HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人《15の風景》24





































チャンミンside






冬の木漏れ日が柔らかい午後。
いつもの木にもたれ、たったひとり心のままに歌った。



『愛の唄』
ユノさんは覚えてるかな?
ユノさんが僕のSPになって、おそらく初めて聴いた僕の歌。
綺麗だと、…照れくさそうに褒めてくれたよね。


女性タレントを楽屋に連れこんでは濃厚なキスシーンを見せつけられた。
どんなに怒っても、「気をつけるよ。」のひと言で反省の色は見えなかったよね。
そんな貴方がこれほど僕の全てになるなんて誰が予想しただろう。








高麗芝をベースに秋に西洋芝を植えた芝生は一年中青々と風に靡き、くぬぎやコナラの木々は5年の間に力強くこの地に根付いた。
僕の居場所はここだと、肌で感じる。
本当は外で働きたいわけじゃないんだ。
「チャンミンさんの仕事は?」なんて無垢な眸で聞かれちゃったら答えたくなるじゃないか。
僕が本当にやりたいことは?
それを考えたっておかしくないよね?




歌い終わり、深く背中を預け目を閉じ空を仰ぐ。
めずらしく風が穏やかでひんやりと頬をくすぐるのが心地いい。



「…チャンミナ。」


ふと見れば遠慮がちにやってきたのはユンホくんだった。
口端のかさぶたがまだ少し痛々しい。



「俺のこと、…避けてる?」
あの日は僕とユノさんが別れればいいなんて堂々と言ってのけたくせに今日は自信なさげだ。
「もうあんなこと二度としないって誓うなら避けないよ。」
「…チャンミナ。」


しゅんと肩を落とすのはやめてほしい。
僕はどうしたってユンホくんが可愛いから、そんな姿を見たら簡単にほだされてしまう。


「ユンホくんは僕の弟だよ。…もうあんなことはしない?」
優しく問うのを怒ってないと理解したのか、すぐにケロッと。
「ん、…分かんない。だって俺は好きだもん。」
ここ1年ばかり僕を無視し続けたユンホくんではなく、10歳のユンホくんが戻ってきたようだった。
姿形だけぐんと成長して。



「ユンホくん、…」

どうしたら伝わるんだろう。
彼が本当に欲しいものを僕はあげられないのに。









その時、スッと求めてやまない香りが鼻を擽った気がした。
こんなに広い中庭で。
距離的にもありえないのに。





カシミアのタイトなステンドカラーコートに淡いドット柄の入ったブラックスーツ。
本館の脇道では豆粒ほどで。
本館を抜けて人の形になった。
こんなに遠くても隠しきれない格好良さってある。
そう思うのは僕だけだろうか。
片手で髪をかきあげる仕草。
ああ、空港から直接帰ってきたんだ。
ほんのりついた寝癖さえ男らしさの象徴のようで。


ドクンドクンと胸が高鳴る。
僕はいつになったらユノさんの格好良さに慣れるんだろう。
息をのむように一点を凝視する僕に気づき、ユンホくんも振り向く。
何か言ってるみたいだけど、…ごめん、今は何も聞こえない。 


徐々に近づいたユノさんが内ポケットから取り出したスマホ。
肩の位置に掲げたままズンズン歩いてくるから、…それが邪魔してユノさんの表情がよく見えない。



前のめりに一歩踏みだした僕へ。
パシャ、と。
「え?」
パシャ、パシャと続けざまに。


「っ、ユ、ユノさん?」


それはどう見てもカメラを起動してる音で。
写真嫌いのユノさんがどうして?
僕は顔を隠すように片手で覆い、もっとすんなり足が前に出ればいいのにと、もどかしく駆け寄る。



「ふ、隠すなよ?チャンミナ。」


ユノさんが言うところの機械に隠された口元は緩やかなカーブを描いていた。


「ユノさん、…写真、撮るのも撮られるのも、嫌いなのに、…」
「ん、…でも送ったろ?自由の女神像。」


そうだった、何の説明もない1枚の画像。
あれこそ何だったのか無駄に不安にさせられたとむくれる僕へまたもパシャと。


「っ、もう、ユノさん!」
「うん、怒った顔もいいな。」
「は?///」



「…飛行機で目が覚めたらさ、自由の女神が黄紅色の空から銀色の光を受けて立ってた。」


「綺麗で、…思わず撮ってた。お前に見せたい、チャンミン、…お前と一緒に見たいと思った。」




「…ユノさ、…」
「なあ、写真って切り取った過去じゃなくて、今、切り取りたい瞬間なんだな。」


そんなこと、僕はもうずっと前から知ってるって言いたいのに声にならず。


「さっき、…俺見てお前、あんな顔するんだ。」
「ど、…どういう、…」


「ん、…ムチャクチャ愛してる、って顔。」




そう満足そうに笑う人に。
謝らなきゃいけないことが沢山あって。
会いたくて会いたくて堪らなかった数日間。
仕事と言えど文句を言いたいことも沢山あった。





「会いたかった、…ユノさん。」




それのどれも全てすっ飛ばしちゃって。
結局、一番強くてシンプルな想い。
ほんの数メートルがもどかしいほど胸が逸り、指先が痺れるくらい緊張してる。



そこでふとユノさんの袖口に視線をとめる。
僕へと伸ばされた腕の先、一瞬だけキラリと光るそれは紅の。


「…チャンミナ?」
「これ、…」


抱き寄せようとする腕をかわし、その腕を取る。
ぐっと袖を引けば、──ああ、やはり。


「ユノさん、…仕事の前に一度ここへ戻った?」
「ん?」


深い紅の光。
仕事で暫く会えないとき、僕の代わりと必ず身につけるガーネットのカフスを指でなぞった。


「ああ、これを取りに少しだけな。」
「っ、ひどい、…僕のことは無視して、行っちゃったんだ。」



ぐっとユノさんの肩を押しやる。
あんなことがあって、暫く仕事で会えないのならどうして一目だけでもと。



そんな僕の手をヒョイと外し勢いよく引き寄せ。
「…っ、や、」
納得いかずあがく僕を物ともせず抱き込まれてしまえば、慣れ親しんだ匂いと感触にこれ以上抗うことなんて出来るはずない。





「ひどいのは、チャンミン、…お前だろ?」



首筋を震わすくぐもった声。
直立不動の僕をこれでもかと抱きしめ。



「俺の唯一の弱点がお前だって、…それ知ってて突いてくるんだもんな、───ひでぇよ。」




そんなつもり、…全くなかったのに。
心なしか震える声色にどうしようもなく胸が熱くなる。



「ユノさ、…っ、…ごめ、…」
「ん、…いいから、謝るな。」



僕を抱く腕に痛いほどの力がこもる。
僕もただ、一瞬でも離れたくないと力強く腕を回しユノさんを全身で感じた。












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