HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

キスは1日3回-24


































数学は結構得意だったはず。
それなのにまったく解けないこの数式のヒントを誰か教えてほしい。





「ユノさんっ!」
「ぅわ、っ!」
穏やかな冬の晴れ間に誘われ屋上で呆ける俺を不意打ちの平手が襲った。
結構な力だから痛い、なんだよ?と振り向けばチャンミンの先輩。
「さっきまで会議で鬼気迫るプレゼンしてた人物とはとても思えないわねぇ。どうしたのよ?」
目を丸くして両手には缶コーヒー、はいと温かいソレを渡される。
「あ、ああ、…ありがと、」
晴れてるといっても時おり吹く風は冷たい。
冷えた指先にその温もりはありがたかった。



「ねぇ、シムくんと何かあった?」
ズバリ聞いてくる先輩。
そういや先輩が余計なことを言うからチャンミンの様子がおかしくなったんじゃねぇの?
「…べつに、」
でも言わない。
これは誰かに漏らすことではないし、チャンミンを抱こうとして失敗したなんてとても言えない。



「そういえば会議用に作ってもらった参考資料さ、一部数字が間違えてた。前日に気づいて直せたからよかったけどな。」
チャンミンの話題は避けて仕事の話をする。
今、チャンミンの話はしたくなかった。



1日3回というキスの回数制限はなくなったが、前進したようで大きく後退してる気がする。
あんなことを言い出すなんて予想もしてなかった。




「え、…ごめんなさい。シムくんに頼んだ仕事なのに彼が間違えるなんてめずらしい。」
「そう、…ま、事前に修正出来たからいいよ。先輩からひとこと言っておいて。」
そう言って立ち上がる。
そろそろ戻って今日の会議内容をまとめなきゃならない。



じゃあ戻るよ、と言いかけた時、
「シムくんの様子がかなりおかしいんだけど、…クスリが効きすぎちゃったかしら?」ってさ、
ちょっと待てよ?なに、クスリって。


「あ、何かありました、って顔ね。」
にやぁと意地悪そうに笑う。
「クスリって何だよ?」
「私の質問が先でしょ?」
「っ、…」


先輩が好きなのはユノヒョンですよとチャンミンは言うけど、俺にはそうは思えない。
俺が最初に睨んだとおり本当はチャンミンを狙ってんじゃないか?
俺の目を盗んではチャンミンと飲みに行くし。
俺に向ける態度は恋愛対象というよりはライバルに向けるそれだ。



「チャンミナは、やらねぇぞ。」
「は?何言ってんの?」
「だから、チャンミナは俺のもんだってこと。」
女性には親切にしなさいと教えられてきたけど、チャンミンがかかってはそうもいかず、睨むように先輩を見据える。
お互い数秒の間、無言で。
──プッと笑いだしたのは先輩。


ケラケラと腹を抱えるほど笑うなんて失礼なヤツだ。
「なんだよっ!」
「あ~可笑しい!もしかして私がシムくんを狙ってると思ってた?」
「違うのかよ。」
「それで貴方とシムくんが揉めるように仕向けたとか?」
「…そこまでは言ってな、…っ、イテッ!」


思いきりグーのパンチが飛んできた。
チャンミンといい、ホント凶暴な先輩後輩だ。


「誰が好き好んでユノさんとシムくんのキューピットをしてると思ってんの?」
「は?…キューピー?」
「っ、キューピット!愛のキューピットに決まってるでしょ!」
「痛っ、…痛いって。殴るなよ。」
油断すると次々飛んでくるこぶしを手のひらで受けとめる。


受けとめたソレが一度だけぎゅっと握るように俺の手に絡まり、
「──先輩?」
不意を突く行動に戸惑う俺へ、押し返すように離し大きくため息をついた。
「…ユノさんって、…ま、いーけど、…本当に鈍いからシムくんのことも分かんないのよ。」
「じゃあ先輩は分かんの?」
聞けば、自信満々にニヤリと笑う。



