HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

キスは1日3回-SS **帰省19



































「推薦が決まって春から大学生になる妹がもうひとりいるんですけどね。昨日の夕方から友達とスキーへ行っちゃったんですよ。」
「あ、そうなんですか。いいですねぇ、今年は雪が豊富だって聞いてますよ。」


そんな会話をしたのは、お茶でも飲みましょうか?と誘われた対面式キッチンのカウンターだった。
3脚あるカウンターチェアにはチャンミンを挟んで右側に俺、左側にはチャンミンの妹が座る。
チャンミンの目的は、まぁ、アレだな。
チャンミンが密かに雑誌でチェックしていて、実はチャンミンの為だけに仕事を抜けて並んだバウムシュピッツ。



案の定その魅力には抗えず、俺は今ここにいる。



「それがね、今まで大晦日から親戚が集まる今日までは家族揃って過ごすっていうのがお決まりだったのに。最初にチャンミンが勝手なことするから。」
「は、はあ、…」
チャンミンの母親はチャンミンによく似てハッキリとした容姿の物腰の柔らかい人だった。
「去年は仕事納めの後すぐ帰ってきてくれたのに、今年は約束があるとか言っちゃってね。さっそく彼女でもできたのかしら?って聞いても何も教えてくれないし。ユノさん、ご存知?」
ただ女性だからか話好きなところはチャンミンに似ていない。



「母さんっ!ヒョンに変なこと聞くなよ。」
口を尖らせほんのり上気するチャンミン。
俺だって、その原因の恋人は俺ですなんて言わない。
まだ、言えない。
もっと長くつき合ってチャンミンの両親から揺るぎない信頼を得る、それがこれからの課題であってチャンミンとの永遠に必要不可欠なことなんだ。





「息子さん、職場でモテてますよ。女子社員が主導で毎年《抱かれたい男ランキング》ってのをやってるんですけど、入社した年から5位に選ばれて去年はナント3位でしたから。」
「あっ、ヒョン!言わないでくださいよ~!///」
「ぅわ、お兄ちゃん!そういうの無縁だと思ってたけどやるじゃない!」


ばすんと音がするほどチャンミンの背中を叩く妹は、この子もチャンミンによく似ていてきっとモテるだろうと思う。
お喋りなのは母親似でしっかりしてそうなのも。
チャンミンと似たクルンと長い睫毛にパッチリとした眸、笑うとくしゃける表情まで似ていて見惚れてしまいそうだ。



「…お兄ちゃんは学生の時もモテただろ?」
つい流れで聞いてしまい、──シマッタ、と思う。
チャンミンのその手の話がどうしても苦手な自分を自覚してたはずなのに。
「っ、ヒョン!」
チャンミンだってそれは懲りてて、
「まぁったくモテませんでしたから!おい、変な事言うなよな。」
隣の妹へ言い聞かせるように顔を向けるが、ニヤ~と笑うその子にはまったく通じなかった。



「お兄ちゃんはね、モテることに貪欲さが足りないというか。出来るだけ目立たず生きようってのがオーラにでてるもの。勿体ない!」
「ほっとけよ!///」
「あ、でも大学の時の彼女は会ったことありますよ。何度もうちへ来てたし夕飯食べていったり、あ、私何度かショッピングにも連れていってもらって、…お姉さんみたいだったなぁ。」


何年か前の記憶を探るようにつぶやく妹の隣で居心地悪そうにチャンミンが咳払いをして、


その隣でズドンと地を這うように俺の気持ちが落下した。





「ね、お兄ちゃん、就職してすぐはまだつき合ってたよね。春の連休も夏の休暇もこっちへ帰ったら会ってたじゃない。本当に別れちゃったの?私、妹なんかよりお姉ちゃんが欲しかったのにぃ。」


春の連休も夏の休暇も、その時はもう俺と再会していて、…彼女がいるなんて聞いてなかった。
いや俺が聞かなきゃチャンミンから言ってくるようなヤツじゃないか。
そして俺が告白したのはまだ暑さの残る夏の終わり。
そうか、彼女がいたのか。
そりゃ男なんかに告白されて気持ち悪いよな。
そっから二週間まるっと会わない日が続いて、酔っぱらいチャンミンからキス3回の妥協案を頭突きと一緒にもらったんだった。









「…ユノさん?」


チャンミン越しに呼ばれハッとする。
何度か呼ばれていたようで不思議そうな視線を向けるチャンミンの妹と俺の心中を察したのか微妙な表情のチャンミン。


「あ、ああ、ゴメン。まだ酔ってるのかな、俺。」
「いえ、物思いに耽るユノさんも素敵です!」
「そお?じゃあさ、お姉ちゃんじゃなくてもうひとりお兄ちゃんが欲しくない?」
「は?」
「っ、ヒョン!」
途端にチャンミンの目尻がつり上がる。
恐いよ、お前。
少しくらいさ、言わずにはいられない俺の気持ちも察しろよ。






