頭のてっぺんから足のつま先まで突き刺すように視線が這う。
ふと目線が止まり、それが僕の首筋に向けたものだと気づいた。
「っ、あ、…///」
すかさず片手でそこを覆う。
ずっとユンホくんの唇を感じていた場所。
もしかして痕がついてるのかもしれない。





「うっ、…痛ってぇ、」


ユノさんの背後から呻き声が聞こえて。
後頭部を押さえながら、かろうじて半身を起こしたユンホくん。
視界が定まらないような仕草で、軽い脳震盪のよう。
壁に激突した衝撃で口の中を切ったらしく鮮血が紺と白のジャージに染みをつくっていた。


背後から不意を突いたとはいえ、小さくはないユンホくんを軽々と壁まで投げ飛ばした。
それも一瞬で。
ユノさんのこれほどの本気を初めて目の当たりにし、どうしたらいいのか分からず、ただうつ向くしかなかった。



「っ、う、」
体を動かすたび洩れる呻き。
もしかして骨でも折れてるのかと、今だにピクリとも表情を動かさない人の背後が気になる。



「…ユンホく、…」
そう言いかけた僕に被せるような、


「ユンホ、…今すぐここから、この施設から出ていけ。お前を置いておくわけにはいかない。早急に手続きはしてやる。」


表情と同じ、まるで抑揚のない淡々と紡がれたセリフ。
視線を僕の首筋から外すことなく背中ごしに。
完璧に感情を殺すユノさんを見て。
ああ、恐ろしく怒っていると分かった。
これほど静かな炎を燃やすユノさんは初めてで、もちろん対処法だって知らない。



ユンホくんは黙ったまま。
でもおそらく彼のことだから躊躇なくこの施設を飛び出してしまうだろう。


「ユノさん、ユンホくんは受験生なんだ。ちょっとふざけあってただけで追い出すなんておかしいよ。」


この時期に施設を変わるのは受験には不利だ。
ただでさえ難関な進学校なんだ。
万全の状態でのぞませてやりたいのに。



「はっ、…ふざけあってただけ?」


片方の口角が皮肉な笑いに歪む。
そのまま一歩前に出るから、ベッドに座った状態の僕は両手を後ろにつき背を反らすくらいしか出来なかった。


「これの、…どこが?」


ユノさんのついた両手でベッドが軋み、徐々に近づく顔から目が離せない。
細く長い指がこめかみから頬を辿り、首筋を押さえた僕の手に触れる。
反対側の首筋へは角度をつけたユノさんの唇。
キスというよりは当たったという感触がして。


「ふざけて当たったとは到底思えないな?」


耳元から熱い息遣いとともに聞こえる低い声。





「っ、ユノさ、…ちが、…聞いて、」
「聞けない。」




危ないところを助けられた。
それが今の状況なのかもしれない。
でもなぜか僕はユンホくんを庇うことに必死だった。


あっという間に離れていき立ち上がったユノさんへ動揺を悟られないよう何でもないような顔をつくる。



「ユ、ユンホくんへ卒業アルバムを見せてあげようとリビングへ通したんです。中学の卒業アルバムを取りにここへ来て、取ろうとしたら何かに指を引っ掛けちゃって。」


「バラバラに落ちてきたのを一緒に片付けてくれただけなんです。写真見てふざけて、…つい。」



苦しい言い訳だと自分でも思うけど。
ユノさんは本気だ。
本気でユンホくんを追い出すつもりなのだと、静かに燃える眸が言っていた。
いっそ怒ってくれたらよかったのに。
「何をしてるんだ。」と怒鳴ってくれたら、僕も一緒にユンホくんを叱って、それでも若気の至りだと結局は許してあげることができるのに。




「チャンミナ、…もういい。」


「ユンホを置いておくことは出来ない。以上だ。」



変わらず静かに言う。
決定事項のようなそれに焦りだけが僕を襲った。



「…書類を取りに来ただけで人を待たせてあるから行かなきゃならない。牧師さまへは電話で話しておくから準備しておけ。」


痛みに顔をひきつらせ両手で支えなくては起き上がれないほどのユンホくんへ淡々と話す。





「っ、ユノさん!」


部屋を出ようとする背中に向かって。


「ユノさん、…!」


足を止めた後ろ姿へ。
ただ焦って必死に。


「ぼ、…僕が、…ユンホくんを誘いました。
ごめんなさい、…僕が、面白半分でユンホくんを誘惑した。」


ユノさんの肩が微かに揺れる。
ここへきて初めて見せる動揺に。
僕は何を言ってるのかと、…自分で自分が理解できないのに。



「だから、ユンホくんは悪くない、…悪いのは僕です。ユンホくんを追い出すと言うなら、…」


「チャンミナ!」


顔だけ振り向いたユノさんと視線が重なる。
そこに浮かぶのは怒りと悲しみなのか。






「…僕も、…追い出してください。」







ぎゅうっとユノさんがこぶしを握ったのが分かった。
焦って、勢いで言ってしまったけど、それを訂正する気はなく。
ユノさんを真っ直ぐ見つめる僕へ。





「っ、勝手にしろ!」




初めて怒りをあらわに。
寝室を出て玄関ドアが閉まるまで聞こえてきたユノさんの足音が、───こんなにも、やるせないなんて。











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