HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

紅-クレナイ-の人《15の風景》26


































チャンミンside






キッチンに立つのは久しぶりだった。
ユノさんが留守の間、食堂へ入り浸りだったから。



お気に入りのブルーマウンテンを豆から挽いてドリップする。
濃厚な香りが漂い、深く深呼吸しながらうっとりとそれを楽しんだ。



「美味しそう。」


不思議なもので今朝までは目覚まし代わりの珈琲が今はこんなにも芳醇な香りで僕を誘うんだ。
ユノさんが一緒というだけでこれほど美味しく思えるとは、なんて安上がりな僕なんだろ。


トレイにブラックをひとつ、ミルクたっぷりのカフェオレはユノさんの。
そして砂糖とミルクをたっぷり入れた、これはユンホくんの。












家に戻る途中、
「チャンミナ、話があるんだ。」と言うユノさん。
僕だって聞きたいことも言いたいこともたんまりあるから頷いた。


そこで足を止め振り向きざまに、
「ユンホ、お前も来い!」などと、なぜかユンホくんも誘って。
こうしてリビングで3人という、僕としては何となく居心地の悪い事態になっていた。




ユノさんがいると途端に無口になるユンホくんも居心地悪そうに座っていた。
ユノさんがスーツを着替えに行ってる間だけひょこっとキッチンへ顔だして。
「ねえ、俺またユノに殴られるのかな?」
なんて言ってくる。


「そんなわけないよ。ユノさんだって鬼じゃないんだから。」
そう言うのに、
「いや、アイツは鬼だ!」
冗談なのか本気なのか、強ばった表情が可笑しい。


「ほら見て?まだ口ん中青黒く腫れてるだろ?」
カウンターから身を乗り出してアーンとしてくるから、覗きこんだ途端顔を鷲掴みにされ。
「っ、ぅわ!や、…ちょ、こらっ、…!」
「チャンミナ、素直すぎるからぁ。」
ぶんぶん頭を振ってもなかなか離してくれないユンホくんの背後。
ひんやりと刺すような視線。


「 お前、また殴られたいのか。」


こめかみをピクリと。
冗談では通じなさそうな人がいて僕はまた肝を冷やすんだ。




そうは言ってもやはりユノさんは大人で。
いきなりユンホくんへ脱げと言ったのには驚いたけど、結局あの時の怪我の状態を見たかったらしい。
背中は酷く鬱血して痛々しいけど骨や筋に問題はなく、ユノさん曰く。
「自業自得だ。」と、ひと言で片付けられていた。















「チャンミナ、お前の将来の話がしたい。」
ユノさんの口からそれは急に。
「…え、…?」


「意味もなく外で働きたいわけじゃないだろう?
チャンミンが本当にやりたいことは何?」


そんな急に言われても。
ハッキリとしたビジョンがあるわけでもないのに。


「芸能界の華やかなステージに戻りたくなった?」
「い、いえ、…それは、ないです。」


それは即答した。
ユノさんの眸は相変わらず深い黒で、僕に何を言わせたいのか何が目的なのか分からない。


「チャンミナの将来に俺は、居る?」
「え、…もちろん。」


なに当たり前の事を、と言いたいのに。
真剣な表情のユノさんがそれをさせてはくれず。


「この施設が好きか?」
「……。」


また当然の事を聞かれ流石にむきになった。


「ユノさん、ここは僕が捨てられてからずっと育った場所です。一度は失くして諦めかけた施設を再び与えてくれたのは貴方だ。
ここは、かけがえのない僕の居場所です。」


最初、僕が出ていくと軽く言ったのを根に持っているのかと思った。


「あ、あの日、出ていくと言ったのは、…
「や、違うよ、チャンミナ、」


「え?」
「あんなのは売り言葉に買い言葉だ。」
「……。」



もうずっと僕から目を逸らさないユノさん。
切れ長の眸はどうかすると冷たい印象を与えがちなのに、なんて優しい目で僕を見るんだろう。



「…よかった。」
「え?」
「多分これは、お前が望むことでもあると思う。」



隣でカシャっと食器の擦れ合う音がした。
L字型に置かれたソファーの斜め前にユノさんがいて。
なぜかこの話に同席させられたユンホくんが僕の隣だった。
彼も話の行方が分からないまま興味深く耳を傾けている。





