HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

キスは1日3回-23






































思い返せば、端々で様子がおかしかった。
どうしたんだと、誤魔化されようが問いつめればよかった。
チャンミンからの誘いに浮かれ、欲望のまま気づかないふりした自分が情けない。




チャンミンが去った部屋は寒々しく、いまだ痕を生々しく残すシーツが余計に虚しかった。
最初で最後だと、そんなつもりで俺に抱かれようとしたチャンミン。
やっと、これから始まる、──その俺の思いはただのひとりよがりだった。


幸せの絶頂から一気に転落した虚無感で何も考えたくない。
ああ、仕事を持ち帰ってるんだったと気づいて、今は仕事に追われた方が楽かもしれない。
会議に使う資料と原稿を作成するためパソコンを開き、気づけば深夜まで没頭していた。
どうせ寝れやしないと一心不乱に。
明け方近くに疲れきって、…そしてやっと少しだけ眠れた。







そういやチャンミンの先輩が俺達を数式に例えてた。
どんな数式よりも難解なチャンミン。
唐揚げにたっぷりかけたマヨネーズの会話も生徒会へ立候補した経緯も、言ってくれなきゃ分かんないのに。




翌朝当然のように寝坊して、慌ててスマホを取った。
毎朝の習慣で無意識にチャンミンの番号を表示し、しばらく躊躇する。
昨日あんなことがあって気まずいよな。
もしかしたら電話に出てくれないかもしれない。
そうなれば確実に立ち直れない。


そう迷っていると、コンコンとノック音。
足が縺れるような勢いで出てみれば、やはりチャンミンで。


「…チャンミナ、」
「おはようございます、ヒョン。遅くまで仕事してるはずだから寝坊するだろうなって予想してました。」
昨夜のことなんて忘れたようにニッコリと笑うチャンミン。
「チャンミナ?」
「今日は大事な会議があるって言ってましたもんね。激励のつもりでまたまたヒョンの好きなフレンチトースト作ってきました。」
チャンミンの手にはバットがあり、牛乳卵砂糖を混ぜた液に食パンが浸してあった。
「焼きたてが美味しいんでフライパン借りますよ。」
「っ、チャンミナ!」
「あ、あとバターも。」


とことん昨夜のことは無視するつもりなのかと、キッチンでバッドを置くのを見計らい腕をつかみ向かい合う。
チャンミンの考えてることが分からず、じぃっと表情を窺った。
くりっとした眸をパチパチさせてとぼけてる。
お前さ、…と、一歩前に出れば突然視界が暗くなった。
それはチャンミンの肩で、前に出た勢いのまま頭を持ってかれた。
どうもチャンミンは俺の頭をボールのように扱う時がある。
抱え込んで離さない。
頭だけ抱くから必然的に体の距離が開き、チャンミンを突き飛ばすことなんて出来ないし、かといって抱き寄せようとすれば首が痛い。



 
そんな時はしばらく好きにさせるしかなくて、チャンミンの気が済むまで口をつぐんで我慢した。




「…ユノヒョン。」
「なに?…あのさ、そろそろ離して?首がつりそう。」
「うん、…もう少し、」


これ、抱きあうとかじゃ駄目なんだろうか。
頭だけ単体で抱くから体がお留守になっちゃって寂しいんだけど。


「顔が見たい。」
「僕の話が終わってからにしてください。」
「……。」


チャンミンは意外に頑固だ。
そのうえ難解な性格なんて俺の手には負えないんじゃないかと思うときもある。


けど、それでも好きなんだ。


綺麗な容姿だけじゃない、不器用だけど優しいところも頑固だけど時々素直になるときの破壊力も。



「ヒョン、焼酎のストレートはやめた方がいいですよ。僕、完全に二日酔いです。」
「そう?昨日はそれほど酔ってるように見えなかったけど?」
「ん、…馬鹿な決心、しちゃうくらいには酔ってました。」



馬鹿な決心が何を指すのか、もちろんすぐに気づく。
最初で最後どころか俺に抱かれてもいいと思ったことさえ完全否定かよと、──泣きたいのは俺だよ、チャンミン。




「…ヒョン。」
抱かえ込んだ頭をバスケのボールみたいに挟み直して、…ホント勝手なことする、こんな好きなように触らせてやるの俺だからだぞと言ってやりたい。


「チャンミナ、首が痛いって。そろそろ離してよ。」
「…ん、…キス、してから。」
酷いこと言ってるくせに急に甘えてきたり。
それが通用するのも俺だからだと言ってやりたい。





そうしてるうちにチャンミンの唇が近づき、軽く触れた。
俺の頭はまだ解放されず、チャンミンの手のひらが耳の上あたりを囲う。
もう一度、今度は頭のてっぺんに熱を感じ、お互い背が高いからあまり人に見られることないつむじにキスしたがるのは似てるのにと思う。





「僕はヒョンを尊敬してるし、…好きです。ヒョンの言うキスしたいって意味の好き。でもヒョン、僕らは年齢を重ねておじさんになった時、もしかしたら同じ部署になるかもしれない。」


「その時、これ以上の関係になったらきっと後悔する。キスだけなら若気の至りだったよなって笑い飛ばせると思うんです。」




頭のてっぺんに口をつけたまま喋るから、チャンミンの顔を見たくても顔をあげたらチャンミンの顎に命中しそうで、
「…チャンミナお前さ、…っ、ちょ、手ぇ離せよ。」
うつ向いたまま言っても説得力はない。
「手、離したらこの話はおしまいですからね。」
もう一度キスを落とし、そう言いながら離すけどそうはいくか。



「チャンミン、っ、待てって!」
すぐ背を向けたチャンミンの肩を掴む。


「…ヒョン、あのねヒョンの好きそうなヘンテコな実験を見つけたんです。今度一緒にやりましょう。」
振り返らずそんなこと言い出して。
「それにヒョンの仕事が一段落したら、今度は2人であの大衆食堂へ行きましょう。あの旨い料理がお酒に合うんですよ。ゆっくりヒョンと飲みたいな。」



その肩が微かに震えていて。



チャンミンの求める関係でいることが、チャンミンが語る予定を叶える条件のように聞こえ、


───俺は、言葉を探せずにいた。















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