HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

APPLAUSE-告白-24

































僕らは地下鉄に乗っていた。
隣のユノは少し不機嫌顔で。


「今日は暑いからパレード観ながらビールって旨そうですよね。」
「…そうだな。」


「乗り物はどうでもいいけど、でもアレ、アレだけは乗りたいな。地中から一瞬だけ外へ飛び出すジェットコースター。何でしたっけ?」
「…さあ。」
「……。」



なんだよ、感じ悪いな。
確かにユノんちに泊まって一緒のベッドで寝て、ユノが起きる前に勝手に帰っちゃった僕も悪いけど。



早起きしてユノの寝顔を眺めながら。
真っ直ぐ伸びた長い睫毛が揺れ、ゆっくり持ちあがるのを。
疲れて落ちるように寝てしまうまで飽きもせず啄んでいた唇が、そっと僕の名をよぶのを。


見る前に帰らなきゃとなぜか急に焦ってしまって。


だって知ってた?
今日はユリさん主催の《サランちゃんがユノに告白するシチュエーションを作ってあげよう企画》だったりするんだよ。
彼女はユノが好きで。
それを咎める権利は僕にはない。
ユリさんも密かにハヌルさんを好きだから、本当は僕だけお邪魔虫なんだ。


さりげなく断ろうと何度か試みたけど、「チャンミナが協力してくれなきゃ!」なんて言われちゃったら。
普段からお世話になってるユリさんへそれ以上何も言えなかった。


協力とか、…多分、無理で。


ユノが初めて泊まれよと言った。
自分で引いた一線を侵食してしまったのを彼は気づいていない。
そんななか一日の始まりをユノで迎えちゃったら、僕自身どころかユノが出掛けるのさえ阻止してしまいそうで。







「……おまえ、人が寝てる間に帰るとか、サイテー。」


吊革に人差し指だけ引っ掛け真っ暗な車窓を眺めながらポツリと言う。
ちょうどすれ違った反対車両との風圧で聞こえないふりしたのに。


「夕方まで何しようか考えてたのに、戻ってこいってLINEしても知らんぷりでさ。そのうち電源切りやがるし。」


一切こちらを見ず真っ直ぐ視線を向けたままブチブチ言いはじめたユノ。
僕も真っ直ぐ見つめたまま。


「いいんですよ。今日は彼女の歓迎会なんだから、目当てのユノがついさっきまで僕と一緒に居ましたじゃ可哀想だし。」
「なんだそりゃ。サランとはもう終わってんのに。俺ね、一度別れたヤツとヨリ戻すとか考えられないから。」
はぁとため息混じりに言うけど。
そんな考えはいつどう変わるかわかるもんか。



「一度でも好きになった人でしょ。そんなこと言い切るとあとで後悔しますよ。」
「あー、ないない。一旦友達に戻ったらもうそういう目線では見れない。ビール1年分賭けてもいい。」
「は?なんですか、ソレ。」



お互い前を向いたまま一切目線を合わすことなくボソボソと。
程よく混みあった車内で話す会話じゃない。
停車駅でどっと乗り込んできた乗客の波に紛れて、あっという間にできたお互いの距離。
座席前のユノとドア付近まで離れた僕。
周りより頭ひとつ分飛び出した僕らはお互いの顔がよく見える。


変わらず車窓を眺めるユノの綺麗な横顔を見つめた。
つんとした鼻から繋がる顎のラインが華奢なのに男らしくて、雄々しいのに繊細で。
普段なかなか凝視できないから、心地よい電車の揺れに身を任せながらじっと見入った。


少し前までは僕んちとユノんちのベランダ。
タバコほどの大きさのユノを思えば、この距離で詳細に見える顔のパーツ。
なんて出世だろうと思う。
きっとこの距離が僕らには一番いいんだ。
誰に遠慮することなく後ろめたいこともない。



