HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~愛憐~7



































「チャンミン!チャンミナ~!」


何の挨拶もなくドタバタ入ってきたのはハイルだった。
チャンミンはユンホの離れではなくエナの部屋に来ていて、あちこち探したのか息せき切って文句言いたげにやってくる。


「もうっ、探したろ!せっかくチャンミンの為に給食のパンを持ってきてやったのに!」
「ぅわぁ、ホント?///」


別にこの家でパンすら食べさせてもらえないわけではない。
むしろ細っこいチャンミンを皆で太らせようとこれでもかと食べさせていた。
おかげで血色がよくなり、痩せこけた身体は細いながら健康的になったといえる。


「なんだいチャンミナ、給食のパンなんか食べたいのかい?うちで出すパンの方がよほど高級なのに。」
信じられないといった様子のエナへ、チャンミンはふるふる頭を振り恥ずかしそうにうつ向く。
「違うよな。ここの食事が不満なんじゃなくて、チャンミンは給食ってものを知らないだろ。だから俺が食べさせてやりたかったの。」
ヘヘンと鼻息荒く言うからエナは笑ってしまった。
年の離れた末っ子に弟ができたつもりなのか、最近のハイルは何かとチャンミンの世話を焼きたがる。
学校の話を聞くチャンミンの目がキラキラ輝くからハイルも嬉しくって仕方ないのだ。
学校から帰るとゲームばかりしていた子供がゲームそっちのけでチャンミンと遊ぶ。
チャンミンはゲームよりも絵を書いたり鯉を眺めたり、庭でボール遊びやかくれんぼなどそういう遊びを好んだ。
エナの部屋で見つけた百人一首を気に入り、上の句と下の句を見比べ一日中過ごしたこともある。
でもかるた遊びをやってみたいチャンミンとは違いハイルには坊主めくりがせいぜいだった。


「どうした。チャンミンの方が優秀だねぇ。チャンミンはもういくつか句を暗唱できるよ。」
エナにそんなこと言われて、ハイルはむきになって句を覚える。
「そんな、…僕もまだ全然だし、…それに、坊主めくり楽しいよ。」
おずおずと遠慮がちに、でも優しく笑うチャンミンにハイルは見惚れた。
もっともっと笑って欲しい。
喜ぶチャンミンの顔が見たい。
そう思わせる何かをチャンミンは持っていて、それはハイルだけじゃなくエナも他の使用人や組の若い衆も同じだった。
そしてそれはユンホだって例外ではない。



「エナさんの百人一首の話をしたらね、ユノが買ってきてくれたんだ。だから寝る前に一句だけユノに読んでもらうの。どんな意味なんだろうって考えてるうちにいっつも寝ちゃうんだ。」
へへと笑うチャンミンへ、そうそれは良かったねと思わずエナは苦笑いになる。
ユンホがぶっきらぼうにそれを渡す姿を想像したから。
そして満面の笑顔で飛びつくチャンミンとそのうち頬が緩みっぱなしになるユンホと。



これほど皆に好かれるチャンミンだったが、チャンミンにとってユンホが特別なのは初めてここへ連れられて来た日から変わっていない。 
相変わらずチャンミンの口からはユノユノとそればかりなのだ。
そしてユンホ自身気づいていないと思う。
チャンミンを慈しむように眺める視線の優しさに。
時々面白くなさそうな素っ気ない言葉の裏に、嫉妬なんて可愛い感情が見え隠れしてることに。







「あ~あ、チャンミンが本当の弟になればいいのに。」
無邪気にそんなことをいうハイルだったが、これにはエナも笑って同意してやることはできない。
「バカだね。チャンミンをヤクザものなんかにしてどうするの。この子はいずれ施設へ行って、きっとそこでも可愛がられるよ。チャンミンはまっとうな人生を歩くべきだ。」
そんなこと分かってるとハイルは言いたかった。
エナは親の代からこの家に仕え奉仕していてそれを不満に思うことはないが、もしかしたら違う人生があったかもしれないとふいに考えずにはいられない。
この組に忠誠を誓っているし赤ん坊から育て上げた兄弟達は可愛い。
それでも時折抗えない運命について考えてしまうから、やはりチャンミンをはやく解放してやりたいと思うのだ。









エナがまだ生まれてもない時代。
現会長である三代目が任侠道を掲げ暴れまくった組の面影はもうない。
国とヤクザが光と影になり国の経済成長を担った時代はとうに終わり、組の看板を掲げては生き抜くのさえ困難な時代になった。
合法的企業といっても非合法な活動を否定はしない。
結局は需要があって供給があるのだ。
そこは昔となんら変わらず、光あるところに影が生ずる。
その影こそユンホが思う“最低限の必要悪”だった。


そして時代をいち早く読んだ四代目チョンガンソクにより所謂クスリの売買をご法度とし、刺青を禁止した。
形式上組を抜けさせ企業で雇う。
立派なフロント企業の出来上がりで周りの住人さえヤクザの屋敷とは知らないものも多い。
チョンガンソク自体が一見ヤクザとは無縁の社長然とした品のあるいでたちなのだ。


頭脳明晰にして冷酷非道。
周りの組関係者にそう評され、それがこの組の安定と秩序を守っていたのも事実だった。
そして頭は切れるが病弱で気弱な長男よりも、この父親の跡目に。そう周囲が望むのが次男のユンホであった。













ユンホに運んでもらった布団を、んしょと掛け声をかけて広げていく。
パタパタ掛け布団をならし枕を定位置に置いた。
自分でやるというからユンホもそこまでは手出しをしない。
畳に腰を下ろし見守るでもなく庭先を眺めていると、ドスンといきなりの重みに驚く。
「ユノ、あのね、今日、」
突然膝に乗っかって敷いた布団も中途半端で、それなのに何を話そうか一瞬迷うチャンミン。
「ふ、…なに?チャンミナ。」
昼間なかなか会えず夜だってチャンミンが起きてる時間に帰ってくるとはかぎらない。
ユンホにはチャンミンが甘えてることなんてすぐに分かってしまう。
自分を見つめ一生懸命なにか話そうとする子供の髪をよしよしと撫でてやる。


「あのね、今日初めてサン太が僕の手から餌を食べてくれたんだ!」
「…サン太?」
「うん。緋色の丸がちょっとだけイビツな丹頂。でも一番人懐っこいんだ。」
「でもなんでサン太なんだ?」
「ううん。イッ太もフゥ太もいるし、サン太にゴン太。みんな僕の友達だよ。」


にこにこ嬉しそうに話すチャンミンに、一匹数十万の錦鯉にサン太かと苦笑いしつつユンホのチャンミンを撫でる手はとまらない。
チャンミンもうっとりと安らかな表情を浮かべユンホを見つめる。
そして慌てたように膝から飛び降り途中になっていた布団へ戻っていった。
チャンミンの頬は赤くほてっている。
無性に照れくさくなってしまったのだ。





そのままの格好でユンホはチャンミンが布団へ入ったら部屋へ戻ろうと待っていた。
ああその前に百人一首を一句チャンミンへ読んで聞かせてやらなきゃいけない。
ユンホが読むと何度も口のなかで復唱し、そのまま布団の中でもごもご言う。
そして気づけばぽっかり口を開いたまま寝ているチャンミンが可愛くて、その顔を拝まずにはいられない気持ちになる。
ユンホのなかで、愛情という小さな根っこは静かにでも確実に根づいていった。



















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