HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

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あなたが笑えば~愛慕~2



































離れへ帰ったのは、日付もとうに変わった頃だった。
ユンホはもうずっとこんな生活を続けている。
昼前に起きて昼過ぎにはオフィスへ顔をだす。
ビルの最上階にあるメンテナンス会社と輸入会社は別会社の為どちらにも顔を出さなければならない。



ツインタワーはそれぞれにコンセプトがあり、世界各国の料理を出すカフェやレストランを集め、ワンフロアーを使ったギャラリーやちょっとしたパーティ用のホールもあるⅠ号館とダーツバーやビリヤードバーなど若者をターゲットにした店から本格的に酒を楽しむショットバー、生演奏がウリのジャズバー、高級クラブにホストクラブまであるⅡ号館に分かれていた。
総合駅の駅前という立地に加え、オフィスビルが建ち並び少し行けば大学が集まる学生街だ。
マスコミの力も大きく、情報番組や雑誌で紹介されれば忽ち集客率がアップする。
そしてリピーターの多さは、決して表に出ることはないがユンホの影の働きも大きい。





父親が期待した成果を遥かに上回る業績を上げ、ビル内のいくつかの店を所有するまでになったユンホだったが。










───カランカランッ、と玄関の引き戸を開けた途端響いた音に慌てる。
なんだ?と見れば、引き戸に下手くそな細工がしてあった。
引き戸を開けると張ってあった紐が緩み、紐に通したアルミ缶同士が衝撃音を鳴らすというものだ。




「……ったく、」
ハァ、とユンホは大きくため息を漏らした。
こんなことは初めてじゃないからだ。
そして誰の仕業かなんて確かめるまでもなく。



パタパタと廊下を走る足音がして、待ってましたとばかりにユンホへ飛びついてくる。
中学に入った頃から一気に背が伸びた。
あっさりハイルを抜かし、もうあの頃の発育不良の面影はない。



「ユノ。おかえりなさい!」
身長が伸び、愛くるしい子供っぽさが清らかに少年から青年への転換期をむかえても、なぜかこの抱きつく腕だけは変わらない。
「チャンミナ。お前、こんな夜中まで起きてちゃ駄目だろ?」
「いいんだよ、もう夏休みなんだから!」
ぶすっと口を尖らせる癖もあの頃のまま。
だからユンホもつい子供に言うみたいにお小言がでる。
ユンホ自身はキツく説教してるつもりでも、絶えず指の腹でチャンミンの頬を撫でるのだからその効果はあまりないようだった。



「それに僕もう高校生だよ。いつまでも子供扱いしないでよ。」
「あんなイタズラ仕掛けるところが子供っぽいっての。」
「だって、…!」
ぷぅっとまた口を尖らせるチャンミンの腕はユンホの腰に回ったままで、昔とは違う、子供の頃は真上を見上げていた視線も今ではうんと近い。
チャンミンの息がユンホの顎あたりを擽る。
ユンホが少しでもうつ向けばチャンミンの尖らせた柔らかそうな唇に自分のが当たってしまいそうだった。
だからユンホは意識して顎をあげる。
天井へ視線を彷徨わせながらチャンミンから離れるタイミングをはかっていた。




「ユノ、聞いてる?」
「え、…ああ、なに?」
「っ、もう!」




子供の頃と驚くほど変わらないチャンミンの態度。
エナに何度注意されてもユンホをユノと呼び、ユンホが世界の中心であるように振る舞う。
ユンホに教えられたことは渇いた砂が水を吸い込むように何でも吸収していった。
小学3年生からの編入も卒業時には誰よりも賢く聡明な子供に成長し、組の誰もがそれを感慨深く見守ったものだ。 




「っ、ん!」
チャンミンの両手がユンホの頬を捉える。
子供の頃は届かなかったものが今は欲しいときにすぐ届くようになった。
「ユノ、…っくん、…ふ、」
強引に顔をもってかれ、これもずっと変わらない、2人だけの行為。
鼻先と鼻先を慈しむように擦りあわせ、うっとりと息を吸い込む。
「…ユノ、お酒くさい、」
だから駄目だとユンホは言おうとしたのに、
「でもいい、…久しぶりのユノの匂い、…」
くんくんと無邪気に鼻先でつついてくる。




密着した体と体。
身長が伸びても長い手足と折れそうな腰は変わらず、屋敷内にある武道場でいくら鍛えようが薄っぺらい筋肉しかつかない。
それがいつしかしなやかな艶を纏ってユンホを困らせる。
チャンミン本人がまったくの無邪気だから本当に困ってしまうのだ。