声を掛ければ言葉は届くけど、手を伸ばしても触れることはできない距離。
たぶん、それがね、…いちばん。












「シムチャンミンさん、…ですか?」


背後から遠慮がち声を掛けられ、「あ、はい。」と軽く答えた途端、キャーッという甲高い嬌声。
周りの視線が一気に集まったのが分かって。
こんな車内では逃げるに逃げれず一歩二歩と後ずさるも更にぐいぐい前のめりになる女の子2人組。



「モデルのチャンミンさんですよね。私達ファンなんです!雑誌も毎月買ってます!」
「あ、あの、…」


学生時代にスカウトされてアルバイトのつもりがそのまま職業になったけど、元来引っ込み思案の僕。
資金作り目的だったのが最近やっとモデルという仕事のやりがいを知って楽しくなってきた。
それでもファンサービスとか絶対に無理で恥ずかしい。
時々こうやって声を掛けられるのが苦手でできるだけ外出しないようにしてたし、事務所付近までやってくる女の子達の相手はいつもハヌルさん任せだった。


僕がいつもハヌルさんと行動を共にするわけはそこにあって彼は常に僕を守ってくれていた。
…なんてそんなことユノへ言ったらそれこそ女扱いとか言われるかも。
と思いつつ、今はひとりだから。


「あ、ありがとうございます、…あの、じゃ、」


お礼を言ってさっさと切り上げようとするが、車内では逃げ場がない。


「事務所のホームページで見たんですけど、今度ショーモデルにも挑戦されるんですよね。」
「雑誌にインタビューつきで特集されるって本当ですか?」


興奮気味の女の子達はもちろん逃がしてくれるわけなく、どんどん大きくなる声とテンションに周りの乗客の視線が冷たく焦ってしまう。


「あ、あのさ、」
「きゃっ!声も素敵ですね!握手、いいですか?」
「えっと、」
「あ、ずるいっ!私が先!」


まるで人の話を聞こうとしない。
もしハヌルさんがいてくれたら上手に彼女達を宥めて適当にこたえてくれるのに。






「チャンミナ。」


ふと気づけばすぐ近くにユノが居て。
女の子達に向かって、しぃっと人差し指を口元に当てた。


「チャンミンのファンの子?ありがたいな、チャンミン。」
ニッコリ笑う様子に女の子達はユノへくぎづけだ。


助かったと思ったのに、逆にぐいと肩を押され女の子達の真ん前。
ハヌルさんなら自分の背中へ僕を隠すからユノの行動が分からなかった。


「でもここは車内だから静かにしような。質問は順番に。握手も順番な。」


ハヌルさんとはまったく逆。
彼女達の質問にしどろもどろで答えて握手をした。
なかなか手を離してくれない女の子達に、
「ふ、コイツ恥ずかしがりやだからお手柔らかにね。」と極上の笑み。
「あの、お兄さんとも握手、いいですか?///」なんて言われる始末。


よほどユノの方がファンサービスにむいてる。
ってか、この人、むちゃくちゃモテそう、…と今さら思ってしまった。


それでもぎこちないながら自分で質問にこたえ握手にもこたえた。
もしかしたら初めてかもしれない。
「チャンミンはそういうのNGだから、ごめんね。」
ハヌルさんの背中でその台詞を聞くのが常だったから。



満足そうに手を振る女の子達に軽く会釈しながら目的地で降りた。
隣を歩くユノはさっきまでの極上の笑みは消え去り不機嫌顔に戻っていたけど。


「ありがとう、ユノ。」


すんなりとお礼の言葉がでた。
ユノも満更じゃなさそう、ふにっと照れくさそうに口角が上がる。



「非常識な振る舞いは正してあげなきゃいけないけど、好きだって言ってくれる人達には誠心誠意で答えてあげな。」
「…うん。」




僕の後頭部を大きく撫で、勢いで前屈みになった耳元へ、


「あの慣れない対応はすぐに甘やかす誰かさんのせいだろ?…なんかムカつく。」


そう言いながら角を曲がるタイミングに合わせ、掠めるようにキスをおとした。














※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAliの小部屋』












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