HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

キスは1日3回-9
































チャンミンside






それからの僕を、僕は最大級に褒めてやりたい。





「は?だってアイツ、俺のこと嫌いだったろ?」
「意識してるからこそですよ。けなげじゃないですか。」
「や、そんな素振り全然ねぇよ。」
「気づいてないの、たぶんユノヒョンだけです。」
「はあ?」


納得いかなそうなヒョンを淡々と説得した。
僕だけ気づいてることがあるんだ。
先輩はユノヒョンにとって周りに群がる女性達とは違うってこと。
ヒョン自身気づいてないと思う。
それが恋とか愛ってやつかは僕にも分からないけど、…いつか、そうなると思う。



「チャンミナ、…でも俺は、っ、…」
「ユノヒョン。」


そうなってほしいと、僕は思わなきゃいけない。



「先輩がね、僕の唐揚げのレシピを教えてほしいって言うんですよ。やだなぁヒョン、一番の大好物が僕の唐揚げなんて恥ずかしいじゃないですか。」
「チャンミナ、待てよ。」


ユノヒョンの応援を僕はできるから。


「でもお世話になってる先輩とユノヒョンのためだから今度うちへ招待します。唐揚げパーティーしましょう。」
「いいよ、そんなの。」
「あ、ビールはユノヒョンが持ってきてくださいよ。」
「なあ、って、」


一度止めたらもう喋れない気がして、
ユノヒョンが何を言っても喋るのを止めなかった。


「だから今度から唐揚げは先輩に作ってもらってくださ、…
「っ、チャンミナ、黙れっ!」


そんな恐い顔したって僕はちっともビビらないよ。
本当に恐いのは自分自身だから。
ユノヒョンとの数ヵ月を失くすのが、身を引き裂かれるようにツライと思ってしまう自分自身だから。



僕は変わらず壁を背にしていて、でももうお互いの腕は解かれ隙間をつくって向き合っていた。
そっと両手でヒョンの頬を撫でる。
ピクッと一瞬体を強張らせたヒョン。
いつもと逆じゃないかと少しだけ笑って、




「ね、…最後のキス、しましょう、…ユノヒョン。」




衝突のようなものじゃなく、静かに、
ありったけの想いをこめた、
僕から最初で最後の、───。















ほろ苦いキスの記憶は未だに生々しく残っているのに、日常は流れるように過ぎていく。
あれからなかなか帰ろうとしないヒョンを頑なに拒否して追い出すように帰してしまった。
最後のキスとは、言葉通り最後のキスで。
いくらヒョンが嫌だと言ってもコレだけはお互い納得しなければ成立しない関係だから。




「次に会う時は先輩と揃って来てくださいね。」


いずれユノヒョンが先輩とつき合えば僕はまた通常の後輩に戻るだろう。
熱病に冒されトランス状態でのヘンテコな約束を、いつか笑って冗談話にできるかもしれない。
そうなればいいと思う。



ユノヒョンとは会社で度々会う。
商品開発部と取引先の橋渡しのような役割を担う営業はとにかく忙しそうだった。
細かなデータの収集や分析、方向性の決定など、広い視野を持ち説得力に長けるヒョンはやはりさすがで。
カリスマ性というのは天賦の才だとユノヒョンを見て改めて思う。
僕は僕で目標があってこの会社を選んだのだから、派手さはなくても確実に一歩一歩進めたらいいと思う。




「チャンミナ。」


今はそれぞれ食べるようになった社員食堂で、久しぶりに声を掛けられた。
ドクンと胸が鳴って、声が上擦るんじゃないかと返事すら出来ず。


「今日で仕事の区切りがつくからさ、明日は休み前だしアレやってよ。唐揚げバーティー。」


そんな約束、覚えてたんだ?と、いつもと変わらない笑顔に嬉しいような寂しいような何とも言えない気持ちで、それでも約束だからと頷く。
「じゃあ明日な。アイツも連れてくから。」
何気なくにこやかに言われた言葉。
それが鋭い矛先をもって僕へ突き刺さるとか、どうしようもないのに、僕は未だに息を飲んでしまうんだ。











