HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

APPLAUSE-告白-2








































なにもこんなパーティーの席で振ることはないんじゃないかと思う。
今すぐ家へ帰ってひとりになりたいのにそれも出来ず、しこたま飲んでくらくらしてきた。



「チャンミナ、おまえ飲みすぎじゃないか?足にきてるぞ。」
「ハヌルさん。」
「大丈夫?帰り、送ってやろうか?」
「いえ、いいですぅ、送り狼になられても困るし。」
「おっまえ~!」


アハハと笑って僕の頭を小突く事務所の先輩は正真正銘のゲイだ。
本人もそれを隠してないし、この業界ではそうめずらしいことではない。
男性との恋愛ってどうなんですか?と聞いてみたいけど変に勘ぐられそうだから聞けないでいた。



「チャンミナ、…振られたんだって?慰めてやろうか?」
耳元へ顔を寄せボソッと。
ほら、聞かなくてよかった。
僕が男同士の恋愛に興味を示そうもんならすぐ喰われそうだ。


それにしても事務所内の噂は早い。
何とかごまかしながら席を離れる。
僕は彼に興味があるのであって、男同士の恋愛に興味があるわけじゃない。
それに彼女のことだって自分なりに好きだったんだ。
今日はひとりやけ酒をして思いきり泣こうと心に決めていた。







「…あ、…!」



お開きになったパーティーからサッと抜けでて。
ロビー横の花屋で立ち止まる。
強いはずの酒が妙に効いてて、頭はぐわんぐわんしてるし足はフラフラだけど。



「ブルーローズ、…」



実家が花屋で、幼い頃から花に囲まれた生活だった。
そんな僕が見逃すはずない。
限定入荷をしたとある、めずらしい薔薇。
花言葉は『不可能』と『夢叶う』。
少しネジの緩んだ酔っぱらいの頭には、これはチャンスだとしか浮かばず。
何がチャンスなんだか本当に馬鹿みたいだけど、彼に告白しようなんて思い立ってしまった。









────はぁ、…



振られたその日に告白なんて、やっぱりうまくいくはずない。
僕んちの中庭を挟んだ真向かいの部屋は留守だった。
出鼻をくじかれ、馬鹿さかげんが身にしみる。
突然男に告白されて気持ち悪いにきまってるじゃないか。
あんな可愛い彼女だっているのに。



情けなくてボロボロ涙が止まらず。
ふらふらの頭ではどうすればいいのか全く思いつかない。
ズルズルと玄関ドアを背にしゃがみこんだ。
このままうずくまって石になってしまいたい。









「あの、…どうしました?」
その声に心臓が飛び出そうなほど跳ねる。


「ここ、俺んちですけど。部屋を間違えてません?」



低めの少し鼻にかかった声。
これが彼の、…


ああ、僕はなんて馬鹿なことを。
見てるだけでよかった、遠くから眺めるだけでよかったのに。





「12階ですよ、ここ。おーい、聞こえてます?」


聞こえてる。
聞こえてるけど、緊張と後悔で涙が止まらない。
僕のことは石だとでも思って蹴っ飛ばして帰ってくれたらいいのに。




「おいって!ここ、俺んちなの、分かる?」


分かってるってば。
彼のイライラが伝わり更に泣ける。
ふと彼の息づかいを近くに感じ。
くいっと肩を押され視線があう。


予想どおり、…いや、それ以上に整った端正な顔立ち。
訝しげな視線は痛いけど、夢にまで見た彼の。
ドクンドクンと心臓はうるさいし。
壊れたように涙は止まらない。
急に血のめぐりが良くなったからか、さらに酔いまで回って。
気づけばメチャクチャなことばかり言っていた。


今すぐ彼の記憶を消去して逃げたいけど、足腰が立たない。
そんな僕を抱き起こし、部屋にまで入れてくれる彼。
鳥や木にまで話しかける彼は、卓越した容姿に似合わずお人好しだった。





僕が願をかけた一輪のブルーローズを。
「綺麗だな。」と言い。
「おまえによく似合う。」とまで言ってくれた。


もうそれで充分で。
彼に告白しようなんて馬鹿な決心は消えていた。
彼のポケットへその薔薇を挿し、このお人好しで優しい人を諦めようと決めた。


僕の勝手な想いをぶつけて不快な気持ちにさせてはいけない。
彼に少し近づけた。
もしエントランスなんかで偶然会ったら、あの時はすみません。くらいは話しかけてもいいだろう。


得体の知れない酔っぱらいを泊めてやるほどのお人好しだ。
きっと無視はしない。
もしかしたら笑いかけてくれるかもしれない。
僕はそれで満足しなきゃいけない。





「それでは、大変お世話になりました。」



ぐだぐだしてたら決心が鈍ると、起きて早々に部屋をあとにした。
今度こそ偶然会うことがあったら、その時は名乗って彼の名前も聞こうと思った。
ちょっとした願掛け。
───ブルーローズの花言葉が、僕にはどちらへ転がるのか。







なんて、そんな瀟洒な決心は僕の涙ほどに脆かった。


あの日のお礼にと、わざわざ取り寄せたワイン片手に訪ねれば。
「おぅ、あの薔薇、綺麗にドライフラワーになったぞ。見るか?」
なんて、何十年来の友達へ話すように。




そして知る。


「一緒に飲みません?泣きたい気分なんだ。」


僕は素直にお礼すら言えない可愛くないヤツだって。
そんな僕へ、入れよ?と笑う彼はとんでもない博愛主義者だと思う。
それで自己中心主義なヤツにつけこまれるんだ。
僕のような。




彼を騙してるようで罪悪感がないわけじゃない。
でも少しだけ。
泣き虫で酔っぱらいの変なヤツでいいから。


彼を諦めようと決めたのは変わってない。
それが彼へのお礼のつもりだった。



「おまえ、本当に泣き上戸だなぁ、この話のどこがそんなに泣けるわけ?」


呆れたように、それでも緩やかに口角を上げ僕の前髪を梳く。
その手の温かさに泣けるんだよと、心のなかだけで。


僕は『好き』の気持ちを涙で流す。
どんどん溢れて止まらないのに。
「ふ、…やっぱ変なヤツ。」
こんな僕を甘やかす彼がいるから、──僕はまた泣けるんだ。









※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAli の小部屋』




にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト