HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

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APPLAUSE-告白-84



































「っ、…痛い、ユノ、…やだ、離せ、っ、」






容赦なく掴まれ引っ張られる腕がもげそうに痛い。
事務所の脇から裏道へ入りさらに細い路地裏。
日が落ちてまだそう経ってない。
密集したビル郡のわずかな隙間から1等星が鈍い光を放っていた。






───チャンミナ、おまえはあんなヤツを選ぶのか?






いきなり言われて何のことかと。
もしかしてふざけてる?
僕は今そんな気分じゃないんだよと軽く睨んで目的方向へ先を歩いた。
「っ、痛!」
後ろ手を取られ躓きそうになる。
「ユノ、急に引っ張ったら危ないって、…っ、ちょっと、…!」



ユノはふざけてなんかないと、その時やっと気づいて。
いつもの不機嫌を隠さない拗ねたような怒りとは違う。
静かだった。
僕が好きな表情豊かな口元からは何の意志も伝わらず、深い漆黒が僕を見据える。








初めて見るユノ。
そんな顔しないでと反対の手を頬へ伸ばし、
「…ユノ?」
触れる寸前スッと拒絶されるまで軽く考えていたんだ。




「ユノ、…どうしたの?」
「……。」
拒絶され行きどころをなくした手が宙をさまよう。
「ユノ?なんか急に変。」
おろそうと力なく結んだ手を今度はユノの大きな手で包まれた。







「…な、チャンミナ、…じいちゃんのカフェの話さ、やっぱもう一度考えてみないか?」
「え、…?」
「スペインのアンダルシアをイメージした真っ白な外観の建物なんだ。1階部分がすべて店舗で2階3階は賃貸の部屋が4部屋。その店舗部分が元々カフェになってるから簡単に改装するだけですぐ営業できる。」
「…ユノ?」
「なあ、夢だったんだろ?」




気づけば両手の指が絡まり背中の壁に貼りついていた。
お互いの手がじんわりと汗ばみ緊張感を伝える。
目の前のユノは笑ってるのに笑ってない。
必死に何かから逃れるように僕を追いつめる。




「僕は、…自分の店を持ちたいんです。雇われ店長じゃなくて。それにユノのお祖父様に世話になるのは嫌だって、…
「っ、じゃあ、…!」
ぐっと手に力が入り、痛みで顔が歪む。





ユノが、ユノじゃなくて。
僕の知ってる、───ユノじゃなくて。





「俺がじいちゃんから店を買う。それくらい自由になる金ならある。」




「───だから、チャンミナ、」






小鳥や木々に笑いかける朗らかなユノじゃなくて。
焦って僕を置いてきぼりにして、それを謝ってきたユノじゃない。





「…ひどい、ユノ。お金の問題じゃない、…モデルの仕事も応援してくれてたのに、…」







悲しかった。
僕の夢は花に囲まれたカフェで、
隣にはユノがいて、
毎日のようにいちごスムージーを作るんだ。
ベトついた口まわりをペロリ舐めながら子供のように笑う人へ、「太りますよ?」なんていつものお小言。
ユノは何て言うかな。
「おまえのは特別。」って、噛み合わない答えを堂々と言っちゃうんだろうか。



そんなささやかな夢。
それは変わらないのに。
でも今の僕にはまだやらなきゃならないことがあって、裏切れない人もたくさんいて。
イ・ダルの執拗な執着もユノの存在があればこそ耐えられると思っていた。



半分脅しのようなヤツに屈するんじゃなく、ユノのように自分で道を選びとりたい。
できることなら無理やりイタリアのエージェントと契約したわけじゃなく自ら選んだと胸を張りたかった。
───でも帰る場所は、ひとつで。








「イタリアへは、…行くなよ。モデルの仕事ならここでも充分できるだろ?」
「ユノ、…今さらだよ、もうほぼ決定してるんだ。」



それをユノへ求めるのは身勝手すぎる?



「なら辞めろよ。モデルなんて辞めろ。」
「な、なに言って、…っ、」
「チャンミンには向かない。どうせ資金作りのつもりだったんだろ?」
「…まだ、無理。」
「金なら俺が出すからっ、」
「ユ、…っ、…!」



むちゃくちゃだ。
ついこの間までと言ってることがまるで別人のようで、何があったのか聞きたいのに。
さっきまでは壁に押しつけられても指が絡まり感じていた熱が、今では手首を握られ痛みと拘束しか感じない。






きっと手首は赤く痕がついてる。
撮影を気にしていつもどんな時も確認してからしか痕を残さなかったユノはどこへいったのか。






「ユノ、…駄目だよ、まだモデルは辞められない。」
「……、あの男がいるから?」





「え?」





「アイツ、…球場で会ったあの男がいるからだろ?」
「…ユノ?」









「───もう、抱かれた?」




パァンと渇いた音が響いて。
予想していたのか力を抜いていたユノが軽々と数歩後ずさった。



僕は言葉が出ず。
ユノもまた。



赤く腫れた頬は僕の思いきりで痛々しいけど、僕の方が痛かった。
胸が痛くて、必死で堪えたのにいくつか零れるものをとめることができない。



「サイテーだよ、ユノ。」



ぐいと袖でぬぐい足早に大通りまで歩いた。
一刻も早くこの場を去りたくて。
僕の知らないユノから逃げたかった。









平手打ちされたまま動かない横顔が、ペンキで落書きされたコンクリートの壁を背景に映画のワンシーンのようで。
こんな酷いこと言われてもそう思ってしまう自分が心底情けないけど。






まさかこの記憶が、しばらく会えないユノの最後の姿になるなんて思いもしないから、───。
















※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAliの小部屋』

















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