ユノヒョンと先輩がつき合ってるという噂は聞かないけど、先輩がフラれたという噂も聞かない。
社内恋愛禁止の会社ではないけど、仕事上やりにくいだろうからこそこそつき合ってんじゃないかというのがもっぱらの予想だった。



翌日、結局先輩は僕と一緒に会社を出て、買い物してから独身寮へ向かった。
ヒョンは少し遅れるらしい。
ビール持ってきてくださいよ、と言えば片手をあげて合図して、少しだけ元の関係に戻ったようでそんな些細なことが嬉しい。


鶏肉は朝から下味をつけて冷蔵庫で馴染ませていた。
3人分だから結構な量だ。
それとサラダを適当に作って、和え物なんかも簡単に作る。
「私の出る幕ないわね~。」なんて先輩は感心しきりで、僕は褒めてくれたお礼のようにポツポツとユノヒョンの好みを話すんだ。



目玉焼きは半熟より少し固めがいいらしいとか。
ハンバーグやカレーなんていうお子様メニューが好きで、でもデミグラスソースにマヨネーズかけられちゃうからソースに凝らない方がいいとか。
魚を食べるの下手くそだからイラッとしますよと、悪口になりかけたところでやっとヒョンがやって来た。
もう食べるばかりでビール待ちだったから遅いくらいだ。


「遅くなって悪い。ごめんな、手伝えなくてさ。」
スーツからいつものスウェットに着替えたヒョンが両手にビールを持って入ってきた。
スーツ姿じゃないヒョンが久しぶりで、そんなことにさえズクンと胸が疼くなんてマズイのに。


「コレ、懐かしくて買っちゃった。」
ヒョイとポッケから出したのはマヨネーズで。
それもミニチュアマヨネーズだった。
「コレ、…」
「ヒョン、高校時代は肌身離さず持ってましたよね?」
懐かしさでつい言ってしまった。
学年の違う僕らが一緒に弁当を食べることなんてなかったのに。


「ああ、そうそう。でも、…あれ?俺が使ってるの見たことないよな?」
確かに弁当は教室でが基本だったから。
「ヒョンは覚えてないみたいですけど、一度だけ僕、担任の頼まれごとで弁当を食べ損ねて生徒会室で食べたことがあるんですよ。」
キョトンとした顔。
そりゃそうだよね、そんな些細なこと、覚えてる方が変だ。


「その時ヒョン、僕の唐揚げを頂戴って言うなりミニチュアマヨネーズを取り出して山のようにかけたんだ。」
「げ、…っ、マジ?」
ほらね、まったく覚えてない。


「唐揚げにこんな山盛りのマヨネーズ、体に悪い、太りますよって、…僕、言ったんです。」
「あ、ああ、」




「そしたらユノヒョン、何て言ったと思います?」


僕はこんなところで何を言ってるんだろう。
ヒョンはまったく記憶にないし、先輩だってワケわからなくて困ったように立ったままで。


「じゃあ太らない唐揚げを作ってよって言ったんだ。」
「あー、そりゃ無理だよな?」


ユノヒョンもさすがに困惑しだしたのに、
どうも僕は言葉が溢れると止まらないらしい。



「っ、太らない唐揚げなんて無理だけど、…太りにくいマヨネーズなら作れるんじゃないかって、…僕、」



ずっと誰にも言ってなかったのに。
こんなくだらない理由が志望動機だなんて。





「…チャンミナ、…」


うつ向いて、じわりと熱をもった目頭をどうにかごまかしたくて、





「チャンミナ、…っ、どうして、…泣く?」




だけど、ぽたりと一粒おちるのを、
僕は止められなかった。

















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