HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

APPLAUSE-告白-90




































「ユノ、…あんた、チョンユンホ、なのか。」







心底驚いたような掠れた声。
同じような境遇で自分の祖母がお気に入りの坊やと言うくらいだ、名前だけは幾度となく聞いて知っていたらしい。



「…あんたがイ・ダルだってのも最近知ったよ。」


それはどうやらお互い様らしく。
あれ?
僕、いつ名前を教えたっけ?
写真集の正式な発売日はまだ先で、ユノの目には触れてないはず。


「チャンミナ。」


ゆっくりと目線を移しユノが歩み寄る。
昨夜呆れるほどキスしたばかりなのに、目の前のユノはどこか遠く感じた。
きらびやかな照明のもと、仕事へ行くときの軽くサイドへ流した髪型じゃなく家での洗いざらしのサラサラでもない、サイズぴったりのタキシードを着こなしそれを引き立たせるようバックに流した髪は普段より大人っぽく男らしく、近寄りがたいほど別世界の人だった。
生まれ持った育ちの良さは隠しようもなく、やはりこの人は僕とは違うんだなんて思えば無性に寂しくなる。





「ユノ、昨日はそんなことひと言も、…」
「ん、…今朝、急きょ頼み込んだ。」
「僕が来てるって、知ってた?」
「うん、そのスーツ姿見なきゃってさ。」
「ふ、…バカ、…」


喋ればいつものユノ。
ふざけた物言いも、でも細めた眸がとてつもなく優しいのも。






「っ、おい!」
肩を引かれ振り向けばイ・ダルだった。
「あんたがチャンミナの彼氏だろうがチョンユンホだろうが、どうでもいい。チャンミナは俺とイタリアへ行く。いい加減諦めろよ?」
「っ、なっ、…!」
なに言ってんだよ!と肩の重みを払うため振り上げた手を逆につかまれた。



それはユノで。
掴んだ手首から器用にスルスルと手のひらまでおりてくる。
親指でつつかれ開いた指に自然に絡まるユノの指。


「チャンミナ、ちょっとだけ口出させてもらったけど怒んないで。」
イ・ダルのことは無視するつもりか僕だけを見つめて。
「事務所への義理とか仲間の為とか、そういうの抜きにして純粋に選んでほしかったんだ。おまえが真剣にやってみたいなら俺は何年でも待つよ。イ・ダル、ヤツが一緒でも、…まぁ、我慢して信じて待てる。」
「ユノ?」




お互いの指を絡めたままユノが視線を向けたのは女社長。
いつの間にかセギュンさんと並んでこちらを凝視していた。
セギュンさんは明らかに苦笑いというか呆れ気味で、女社長はポーカーフェイスなのかその表情から何も読み取れない。


というか、こんな場所で手を繋ぐ男2人。
おかしくないか?
恥ずかしさが急に襲って一瞬で汗が噴きだす。
でも、気づいてしまった。
パッと開いた手を逃さず握り返す僕より大きな手を、いつもあたたかい温もりをくれる大きな手を、───僕は手離そうとしていたんだと。






そう思えば息苦しいほど胸の奥が熱くなる。
ユノと離れてモデルの可能性を試したいとか、



無理だ。
無理だよ、ユノ。



僕の夢は花に囲まれたカフェで、
その隣にはユノがいて、



僕はなにを意固地になっていたのか、
それだって立派な夢で、
今では僕とユノ、2人の夢だ。










ユノを見た。
ユノの視線はもう少し遠く。
そのうち僕へ向けて声が掛かる。
先程までセギュンさんと言い合いしてた砕けた感じではなく、優しいけどハッキリと。


「チャンミンさん、写真集素敵でしたよ。カメラなんてものに夢中になって遊び呆ける孫ですが素晴らしい作品でした。」
「あ、ありがとうございます。」



懐が深いというか器が大きいというか、それほど話してないのにひしひしと感じる大物感。
僕へ接する顔はセギュンさんへのそれとは違い社長然として緊張してしまう。



「のんびりお話したいところですが、そうも言ってられませんので単刀直入に申し上げますね。」
「は、はい。」
ユノがいてセギュンさんや社長やイ・ダルや、その場の全員が固唾を飲んで話の行方を窺っている。
「新ブランドの専属モデルやあなたの事務所を評価していることはチャンミンさんのエージェント行きとは無関係です。馬鹿な孫が何を言ったか知りませんが気になさらずご自分の道を選んでください。」


緊張しすぎてゴクリと喉が鳴った。
ユノと目が合う。
ユノの頬が緩み安堵の表情を僕もまた同じように。




「あちらのエージェントから何人か候補者のリストがきてるはずなんだ。もちろんチャンミナも入ってるけどチャンミナだけじゃない。よく考えて自分の為だけに選べばいい。おまえの夢は俺の夢だよ。いつも気持ちは傍にあるから。」


またクサイことをと、そう言いたいのに口を開けば泣いてしまいそうで。
ぐっと奥歯を噛みしめ耐える。
ついでにみんなの視線にも耐える。
イ・ダルの舌打ちにも耐えた。








「ユノ、…っ、辞める。」
「へ?」


無意識にぽろっと思いが出てしまって、一旦出たら止まらなくなった。


「辞める、…イタリア行きもモデルも、全部辞める。セギュンさんのお店で雇われ店長してお金貯めていつか自分の店持つ。ユノは手を出すなよ、自分で叶えるから。」
一気に言えば焦ったのはユノで。
「おいおい、そこはもう少し慎重に考えようよ、な?」なんて。



でも僕はもうそれしか頭になくて。
ぶんぶん頭を振ったらついでに涙もでてきた。


「っうわ、…!」
慌てて僕の顔を肩先に押しつけるユノ。
「これは誰にも見せられない。」
なんて言ってるけどセギュンさんはもうとっくに見てる。









「こらユンホ、いい加減にしろ!みんな困っとるだろうが!」
そのうちセギュンさんが怒りだして僕はやっと解放された。
されたらされたで周りが見渡せて恥ずかしくて堪らない。
セギュンさんはブツブツ怒ってるし。
事務所の社長はこの事態を飲み込めてないのか呆然としたまま。
女社長は他の招待客の方へ行ってしまっていた。



そして、イ・ダル。
ヤツの視線は痛いほど感じていたけど、どうしても目を合わせる気にはなれなかった。









「なあ、じいちゃん、チャンミナとゆっくり話したいんだけど?」
口では遠慮がちに聞くけど、僕の腰を抱き足先は完全に出口へ向かう。
「ユノ、帰ってからでいいです。」
だって社長がいるのに途中抜けはマズイだろと拒んでみたけど。


「ユンホ、今夜は俺とばあさんにつき合って一晩中飲み明かす約束だぞ?」


そんなこと言われたら今しかないじゃないか。
社長、と僕が駆け寄るより先にユノが社長の元へ行く。
あっという間に交渉したのかチラッと僕を見てウインクして。
またあっという間に戻ってきて僕の腕を引く。






「こらぁ、ユンホ!すぐに戻ってこいよっっ!」



「分かってる、2時間後に直接行くから。じゃあなっ!」





僕らは足早に会場を飛び出て。


「おい、ユンホ!こらぁっっ!!」





セギュンさんの声を遠くに聞いていた。





















※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAliの小部屋』















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