HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

APPLAUSE-告白-97


































昨夜のお詫びと今後の話し合いで事務所へ行くと言えば、外で待つから着いていくと聞かず。
「近道があるからついて来いよ。」とずんずん歩いていき、地下鉄で二駅もあるのに裏道で徒歩15分という近さだった。
ということはユリさんのカフェにも近いんだなと思いつつ、ふと見れば真っ赤なアルファロメオ。






「…ユノ。」
ダウンの裾を引っ張り隣を見れば予想通りって顔して、
「まあ、昨日の今日だし、…来るだろうな。社長がもっとしっかりした仲介人を寄越すって言ってたし。」
社長というのはイ・ダルの祖母を指して言ってるのだろう。
「大丈夫、あちらのエージェントから送られてきた候補者リストを持ってきてるはずだから。最初にチャンミナの希望を聞いて今後のことを検討してもらえるよう約束してくれた。」




この人は、僕がスイートルームで睡眠を貪ってる間もそんなことに奔走してくれたのだと思う。
「あ、また手出し口出し無用、とか思っただろ?」
ふざけて言ってくるけど、
「ありがと、…」
そう言うのがやっとなくらい僕は胸がいっぱいだった。







「適当に時間潰してるから、気にせず話し合ってこいよ。」
そう優しげな笑顔をむける人の、その笑顔を僕は守りたいと思った。
飲んべえの泣き上戸で、お金もないし何の力もない、…しかも同性で問題アリアリだけど。


でももうこの人に、あんな悲しい顔はさせたくない。
それくらいなら僕にも、…いや、僕にしか出来ないんじゃないかと、そう思うようになった。






「うん、行ってくる。」
ユノの顔へ手を伸ばす。
少しだけでいい、触れて、その温もりに勇気を貰いたい。
社長やおそらく居るであろうイ・ダルへしっかりと自分の意思を伝えられるよう。
「ん、…」
それが伝わったのか前屈みに近づくユノ。
「あっ、…///」
「ん?」
「ど、…どうして、V ネックなんか着てくるんですか!///」
「あー、大丈夫大丈夫!さ、行ってこい。」
「え、っあ、ちょっと、」
くるっと体をひっくり返され背を押される。
言いたい文句はいっぱいあったけど、今は目の前の問題に集中しなくちゃいけない。







「ユノ、これが終わったら、…チェコビール飲ませてくれる?」
振り向いてボソッと言えば、
「ああ、…あの日のやり直ししよう。」
くしゃりと笑って嬉しそうに僕の頭を撫でる。
そんなユノともう一度だけ視線をあわせ、僕は事務所へ入っていった。

















社長室を出てエレベーターで降りる。
中途半端な時間帯だからか閑散とした事務所内で1階ロビーへ足を踏み入れた直後、──チャンミナ、と呼ばれた。



めずらしくスーツではない、皮のパンツにゴツいブーツ、黒のフェイクファーコートなんてまさにホストっぽい男が腕組みしてこちらを見ている。




「イ・ダル、…」



「…もう帰えんの?」



ニヤリと口角を上げ、ふてぶてしさは相変わらずなのにどこか弱々しく感じた。



「貴方こそ僕より先に部屋を出ちゃって、社長と今後の打ち合わせはいいんですか?」
「あー、いいよ、祖母さまが仲介のプロを立ててきたんだから俺の出番はもうなし。」




「…そうですか、…じゃあ、僕はこれで。」



さっさと立ち去ろうとしたのを素早く腕をとられよろけそうになる。
睨もうと顔をあげてヤツの強い視線に捕まった。
それでもそらさず、さらに睨みつける。








「なあ、…本当に辞めるのか?」
眉を寄せしぼりだすように言う。
僕はこたえなかった。



「エージェント行きどころか、モデルの仕事も辞めちまうの?」
掴まれた腕が痺れそうに痛い。
離せと腕を引けば拍子抜けするほど簡単に離された。
「はい、もっと大切な夢がありますから。でも契約満了までは続けますし、新しい仕事を入れないというだけでご迷惑は極力かけないように対処するつもりです。」
意識して淡々と機械的に話した。
イ・ダルの強引なペースにのまれないように。
それなのにヤツはどこか変で。
離した手をコートのポケットに突っ込み弱々しく笑う。








「軽薄で横暴な男だと思ってる?」
「……。」
「祖母さまがチェックしてたファッション雑誌で初めてチャンミナ見てからファンだってのも本当だし、球場で偶然会った時は震えた。運命だと思った。絶対手に入れると誓ったんだ。」
「……。」






