HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~愛憐~3




































格闘技で鍛えた身体は着痩せするものの脱げば一目瞭然だった。
男らしい広背筋の隆起や窪みのような筋を残す脊柱起立筋を惜しげもなく晒す。
ユンホの姿勢の良さはこれらに因るものが大きい。
これが女性ならうっとり見惚れるところだが生憎チャンミンは興味がないらしい。
それよりも一緒に風呂へ入るという行為が嬉しいようで、ずっとへの字に結んでいた口元がむずむずしている。
一通りユンホに洗ってもらい見違えるほどさっぱりしていた。
ごわごわの硬い髪が実は柔らかく毛先に少しだけクセがあるとか。
思っていたよりキメの細かい肌と薔薇色の頬。
前髪を後ろに撫でつけ顔をしっかり見れば驚くほど整っていた。




「ユノ、…あの、」
「なに?」
ついでだからと自身の身体も洗いはじめたユンホがスポンジ片手に視線を向ける。
「あの、…」
「ん?」
今日はヘンな日だとユンホは思う。
気が進まず出掛けた取り立て先で子供を拾った。
子供に懐かれた記憶なんてないし、可愛がった記憶もない。
どちらかというと子供という生き物は苦手なはずの自分がみょうに懐かれ、初対面で一緒に風呂まで入り、それを擽ったく感じてる自分がいる。
そして目の前でもじもじするチャンミンを可愛いなどと一瞬思ってしまい慌てて否定した。




コイツはあくまでも人質なのだ。
下手に情をかけるのは賢明じゃない。
そう自らを言い聞かせ緩みそうになる口元を引き締める。




取り立てに行った部屋の片隅で、真っ暗な段ボールから飛びでてきた子供。
薄汚い子供の濁りない眸を見てから、確かにユンホはおかしい。
人当たりよく友人も多いが、常に他人との壁を意識して生きてきたユンホにしては今日の行動は軽はずみすぎた。
もしこれが罠だとしたら。
こんな幼い子供でさえ自分の喉元を掻き切るチャンスはいくらでもあった。









「…ユノの背中、洗ってもいい?」
おずおずと遠慮がちに呟くチャンミンへユンホは意識して冷たい視線を投げる。
「子供だからといって初対面の人間に背中を預けることは出来ないな。悪いが俺はそういう世界の人間なんだ。」
こんな子供相手に何をと心が痛まないでもないが、今しっかり線を引いておかなければ。
寂しそうにうつ向いてしまったチャンミンに胸の奥がツンとする。
そんな自分の甘さが嫌だった。








「チャンミン。お前のママは俺達の会社から金を借りて返さない。そのうえお前を段ボールに突っ込んで逃げたらしい。…それは分かるな?」
「…う、うん。」
「だからお前はママが金を返しにくるまでの人質ってやつだ。人質って意味、知ってるか?」


たっぷりと湯をはった浴槽へチャンミンを浸からせ、湯気でボヤける視界はチャンミンの表情が分かりづらく逆に話しやすかった。


「うん、知ってるよ。ママが気に入ってたテレビドラマで見たことあるもん。」
「ああ、…ところでチャンミン、お前は何歳なんだ?」



「……8歳。」
「っ、8歳?小学生なのか?」


小さな身体はとても8歳には見えなかった。
小学生にしては言葉があまりにも拙い。


「…学校、行ってない。」
「義務教育なのに?」
「…?…ママが、行く必要ないって、…」


そんなはずあるか!と思わず声を荒げそうになり、この子へ言っても仕方ないとどうにか抑える。



「あのな、この国では教育を受けさせる義務ってのが保護者にあって、チャンミンには教育を受ける権利があるんだよ。」
ぽやっと不思議そうな顔をユンホへ向け、ふるふると振った頭の振動で湯が波うつ。
いくら部屋に閉じこもっていたとしても小学校の存在くらいは知ってるはずだ。
自分とそう変わらない子供達がランドセルを背負って通学する姿を、この子はどんな思いで眺めていたのだろう。
そう思えば無性に怒りがわいてきて、錦鯉どころか生きてる魚自体初めて見たであろう幼い子供へ憐れみの感情がふつふつと湧きあがる。


「誘拐まがいのことをしておいて言えた義理じゃないが、お前をあの母親には返せない。施設へ入った方がいくらかマシだ。俺が連れていってやるよ、チャンミン。お前には教育を受ける権利があるし、自分の人生を選択する自由があるんだ。分かるな?」
真剣に諭すユンホをチャンミンは穴があくほど見つめる。
ユンホの言葉をひとつひとつ噛み砕くように飲み込み、たった一言、




「──ユノがいい。」


そう呟いた。









 





「あらあらあら~~っ!」

大袈裟に驚くのはエナで、風呂からあがり素っ裸のままユンホの背中へ隠れるチャンミンを覗きこんでいた。


「すっかりキレイになっちゃって。この子、可愛い顔してたんですね~。さすがユンホ坊っちゃんだわ。」
「関係ないだろ?って、おい、離れろって。俺が着替えれないだろうが。」
予定外に風呂へ入ってしまったユンホの着替えは用意されておらず、ユンホは腰にタオルを巻いたままの姿で部屋へ行こうとしていた。
それを阻むのが素っ裸のチャンミンで、チャンミンの着替えは用意されていたのに先に脱衣所を出たユンホを追って来てしまったのだ。
振りきろうとするユンホの太ももへガシッと縋りつくチャンミンがコアラのようでエナは可笑しくて笑った。
少し離れたところでジノも呆れたように笑う。



「ユノさ、よほど気に入られたな。もう仕方ないからソイツの世話役しろよ。」
「……。」
誰がそんな面倒なことをと言いたいところだが、それはユンホが一番分かっていた。
拙いながら風呂場ではしっかり会話もできたのに、今はまた全く言葉を発しない。
“ユノ”としか言わない。


「親父へはもう暫くしてから俺が連れて報告に行く。その前に母親が連れ戻しにくるかもしれないしな。」
本来ならすぐに報告しなければならない。
でもそれほど大した貸付金じゃない。
それに取り立て先が行方をくらますことは案外あって、今回も組の若い衆が既に女の跡を追っている。


なぜかユンホはチャンミンを会わせたくなかった。
チャンミンのこの態度が組長である父の怒りをかう可能性があったし、それに嫌な予感がするのだ。


「わかった。とにかく馬鹿のひとつ覚えみたいにユノユノしか言わねぇのは困るもんな。ったく俺の方がよほど優しい顔してんのに。」
「知るかよ!エナさん、チャンミンの着替えをくれよ。このまま部屋まで連れてって着替えさせるからさ。このままじゃ俺が風邪ひいちまう。」
言った途端、…っくしゅ、とユンホはくしゃみをして、
 



 
───はっ、…っくしょん!っくしょん!



続けざまにくしゃみをしたのはチャンミン。
「ほら見ろ!」
ユンホのげんこつがチャンミンの頭におろされ、チャンミンは照れくさそうに口をすぼめる。


一見何でもない光景を凝視していたのはジノだった。

───おいおい、風呂場で何があったよ?






そう思ってしまうほどユンホと幼いチャンミンの間には不思議な空気が流れていた。
















にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト