HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

あなたが笑えば~愛慕~3



































「おい、ジノいるか!」
乱暴にオフィスのドアを開けたユンホへ何人かの従業員が体を強張らせた。
「あ、あの社長?どうしました?」
「ジノはどこだ!」
ユンホは怒っていた。
普段それほど感情を表にだすことのないユンホが怒るなんてめずらしいと誰もがユンホへ注目する。
「1階のカフェにみえるかと。あの、…最近通ってらっしゃるから、…」
つい発言してしまって従業員は後悔した。
ユンホと目が合い、その鋭い視線にゾクリと鳥肌が立った。
言葉につまった従業員にすぐ気づいたユンホは意識して呼吸を整える。
一度ゆっくり瞼を閉じ、落ち着いてから再度従業員へ声をかけた。


「ああ、悪かった。仕事じゃないんだ、ジノとプライベートでちょっとやりあってね。」
「あ、そうですか。」
「ん、恐がらせたなら、ゴメン。」
「そ、そんな、…いえ、あの、…」


社長にそんな風に謝られてもと、従業員は口ごもってしまう。
若き社長として冷静かつ決断力に優れ、生まれながら人の上に立つ存在でありながら少しの傲慢さもない、そんなユンホを誰もが信頼していた。








その頃、ユンホの怒りなどどこ吹く風といった感じでジノはまったりとカフェに居座っていた。
最近新しく入ったバイトの女の子目当てで、毎日何度も通ってやっと会話ができるまでになった。
「ジノさん、今日はゆっくりなんですね。お仕事いいんですか?」
何度目かのお代わりを持ってきてニッコリ笑う彼女に、今日は見惚れすぎたと反省しつつ胸ポケットにしのばせた映画のチケットを確認する。
「ああ、今は時期的に暇なんだ。だから帰りも結構早くてさ、夜の時間があいちゃうんだよね。」
「そうですか。いいですね~。」
「うん、…で、あのさ。ここのバイトって何時に終わるの?」
「…え、…?」
ポッと赤くなった彼女に、やった!コレは脈ありか?と胸が高鳴ったところで、


「ジノっっ!」


恐ろしい形相のユンホが入ってきて、ジノはタイミングの悪さに力が抜けそうだった。





「っ、おい!」
ジノの真ん前に荒々しく腰をおろしたユンホは怒りも顕にジノへ詰め寄る。
ジノがバイトの子と会話の途中だったことも、ジノの浮かれた様子もどうでもいいようだった。
「なんだよっ。何怒ってんの?」
ジノはせっかくのチャンスを邪魔され面白くない。
ユンホの怒りの原因は想像できたが、人の恋路を邪魔していいものか。



「チャンミン。バイトが決まったって言ってきた。お前が手を回したな。」
「ああ、まあね。頼まれたからさ。」
「未成年だぞ?」
「は、俺達にそんなの関係あんの?それにホールには出さないよう話してあるから皿洗い専門だって。」
まさかチャンミンが自分に黙ってジノへ頼るとは思ってなかった。
「深夜のバイトなんて許さない。どうしてもやりたいなら昼間のバイトを紹介してやれよ。」
ジノは何杯めかの珈琲に口をつけながら、やれやれといった感じにため息を漏らす。
「あのさぁ、お前本当に気づいてねぇの?チャンミン、夏休みだろ?朝からバイト行ったらまたお前とすれ違いじゃん。お前の生活に合わせたいんだよ。少しでも一緒にいたいわけ。分かってやれよ。」



ユンホからの返答はない。
ジノが手に持ったカップの隙間からユンホの表情を覗き見れば、…やはり、そんなこと気づいてたって顔。
それなのに気づかないふりしてチャンミンを遠ざけて、でも心配で仕方ないって顔。




ジノにとってユンホは親友であり身内で、常にユンホの右腕として働き支えたいと思っている。
組長の息子で、ゆくゆくは組の大幹部になるだろうユンホ。
もしかしたら周りの期待に応えて跡目を継ぐ可能性だってある。
でもユノの性格なら長男を差し置いてそれはないなとジノは思っていた。
そういうユンホだからこそジノはどこまでもついていく覚悟だった。



そんなユンホの願いなら叶えてやりたい。
段ボール箱に突っ込まれたチャンミンを拾ってから確かにユンホは変わった。
誰にも気づかれないよう隠した部分が。
きっとジノくらいしか知らないユンホの暗の部分。
殺伐としたそれが日々を追うごとに柔らかく形を変え温もりに包まれていく。


     

それでも、どうしようもない事だってある。
この世界では組長が絶対的存在だ。
組長へ逆らうことは即ち死を意味する。




「組長、…親父さんにさ、頼まれたんだよ。チャンミン、バイトのことを親父さんにも話してたみたいで。外の世界を知るのもいいだろうってアッチ関係の店を紹介する気だったんだぜ。それよりはこのビル内の店の方が安心だし、あのアクアリウムバーはチャンミンのためにつくったんだろ?チャンミンが魚を眺めるの好きだからってさ。」


「……父さんが、…」


そうつぶやくとユンホは押し黙ってしまった。
組長であるユンホの父とチャンミンはあの日の約束から1カ月に一度だけ食事を共にしている。
最高級の店を予約し最高級の食事をご馳走する。
幼い頃は意味も分からず、中学生になると知識も増え緊張すると何日も前からナーバスになった。
最近になって少し最高級の食事が楽しみなようで、ウキウキとまではいかないがすすんで出掛けてるようだ。





「ユノ、…チャンミンはもう高校生だ。自分の事は自分で考えられる歳だよ。心配なのは分かるが本人がやりたいって言ってるんだし、学校の成績だって申し分ないんだ。自由にさせてやれよ。」
「………。」


ユンホへ説得しながら、見当外れな事を言ってる自分をジノは感じていた。
月に一度、組長とチャンミンが食事を共にする日。
それは嗜む程度しか飲まないユンホが、許容量を超え毎回泥酔する日でもあった。
一度部屋で酔い潰れ倒れていたのを見つけた時は驚いた。
酩酊状態で意識が混濁し、どれほど病院へ連れていこうと思ったか。 
それ以来ジノはユンホをひとりにしない。
何があろうとその日だけは、絶対にひとりにしなかった。









「なぁ、ユノ。あと半年でお前の役目も終わる。チャンミンは離れを出て本宅へ入る。何人もいる愛人の中でその扱いは破格だと思わないか?かなり気に入られてるし、大事にされるよ、きっと。」


「……分かってる。」


「だからさ、…お前も子守りから解放されて彼女とか作れよ。モテるのに勿体ねぇよ。な?」


「……分かってる。」



分かってるとしか言わないユンホに、ジノは大きくため息をついた。
分かってるに決まってるよな。
頭では分かってるのに心が追いつかない。
そんなジレンマをジノだって抱えてる。






チャンミンがべったりとユンホへ絡みつく。
そんなチャンミンに辟易としながら、返す笑顔はとてもあたたかく。
「チャンミナ、よく頑張ったな。こっちへおいで。」
そう呼べば輝くような笑顔をのせて無条件の信頼を寄せるチャンミンを。


───俺だってずっと見ていたかった。


でも叶わないのなら諦めるしかない。
そうやってこれまでも生きてきたし、これからも生きていかなければならない。







「なぁ俺さ、今狙ってる子いるんだよね。どっちが先に彼女を作るか競争しねぇ?」
意識してふざけるジノへユンホも口元を緩める。
「は、ガキじゃあるまいし。」
「いいじゃん。何か賭けようぜ。それともお前自信がねぇの?」
「まさか。」
徐々にジノの口車にのってきたユンホに、少しだけジノは安心した。


「よし、じゃあ競争な。とにかくお前は遊び半分でいいから女を作れ。女はいいぞぉ~、分かったな!」



ジノが自分を心配してわざと明るく振る舞ってるのは分かってる。
自嘲気味に片方の口角をあげたユンホは、分かったよとだけ言って席を立った。
チャンミンがバイトすると言うなら自分からもしっかり店長へ話さなきゃならない。


そしてまたチャンミンのことを考えてる自分にさらに苦笑いが漏れる。
同じ弟のような存在なのにハイルに対してこんな感情は湧かない。
チャンミンは自分にとってどんな存在なのか、それはまだユンホ自身も曖昧で不透明な感情のなかにあった。














にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。