「本気なんだ。」






イ・ダルの本気を気づかないほど僕は鈍くない。
ただ過敏すぎるほど最初からヤツを意識していたユノに対して、口では嫌だと拒絶しながらユノから見ればかなり危なっかしい僕の態度だったと今さらながら思う。







「…白状します。貴方のカメラへの情熱と技術、貴方がつくりだした撮影のあの空間に酔いしれたのは本当です。」
「チャンミナ、…」




「でもダルさん。…風や小鳥の声を聴き、木々や舞う葉っぱにまで話しかける人の視界の中に入れた、…」




「───それが僕の、奇跡なような運命なんです。」




イ・ダルはそれ以上なにも言わなかった。
ただ出口へ向かう僕の数歩後ろをついてきた。
ヤツには、…もちろん僕にも見えていたから。






「ユノ。」






絶対に引かないと、力強い視線で真っ直ぐに立つユノが。







「チャンミナ、終わった?」
「あ、はい。」
僕だけを見てにっこりと笑うユノ。
昨日のパーティーでもそうだった。
イ・ダルの存在を無視してるかのようなユノの態度。
「じゃ、行こっか。」
僕の隣に立ち先を促す。


「っ、チョンユンホ、…!」


イ・ダルが駆け寄りユノの肩を弾いた。
息の荒いヤツとは対照的にユノは冷静で、僕の背に手を置いたまま立ち止まる。




「イ・ダル、…あまり勝手なことばっかするな。祖母さまも心配してたぞ?。」
「余計なお世話だ!あんたがチョンユンホだったせいで計画がすべて狂った。」


ヤツは何を言ってるのか。
もともと存在していた候補者リストを隠し強引に事を進めようとしたヤツが悪いのに。


「チャンミナはモデルとしてもっと活躍できる。その才能がある。それを全て捨てるなんて、ユノ、あんたこそ自分勝手な男じゃねぇか。」
吐き捨てるように言いユノを睨む。





一瞬だけ動揺し、
「…チャンミナ、捨てるって?」
僕を覗きこむから。


「ユノ、…僕の好きなようにするって言ったよね。」
穏やかに、迷いなく伝える。





「今から内装工事の計画立てて見積りだして、契約してやっと着工。学生時代から資金貯めてるんだ、内装費用はほぼまかなえると思う。」
「え、…チャンミナ?」



きっとユノは僕がモデルを続ける予想をしてたと思う。
でも僕は昨日からもう決めていた。
モデルという仕事にまったく未練がないかと言われれば、…あるかもしれない。
急に辞める選択をしたことで、ハヌルさんや他の仲間へ申し訳なさでいっぱいだ。




「実家で花屋のノウハウは経験してるし、アレジメントの勉強もした。でもまだまだ未熟で勉強することだらけで。カフェを開業するのに食品衛生責任者資格だって取らなきゃ、全体のコンセプトもしっかり決めておきたいし、…」






でも目の前にいくつかの途があるとしたら。
僕は迷わずユノと歩く途を選ぶ。






「ぅわっっ!」
急に腕を引かれぎゅうっと思いきり抱きしめられた。
ユノの肩越しにイ・ダルと目が合い発火したように熱くて。
「ちょっと、…っ、ユノ!///」
引き剥がそうとしてもなかなか離れない体。




「嬉しいチャンミナ、…絶対に幸せにするから!」
などと、また僕をイラつかせることを言う。
「あ、甘やかされて守られるばっかは嫌だってあれほどっっ、…!」
体を捩って拒否をあらわせば、
「ああ、ごめん!俺のことも幸せにしてっ!」
なんて慌てて言ったり。







僕の目の前、無遠慮に凝視してくるイ・ダルの存在を忘れてるんじゃないかってくらいのユノ。
僕はまあ、…恥ずかしいけど、でもヤツにはこれくらい見せつけた方がいいかもしれないと無理やり納得する。



「ああ、そうだ。」
ふと体の隙間に風が通り僕から離れるユノ。
躊躇なくイ・ダルへ振り向き数歩近づいた。
「コレ。」
指差した先は自分の首もと、…瞬時にわざと?とVネックセーターの意味に気づく。
「…っ、なんだよ?」
チラッと視線を向けたヤツも気づいたらしい、ぎゅっと口を結んだ。




「っ、…!///」
僕はもう恥ずかしさや怒りを通り越して情けなさしか感じない。
そこには今朝僕が悪戯したばかりの、…調子に乗って咲き散らかした真っ赤なしるし。





「───チャンミナの半身は俺だ、間違えるな。」




それだけ言って爽やかに口角を上げる、
爽やかでも可愛くもない、独占欲の塊のようなユノがいた。

















※タイトル画、バナー画像をAliさんよりいただいてます『ホミンを愛でるAliの小部屋』

















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