「…実は、ずっと迷ってて。最近になって法律が改正され要件が厳しくなったのがいけない。」
「…は?」



「お前が勉強好きだったって牧師さまに聞いて。
おばちゃんの口癖は『人生何度でもやり直しはきく』だったよな。」
「は、い?」


「遠回りに見えて、多分確実に近道だとも思う。」
「あの、…」


一体何のことか。
こういう遠回しな言い方をするときは、ユノさんの気が進まないときって知ってる。



「チャンミナ。」
「はい。」


「今よりさらに束縛するのは、───覚悟してくれ。」


「はい?」




これ、と言って渡された幾つかの茶封筒。
そこにはパンフレットや要項、必要書類。



「ユノさ、…これは?」


「今年1年勉強して、お前は福祉大学へ行け。必要なカリキュラムを取り、卒業と同時に社会福祉士の資格を取得してくれ。」





「───それが児童養護施設の施設長になる資格要件だからな。」





「………ユノ、さ……」



突然の話に、…なんて言っていいのか。
職員になるための資格など、調べたこともあった。
高卒で何の資格も持たない僕では無理だと。
専門学校ですら今さらと諦めていたのに。




ふと温かい手が僕の頬に触れる。


「…なんて顔するんだ、チャンミン、…嫌か?」





───そんなわけ、……



ユノさんの手に自分のを重ね、ぎゅっと。
ふるふると頭を振りながら気づけば立ち上がっていた。
引っ張られ中腰になったユノさんへ、…覆い被さるように。


「わっ、」


勢いよく膝に乗り上げた僕へ驚き。
でもそれも一瞬。
あっという間にそこが定位置のように僕を収める。




「…ユノさん、…いいの?」
ポツリと首筋を掠めるように。
「いいも何も、…ここを建てた時からそのつもりで牧師さまには施設長代理をお願いしてた。」



「ただ資格要件が厳しくなって、…お前に受験を勧める広い心がなかなか持てなかっただけで、…」
その言い方がユノさんらしからぬ駄々っ子のようで可笑しかった。






「チャンミナ、お前はいずれここの施設長になる。ここが、お前の居場所で家だよ。」






ああ、どうしよう。
今すぐにでもユノさんを裸にして身体中キスしたい気分だ。


この人はどうしていつも、僕の底にある望みに気づいてしまうのか。
そしてどんな障害も、いとも容易く乗り越えようとするのか。






「ユノさん、…」
そう見上げた僕の顔は、おそらく情欲に濡れていたのだと思う。



「チャンミナ、…その顔、…」
ゴクリとユノさんの喉が鳴った気がした。






 
「ユンホ、」
「……。」




「聞いてたと思うが、チャンミナも受験生で大学生になる。」
「うん。」


「 これで年齢以上によりお前に近づくわけだ。」
「うん。」



「それでも、勘違いするなよ?チャンミナは俺のもので、俺はいくつ歳を重ねてもお前には負けない。」
「ユ、ユノ、…






「───絶対に、だ。」





僕を抱きしめる腕は優しいのに、全身から放たれるオーラに僕まで緊張してしまう。
子供相手に何を本気でと、今までの僕なら言ってしまいそうだけど。
ユンホくんの本気にユノさんも本気で返してるだけだと気づいたから。





「ユンホくん、」


ユノさんの膝の上からというこの上なく恥ずかしい体勢だったけど、今、言わなければと思った。


「ユンホくんはもう子供じゃない。いずれ僕の背も抜かすかもしれない。それでも、やっぱりユンホくんは弟だよ。」
「…チャンミナ。」




「僕を抱いていいのは、…ユノさんだけなんだ。」




15歳の子に言うことじゃないかもしれない。
でも確かにあの時、ユンホくんは僕に欲情していた。 
そして僕がユンホくんを受け入れることはないんだと、敢えて露骨な言葉を選んだ。






「っ、か、帰る!」


乱暴に立ち上がったユンホくん。
その顔を見て、…ああ、傷つけてしまったと、酷く胸が痛んだ。
それでもどうすることも出来ない。
中途半端な優しさがどれほど残酷か、僕はもう知っているから、





玄関を出て中庭を走り去っていく背中を眺めながら、───ごめんね、と呟くことしか。













*********************


おはようございます、えりんぎです。



思えば、天使の歌声をもつ歌手チャンミンとそのSPユノとしてはじまった《紅-クレナイ-の人》。
それが芸能界引退という予想を反した道を選び、児童養護施設へ舞台を移したと思ったら今度はチャンミン大学生かよ?という、何でもアリな《紅-クレナイ-の人》になっております(^o^;)


実は私、コメント欄を閉じてる間にインフルエンザにかかってました~
なかなかスッキリと回復せず体力の低下をひしひしと感じておりますよ。
ということで、更新を優先させるためコメント欄を閉じたままにすることをお許しください。


最終話のみ開けさせていただきます。
感想や突っ込みなど。
その時にお聞かせいただけたら嬉しいです!


すっごい勢いで増える拍手!
たくさんの応援、ありがとうございます(*^^*)
では!






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