俺達3人で持ってきたバウムシュピッツの半分を消化した頃玄関がバタバタと騒がしくなった。
どうやら他の親戚家族が到着したらしい。
「父さんのお姉さん一家です。伯父さんは子供がいないけど、アチラは子供も孫も大勢なんで戦争みたいに騒がしくなります。」
本当だ、小さな子供数人の走り回る足音と騒ぎ声が聞こえてくる。
「ヒョン、僕挨拶してこなきゃ。ヒョンのことも紹介するから、…で、もう帰った方がいいです。このままいても子供の遊び相手になるだけで疲れちゃいますよ?」
そうは言うけどチャンミン、こんな気持ちのまま帰れないよ。



チャンミンの彼女とか、どうして今まで気にならなかったんだろう。
おかしいよな。俺も彼女がいて、お前だって男で。
アルバムで見た高3のお前を思う。
遠慮がちに常に端っこで立つお前は相変わらずだけど、小さな頭ひとつ分抜け出た長身に紺色のブレザーがよく似合っていてきっと誰よりも目を惹く。
真っ白なシャツに紺とシルバーのタイはチャンミンの清らかさをより秀麗に見せていた。
モテないと本人は言うけど、気づかないだけで。
俺とは違って、きっと話しかけにくい雰囲気を醸し出してるはずだから。






そのまま腕を引かれチャンミンの伯母さん家族へ挨拶をした。
いきなり現れた俺のような赤の他人にもチャンミンの伯父さん夫婦や伯母さん家族は温かく、チャンミンの育った環境やチャンミンに癒される自分を思いじんわりと胸に染みた。





「ユノヒョン、…そろそろ、」
そう言い出したチャンミンへ、
「な、お前の部屋見せて?少しだけ、…そしたら帰るから。」
微妙に嫌そうだけどソコは気づかないふりして、有無を言わせず、…おそらく2階だろう、階段に向かって足を進める。


「僕の部屋って言っても1年に数回帰ったら寝るだけの部屋ですよ?何にもないのに、…」
「 べつにいいよ。」
2階へ上がりチャンミンの指す目的のドアを開ける。
「ヒョン、…っ。」
「なに?」
一歩足を踏み入れれば、仄かにチャンミンの匂いがする。
机に本棚とベッド、ブルーの清潔そうなカーテンが揺れるシンプルな部屋だった。
同じくブルーのシーツはきっちりと整えられ、落ち着いたチャンミンらしい部屋。
天井まで届こうかという本棚はぎっしり本で埋められ、所々ぽっかり空く隙間は独身寮へ持っていった本のあとだろうか。




「っ、ヒョンってば!」
「だから、っ、なんだよ?」



ああ、…駄目だ。 
そんなつもりで部屋へ連れてきてもらったわけじゃないのに、


やっと2人きりとか、


チャンミンの彼女の話を聞いたばかりで、
どうしようもなく俺のものだと確認したくて。




「ぅわ、…ヒョ、…っ!」
振り向きざま抱きしめて、反射的に引こうとする体をめいいっぱい胸のなかへ収めた。
「しっ、…少しだけ。」
耳元でそっと囁き、ついでにぺろっと舐める。
一瞬ビクッと跳ね強張った体も次第に緩くほぐれていく。
いつ頭突きがくるかと内心ヒヤヒヤしたが大丈夫そうだ。



ほんの数分、それだけで満足だった。
「はぁ、…チャンミナ、ごめん。」
ゆっくり体を離そうとチャンミンの肩へ両手を置いた。
それがズルリと背中へおちる。
チャンミンが強く引き寄せたからで、そのまま固まって離れなくなった。



ちょっと様子がヘン。
「チャンミナ?…どした?」
「……ヒョン、…」
首筋に息がかかる、
熱くて、
背中に電流がはしり腰が堪らなく疼くのに、



「…ヒョン、気づいちゃいましたよね?」
最初、何のことだか。



「妹の話、…ヒョンに告白された時、僕まだつき合ってました。」
「あ、ああ。」
もしあの時、彼女がいると言われたら何か変わっただろうか。
「ヒョンのこと、学生時代からの憧れだけで男女間の恋愛感情とは違うって、そう思ったしヒョンにもそう言いましたよね。」
「ん、だから2週間まったく会わなかったろ?」
その後、チャンミンが俺の部屋へ現れたんだ。


彼女がいるとかいないとか、関係なくチャンミンが自分の意思で、


「…それなのに僕、もう彼女とはつき合えないって思ったんです。ヒョンへ1日3回のキスを許すのは恋愛感情じゃないって、…そう思ってるのに、別れたんです。」
「チャンミナ、…それ、どういう、…?」


チャンミンが何よりも最優先させたこと。


「変ですよね。彼女と別れてまで恋愛抜きの制限つきキスを提案するなんて。そんなのおかしいって、自分でも分からなくて、…」






「チャンミナ。そうまでして俺と会いたかった?」 
「え、…」



「すぐに恋愛と結びつけなくてもいい。お前、何よりも誰よりも、…俺を選んでくれてたんだな。」
「っ、ユノヒョ、…///」



ぴったりとくっついたチャンミンの背中を大きく撫で包むように抱きしめる。
ハァァ、…と長いため息が出た。
これは安堵のため息。
よかった、俺はちゃんと選ばれていた。









くだらない嫉妬もこんな簡単に溶けてなくなる。
可愛くて愛しくて、難解なチャンミン。
難しくても大丈夫。
2人でゆっくり、答えを探していけばいいのだから。















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