HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

APPLAUSE-告白-44

































試合が始まってもユノは来なかった。



「ね、今どうして進塁したの?」
「キャッチャーの人が抗議してない?どうして?」


空席を挟んでとにかく色々と聞いてくるユリさん。
僕はビールを飲みながらそのたび体を寄せるのが面倒でつい席を移ってしまった。
ユノがわざわざ自分の席をそこにした意味が分からない。
遅れてくる人が一番端ってのが普通じゃないの?




優勝チームがほぼ決まって消化試合のようなものだとユノは言ったけど。
今季の成績は来季の査定に繋がる。
選手たちも必死だと思う。



0対0のまま初めて訪れたチャンスは2アウトでランナーが2塁。
長打が一発出れば、という場面。
後半の成績不振で8番という打順だけど、元々はクリーンナップにいた選手だから余計期待に胸が踊る。



そして。
鋭いライナーがセンターの頭上を越えた。



「っっ、やったぁぁ!」


両手を上げ思わず立ち上がる。
ずっと応援していた選手の久しぶりの長打に大興奮の僕の隣で、


「……ユ、ユノ?」


たった今来たらしいけど。
試合そっちのけで僕だけ見てる変なユノが居た。


コホンと咳払いしちゃって。
「あー、遅れてごめん、…ってかさ、おまえのその顔、見ちゃいけない系のものだった、…」
と斜めにドサッと腰をおろした。



変なユノ、と思いつつ。
「あ、席を交換しちゃいましたよ。」
そう言えばチラッと奥の席を見やって、
「ああ、…ユリさんならいいよ。」と。


奥の席とはもちろんハヌルさんで。
「ユノさん、遅れてきてチャンミナの隣を確保すんのズルいだろ。」
冗談なのか本気なのか微妙なハヌルさんに負けじと。
「俺が貰ったチケットなんだから当然の権利です。」
ふふんと聞こえてきそうな得意気な顔。
綺麗な女性を挟んで交わす会話じゃない。
恥ずかしさと居たたまれなさでどうしようもないけど、
「ふふ、チャンミナってばモテモテねぇ!」
なんて笑ってくれるユリさんにいくらか救われる。


その隣で伏し目がちの彼女。
本当は来たくなかったのかもしれない。
このところずっと元気がなくて。
ユノと何かあったのかも。
けど、それをユノや彼女に聞く勇気が僕にはなかった。



ユノもユノで、ずっとおかしい。
男友達にするようにサラッと僕を誘うけど、時々ギュッと胸が絞られるような感覚。



僕のことを細かく知りたがったり。
ずっと遠慮がちに避けていたハヌルさんへ妙に挑戦的だったり。


積極的に僕を誘い、会えば本当に嬉しそうに笑う。





───でも俺は飛び越えてみせる、と言った。
そん時はお前も一緒、と、…確かに言った。



欲しくて欲しくて堪らなかったものが、今になって、…友達という関係に形を変えて与えられることに戸惑い、自然にユノを求める自分を戒める。




迷いも戸惑いもない、小鳥や中庭の木々にだって正々堂々と宣言できる。
ずっと続いていく、清々しいくらいクリアな関係。
それこそが僕とユノのこの上ない関係だと信じるから。










「ねぇ、こういうのをビッグイニングって言うの?2アウトからヒットが続いて5得点ってスゴイ!楽しい~っ!」


あのセンターオーバーの2ベースヒットをきっかけに怒濤のタイムリー。
5得点を叩き出していた。
ユノのことを考えたらキリがないから試合に集中することにした。



───本当にキリがないんだ。


ユノとまた会うようになって、僕の五感は悲しいくらい敏感になる。
ユノの優しげな視線に嬉しそうにあがる口角にどうしたって胸は高鳴り。
開いてしまった距離、触れることの叶わないユノのもちっとした質感や甘い匂いから未だに逃れることができないでいる。







隣ではしゃぐユリさんへ笑いかけビールを飲んだ。
右隣からチラッと視線を感じ、
「今日はそんなに酔っぱらいませんよ。」ときっぱり。
「別にいいよ、酔っぱらっても。…俺が一緒の時はね。」
なんてこと言ってくるから僕がまた揺れるんだろ?と文句のひとつでも言いたいくらいだけど。



もちろんそんなこと言えないから、なんてことないように聞き流した。
嬉しいのに知らんぷりして。
狭い座席の触れそうな肘に気づかないふりして。
これが本当の我慢大会だと思った。





「あれ?今のどうして打った瞬間にアウト?」
相変わらず疑問をすぐ口にするユリさん。
「えっと、今のは、…」
言いかけたところでぐいっとユノが寄って、
「今の、インフィールドフライ。」
やけに自信満々に。


「あ、あー、…」
確かにそうだけど。 


「塁にランナーがいて審判がイージーフライだと判断したとき捕球するしないに関わらずアウトが宣告されるんだ。」


「あー、…まあ、」
間違ってはないけど。




「な?チャンミナ!」


それほど野球に興味のないユノが。
いやに自信ありげに、しかも顔に褒めて!って書いてある。


「…もしかして、勉強しました?」
ボソッと聞けば、照れくさそうに頬を緩めた。


「まあな、野球もサッカーも勉強中。邪魔するんじゃなくて、…その、一緒に盛り上がれたら、…良くない?」
「っ、…///」


そうよねぇ~!なんて言ってるユリさんをよそに僕は真っ赤だった。
ユノが何のことを、誰とのことを言ってるのか恥ずかしいくらいに伝わって。







「今日のチャンミナ、野球に詳しいってだけで妙に頼りがいがあるもの。ねぇ、例の秘密の恋してる相手とも野球観戦いいかもよ~!」
からかうように言ってくるユリさん。
僕の顔が赤いのもそれのせいだと思ったのか、
「っもう、チャンミナったら奥手なんだからぁ。」
なんて。




隣のユノがさらに体ごと前のめりに。
ユリさんへ覗きこむように声をかける。


「ユリさん。エリンジュームの花言葉って《秘密の恋》以外にもあるって知ってます?」
「そうなの?それが有名だから、」


「ですね。でも、他にもあるんです。」




「《変わらぬ想い》…コイツね、きっとすっげ一途ですよ。」








───な、チャンミナ?




そう言ったユノの期待と確信に満ちた眸に。
僕は何も返せずにいた。















※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAliの小部屋』













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