HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

APPLAUSE-告白-70

































憂鬱で堪らなかった写真集撮影初日。
撮影を終え、足に根が生えたようにその場に立ち尽くす僕がいた。






どうやって帰ったのか記憶も定かでなく。
呆然と現実と夢の境をさまようようにただ歩いた。
イ・ダルがイ・ダルではなく。
違う、僕の知ってる《イ・ダル》という金持ちを鼻にかけた軽薄で傲慢な男がスタジオには存在しなかった。
かわりに、カメラを掲げたカリスマ。
細かな気遣いと柔らかい物腰。
別人のような向けられる視線の熱さ。



言葉とは不思議なもので、同じ声なのに抑揚や言い回しを変えただけで印象がガラッと変わる。
その声は真摯に僕の心に響き蕩けるように世界に没頭した。


モデルを扱うのが天才的に巧い。
遊び半分だと侮っていたのが、
目の前のファインダーを覗く男はカメラに魅せられ技術を駆使する真剣な男で。
認めたくないのに、夢のなかを浮遊するような熱に浮かされた状態のまま。





「お疲れ、今日の分はここまで。」
そう声が掛かってやっと我にかえった。
その途端全身に鳥肌が立ち、ろくに挨拶もせず逃げるように帰ってしまった。



身体の内側からじわじわと、いつまでも冷めない熱にその日は無理やりベッドに突っ伏した。
この興奮はなんだろう。
モデルとして撮られるのはいつも恍惚とした行為ではあるけど、イ・ダルのそれは特別だった。







翌日からは熱を冷ますようにユノんちへ行っては事細かに撮影の話を聞かせた。
撮影中に深酒はできないから軽くビールを飲みながら。


興奮ぎみに話す僕を柔らかい笑みを浮かべ何度もうなずくユノ。
髪を梳き耳たぶを弄り頬を撫でる。
体は繋げれないけど、熱をおさめたくて。
僕から貪るように口づけた。
舌を絡め口内中を吸い尽くすような。


「ユノ、…っ、ユノ、」
「わっ、…チャンミナ、…!」


飛びかかるように体をぶつけ、支えきれず2人して床に転がる。
下敷きになったユノは痛いだろうに、それでも僕の背をポンポンとあやしながらキスに応えてくれた。


「よかったな、夢中になれる仕事に出逢えて。」
そう言いながら。


撮影は順調で最終日を残すのみとなっていた。
イ・ダルは本当に不思議な男で、球場での絡みや撮影に入るまでの態度はフェイクだったのかと思ってしまうほど。


「チャンミナ、いいよ、目線はコッチ。もっと溜めて、…ん、ああ、…綺麗だ。」


作業着で悪いねと言いながら真っ白なTシャツに洗いざらしのジーンズは気取ったスーツ姿より似合ってる。
なんの手も加えてないサラサラの前髪を鬱陶しそうにかきあげ、そのうち適当なタオルを頭に巻いて。


───綺麗だ、と囁く男に。


あれほど嫌悪感を抱いていたのが嘘のように、ファインダー越しの視線は心地よくブラックライトのなか青白く浮きあがる自分に酔った。








あっという間の撮影期間を寂しく思う自分が信じられない。
あれほど鬱陶しかったイ・ダルなのに、撮影中はほとんど会話なんて無くて。
それなのに一旦カメラを向けられれば、言葉なく雄弁に会話した。
イ・ダルの熱い視線と絶え間ないシャッター音が僕とイ・ダルの会話だった。



お疲れ様と差し出された手に一瞬躊躇する。
撮影が終わり、また無遠慮な男に戻るかもと思ったから。
「修正が終わったら一度確認してほしいな。満足のいく作品をお見せできると思いますよ。」
あくまでも礼儀正しく接するこの1週間のイ・ダルに、僕の警戒心は薄れていたのかもしれない。
「はい、楽しみにしてます。」
同じように礼儀正しく返し握手をして。


撮影の満足感ともの寂しさ、そしてこの男とはもう関わらずにすむという安堵感。
それがほんのひと時だったとは、この時の僕は想像すらしなかったんだ。




そして最終日にして最悪な鉢合わせをしてしまうとは。



その日はユノの仕事が休みで。
「撮影が終わったら2人で打ち上げするか。」
なんて、撮影前から暫く我慢させてたからユノとしても待ちに待った日なんだろう、機嫌よく誘われた。


いつものビールバー、現地集合の筈がスタジオを出たところで見慣れた立ち姿。
それこそタバコくらいの大きさでもすぐわかる。
広い背中に厚みのある身体、そこにちょこんと小さな顔がのって。
実はモデルの僕より姿勢がいいとは認めたくないが、実際立ってるだけで誰より目を惹くその容姿を分かってるのかどうか本人に自覚がなさそうで。
僕がどんなにヤキモキしてるかなんて、───気づいてないんだろうなぁ。


すぐに視線が絡まって、遠目でも柔らかく笑うユノがわかった。
本当は飛びつきたいところだけどこんな公道ではそれも叶わず、もどかしく足を運ぶ。


撮影が終わった開放感と。
暫く僕を悩ませたイ・ダルからの解放感。
すぐにでもユノで埋めたいほどユノに飢えていたというのに。


近づく僕らの脇を、軽くクラクションを鳴らし通りすぎた車。
真っ赤なアルファロメオ。
僕に向かって軽く手をあげ、そのまま視線はユノへ。
ニヤリとそれは愛想というより挑戦的な笑みで、



「…今の、アイツ、…」



固まったように動かないユノへ僕は言葉が探せず、遠ざかるバックライトをただ眺めていた。










 




※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAliの小部屋』












にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。