「もうおしまい。こんな事してくるうちはやっぱ子供だぞ。」
そう言ってまだ物足りなそうなチャンミンをゆっくりと剥がすユンホだった。






玄関に散らばるアルミ缶を片付けようとすれば、「あ、それまだ使う!」と焦って奪い返される。
苦笑いのユンホだがこれが単なるイタズラじゃないって知ってる。
チャンミンは無性に寂しくなったりどうしてもユンホと話したいとき、こんなことをする。
いつも真夜中に帰宅するユンホに自分が寝ていても気づけるように。
そのたび驚かされるユンホだったが、チャンミンを責める気になんて到底なれない。
ユンホも会いたいのだ。
生活が完全にすれ違うチャンミンと会って話して触れたい、この気持ちはもう自分でも説明のつかないものだった。




「ね、今日アクアリウムバーへ行ったんでしょ?店長さんへ話してくれた?」
今夜のチャンミンは本当にユンホへ聞きたいことがあったらしい。
さて本題とばかりにユンホを覗きこむ。
「あー、なんだっけ?」
「もう!夏休みの間だけでいいからバイトしたいって頼んでくれる約束したのに。」
もちろんユンホは忘れたわけではない。
「…約束なんかしたっけ?でもどうしてあの店?せっかく夏休みなんだから学生らしく昼間バイトしろよ。」
「やだ。昼間は勉強したい。夜がいい。夜にバイトしたい。」
「そもそもさ、なんでバイトしたいわけ?欲しいものがあったら俺が買ってやるよ。バイトなんかするな。」
「っ、やだ!」
これはもうずっとずっと平行線の話だった。
いつもユンホへは従順なチャンミンだけど、たまに酷く頑固になる。
絶対にうんと言わず、折れるのはいつもユンホの方だった。
それでも今回のバイトは許すわけにいかない。
まだ未成年なのにと自分が言っても説得力はないが、健全と言えどあんな酒を出す店、従業員は若い女も多い、まるで免疫のないチャンミンがどうなってしまうか。
ダメダメと頭を振る。
頑固おやじ!とチャンミンの憎まれ口が聞こえるがユンホは無視を決めこんだ。








物言いたげなチャンミンを振り切り簡単にシャワーをすませる。
寝室へ入ればきれいに布団が敷いてあった。
おそらくチャンミンがしてくれたのであろう。高校へ入ったら何か部活をと勧めるユンホをあの時も頑なに拒んだ。
朝練があったらユンホの食事が用意できないし、帰ってからユンホの部屋を掃除したり庭の手入れもできないからと言う。
そんなの他の使用人にまかせればいいと言ったユンホへチャンミンはぼろぼろと泣いた。





初めてだった。
自らの身を愛人として差し出せと、そう言われても泣かなかったチャンミンが初めて涙を流したのだ。
ユンホはその時のチャンミンが忘れられない。
あの顔を思い出すだけで酷く胸が痛む。




「ユノは何もわかってない。」
そうつぶやき、とめどなく流れる涙を拭いもせずただひたすら泣くチャンミンを、静かに抱き寄せゴメンと言うしかない自分がどうしようもなく歯痒かった。








トンと襖をたたく音がして、ふと視線をむける。
襖は開かない。
子供の頃と変わったところを見つけた、とユンホは思う。
あの頃は何があろうとがむしゃらにユンホへ向かってきた。
エナに叱られようがジノにからかわれようが隙あらばユンホの隣で寝ようと勝手に布団を運んできたのに、いつからか自分用に用意された部屋で寝るようになった。



そして今は。



「チャンミナ?」



そっと襖を開いてやる。
肩を落とし項垂れ気味に立つチャンミン。
うつ向き伏せた睫毛だけがくるんと上向きで、そんなところは昔と一緒だった。 



真っ直ぐ下ろしたこぶしがギュッと結ばれ、心なしか震えてるように見える。




「…たまには一緒に寝るか?布団は?俺が運んでやろうか。」



ユンホの言葉に一瞬で輝く表情。
そんなチャンミンがユンホはどうしようもなく愛おしくてたまらない。



「うん。」
「布団は?」
「んと、…ここに、…///」



襖の影へ隠すように積まれた布団に一笑するユンホを、押しのける勢いで布団を運びさっさと敷いていく。
照れくさくて仕方ないチャンミンの仕草もユンホには愛しいだけだ。



最後に枕元へ置いたソレに、
「く、…チャンミナはやっぱ子供だなぁ。」
「別に子供でいいですぅ~。…だから、久しぶりに読んで?」
そう言って渡された、かなり年季の入った百人一首。







そう、ユンホはいつまでも子供でいてほしかった。
ユノユノと自分の名だけを呼び、すがりついては大好きだと鬱陶しいくらい言ってくる。
そんなチャンミンのまま成長が止まればいいのにと思う。







あと半年で本当の別れがくることなど、
どうやって覚悟したらいいのか、


ジノ、…教えてくれよ。






いつの間にか寝入った無垢な寝顔を見ながら、
ユンホはひとりつぶやいた。


























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