チャンミンを理解するヒントが与えられるなら、この際凶暴な先輩だろうが藁にも縋りたい気持ちで。


「チャンミナが俺との未来を見ない。」
そう言った。





「じゃ、じゃあ、…ユノさん貴方にはシムくんとの未来が見えてるの?」
先程までの剣幕はどこへやら、困惑の表情で見つめてくるから、



「もちろん。俺は責任が持てないのに告白なんてしない。」




取り巻く状況が厳しくても、結局はお互いの気持ちで。
その強さがあれば、照らされる道はきっと明るい。
俺はそう信じるから。






ポツリポツリと話しはじめた先輩。
「シムくんって仕事には意欲的だけど社内の人事や組織的なことには無頓着でしょ。だから営業職は4年目で転勤があるのよって以前からたきつけてたの。」
「すっげ稀にな。」
「まあね、…それで焦って関係が進むかなぁと協力したつもりよ。」
「…余計なことを、…」
「なによ、ユノさんだって『かもな』とか言ってなかった?貴方にとっては『稀にあり得る』の『かもな』かもしれないけど、シムくんは誤解したと思う。」





──そうか、だから最初で最後のつもりだったのか?


ふらふらと独身寮に戻って来たときの表情や切羽詰まった顔、すべてが腑に落ちる。







「あ、シムくん?」
「え?」


チャンミンの名前に反応して見れば、スマホ片手に話す先輩。
相手はチャンミンってことだよな。
俺をチラリと一瞥し、
「シムくんに頼んだユノさんの会議用の資料。数字が間違ってて大変だったらしいわよ。今、屋上にいるから謝罪しにきなさい。」
などと、わざとらしいくらいの剣幕で。


「っ、おい、ちょっと、」
事前に修正したから大丈夫って言ったよな?
無駄にチャンミンを落ち込ませたくないのに。



電話を代わってくれと手を伸ばしたら、気づいててわざと通話を切りやがった。
ペロッと舌を出し、
「ユノさんは誤解を招いた『かもな』を謝罪しなさい。」とかさ。



変わった女だと思う。
でも少なくとも俺たちを揉めさせようとしたわけじゃないってことは分かるから、…まあ、たまにチャンミンと飲みに行くのは許すかという気になった。






「っ、ユノヒョン!」
そのうちチャンミンがやって来た。
相当急いだのか、肩で息をしながら。
「すみませんでした、…大事な会議だって聞いてたのに、っ、…!」
本当にすまなそうに言うから、結局大事には到らなかったわけだし、騙してるようで俺の方が悪い気になってしまう。



「そーよ、シムくん!最近集中力に欠けてるからね。同期トップ入社の実力を見せなさい!」
「は、はい。」
すげえ恐い先輩、大丈夫だったって言ったのに。
これで先輩がチャンミンを好きだという線も消えたなと、俺的には気が晴れるようで。




「チャンミナ。」
「…はい。」



仕事の話をしてるのに、このショボンと上目遣いは反則だよなぁなんて思ってしまう。
本人は至って真面目なんだ。
普段部屋で会ってる時とはまるで違う仕事の顔。
俺に甘えてなんてこない。
開発部の他の奴らの方がフレンドリーだと思うくらい一線を引くチャンミン。
でも、そんなところも好きだ。
同じ部の奴が俺に頭突きかましたり俺の頭をボール扱いするチャンミンを見たらビックリすると思う。



そんなチャンミンだからこそ、俺との関係を深めちゃいけないと思ったのかもしれないけど、
俺は、そういうチャンミンだからこそ深くつき合っても大丈夫だと思ったんだよな。


──ってことを、どうやってチャンミンに伝えればお前の心に届くんだろうな。






「書類の不備は事前に気づいて直したから大丈夫。あとから訂正箇所を教えるから確認しておいてくれ。」
「あ、…はい。ご迷惑おかけしました。」



「…あのさ、この時期に部署異動したってことは少なくとも1年以上は居るからな。これからも資料の作成とか頼むと思う。これからは気をつけろよ。」


そう言えば、──はい、と消えそうな返事して。
それからやっと意味を理解したのか、
我慢して堪えてるようだけど、駄目だよ丸見え。


───そんなに嬉しいの?お前。





近くではお邪魔な先輩がニヤニヤしていて、これ以上何も言えないけど。
うん、見えてきた。
難解な数式を解くヒントが。




俺はね、
立ち直りが早いのも長所なんだよ、
チャンミナ。



















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