HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

キスは1日3回-7




































チャンミンside






それは僕が望んだことだったのに、───。






人付き合いがうまい人ではない。
人見知りが激しく慣れるまでに時間がかかる。
それでも一旦懐に飛び込んだら誰よりも優しくて可愛らしい人だと思う。
僕なんか人見知り同士で大変だった。
マンツーマンなのに普通に話せるまでひと月。
笑って冗談を言えるまでに3か月はかかったんだ。




「強引に誘って飲みに行ってきた。それがさ、ああ見えて酒豪なんだよ先輩。」
思い立ったらすぐ行動のヒョンらしい。
昨日は休み前なのにめずらしく何の連絡もなかった、…そうか、そういうことか。
そういえば昨日の先輩はどこか浮わついて変だったと今さら思いだす。
「先輩って、…ユノヒョンと同期なのに。女性に対してその呼び方は失礼じゃないですか?」
「あ、いーのいーの。チャンミナ目線で見てるんだから。別に先輩って言っても怒んないし。」
この人には相変わらず自分だけのルールってやつが存在するらしい。


チャンミナ目線って、…
僕目線で見る必要がどこにあるのかと思うけど。
僕がお世話になってる先輩と仲良くなりたい、そう言ってくれるのは素直に嬉しい。
それに先輩がユノヒョンへ向ける神経質な態度が少しでも和らげば他の女性社員からのバッシングも減るだろうと思っていた。




それが、


「先輩が仕事の鬼って本当だな。頭んなか新商品のことしかないってさ、面白いヤツ。」
あっという間に打ち解けた。


「チャンミナのこと、真面目だし覚えがはやいって褒めてたぞ。」
いつの間にか先輩の話題が増えた。




先輩は女性同士で群れるタイプではなく最初こそ商品開発一筋の堅物女がと陰口を叩かれもしたけど、そのうちみんな気づいてしまった。


化粧っけのなかった人がいつしか薄くメイクをし紅をさす。
元々綺麗な人なんだ。
表情にも艶がでて誰もがハッと振り返るほど変わった。
ユノヒョンと仕事で対等に話せる女性は先輩だけで、それもみるみる美しくなる女性だ。



お似合いの美男美女と噂されるまでにそう時間はかからなかった。








その噂を知ってか知らずか、ユノヒョンは相変わらずだった。
毎朝、アラームが鳴る前に目が覚める。
急いで顔だけ洗って、ちょっと鏡の自分とにらめっこ。
どこをどう見ても男の顔が映っていて、鏡の表面を指でなぞり、「…目は、僕の方が大きい。」なんてつい言ってしまったのに気づいてからの自己嫌悪はひどかった。



それから暫くしてヒョンからの電話。
「おはよー、チャンミナ。朝飯食うぞ。」
そう朝とは思えないテンションで言われるだろう。


僕は、今起きたって顔して行くんだ。
歯磨きしていくのはおかしいから、何度も何度も口をゆすいで。
朝っぱらから濃いのはしてこない。
おはようの挨拶かわりに重ねるソレを、期待してるわけじゃないって自分に言い訳しながら。









その日は主任以上のミーティングがあって、ユノヒョンも先輩も含まれていた。
「ユノさんってすぐマヨネーズ推しするのよ、よほど好きなのね?」
なんて微笑みながら僕の肩に手を置いた先輩が可愛くて。


ユノヒョンはどんな魔法を使ったのだろうと思う。
それほど柔らかく女らしさを増した先輩は男性社員からも注目を浴びていた。


それでもみんな、口々にこぼすんだ。


「まあでもユノさんが相手じゃ敵わないよなぁ、…な、チャンミナ?」


僕は言葉につまって。
でも押し出すように漏らした笑いは、カラカラに乾いていた。






夜、夕飯を食べたばかりの早い時間にユノヒョンが来た。
手に袋をぶら下げ夜食だと言う。
「あの、…僕、夕飯食べたばっかですけど。」
「俺も俺も、外で軽く食ってきた。チャンミナの夜食は別腹だろ?早く試してみたくてさ。」
ガサガサ取り出したのはホットケーキミックスと卵、そしてマヨネーズ。



「ふんわりサクッとしたパンケーキ作ってやるよ。これ、ポイントはマヨネーズなんだよね。」
ふんふんと鼻歌さえ聞こえてきそうな様子でキッチンに立つヒョン。
「小麦粉のタンパク質が結合するのをマヨネーズの乳化された植物油や酢がふせぐらしいぞ。それに表面をサクッとさせる作用もあるってさ。」





外で軽く食べてきたって言ってた。
よほど楽しかったのか上機嫌なユノヒョン。


「…先輩、ホットケーキとか焼くんだ。」
試すようにポツリと言えば、
「ああ、結構料理は得意らしい。食いしん坊なんだと。新商品のヒントは大衆食堂にあるとか言って、すげぇ旨い店に連れてってもらった。」




それは良かったですねと、僕はにこやかに言うべきなんだ。
それなのに喉がつまったように声がでない。



「恐そうな無愛想のオヤジにレシピ聞いてんだぜ?ホントに仕事の鬼だな、アイツ。」
勝手知ったる人んちで、シンク下からフライパンを取り出しながら冗談まじりに話すヒョンに僕はピクリとも笑えなかった。


「…2人きりで行ったんですか?」
きりきりと胃が痛くて。
「ん?なに、お前も行きたかった?」
なんでもない事のように話すユノヒョンが憎らしくて堪らない。







僕は、先輩に嫉妬してる。
たぶん、どうしてか分からないけど、…嫉妬してるんだ。






「その店のマヨネーズたっぷり手作りソースが絶品でさ、」
「…ヒョン」
「今度チャンミナも一緒に、…
「っ、ユノヒョンっっ、…!」





もう限界だった。
これ以上ヒョンの話を聞きたくなかった。



「ヒョンはマヨネーズに誘惑されすぎ。食べ過ぎは体に良くないって高校の時も言いましたよね?」
「…へ、…そうだっけ?」



いつもは大らかすぎる性格も僕の癒しになっていたのに、今はただ不愉快でしかない。
じわりと手のひらが汗ばみ意味もなく焦燥感で胸が逸る。



「ヒョン、僕、頭痛がひどくて、…もう寝るところだったんです。パンケーキはまた今度にしてください。」
棒読みの台詞を吐いて不自然なほどヒョンの視線を避けた。
「チャンミナ?」
やっと僕の様子に気づいて近寄るけど、…ごめん、今夜の僕は変だから。
「…どうした、気分悪いのか?薬持ってきてやろうか?」


お願いだから、ヒョン。


「顔色がよくないな、熱測ろうか。」
「っ、触るなっっ!」


僕のことはそっとしておいて。


「…チャンミナ、…」
「ご、ごめんなさい、…今日は、もう、…」



心配そうに覗きこむヒョンへ体ごと背を向ける。
本当に頭痛とめまいまでしてきた。
何が原因って、──わかってる。
ユノヒョンが先輩と2人きりで楽しい時間を過ごし、僕はそれを惚気られてる、それだけだ。





頑なに目を合わせない僕へ大きな溜め息を吐き、
「わかった、…邪魔したな。今夜はゆっくり寝ろ。」
そして大きな手で後頭部をひと撫で。
僕はもう自分の情けなさに泣きそうで、ぐっと耐えるから返事すら出来ず。




じゃあな、と名残惜しそうに帰っていく人を見送ることも出来なかった。
こんなときにさえ僕の脳裏に浮かんだのは、
今日は1回しかキスしてない、で。


ヒョンの気配が消えた部屋でひとり、
自己嫌悪の涙を流した。



















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