HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~愛慕~6



































───そうだろうと予想はしてたけど、これほどユノがモテるなんて。



バイトをはじめて2週間。
今まで自分がいかに何も知らなかったのかと、チャンミンはそれを目の当たりにしていた。




「ね、チャンミン。ユノさん、今夜も来るのかしら?」
「さ、さあ?どうでしょう。」
「チャンミンがバイトに入ってからもう連続で2週間よ。ユノさんってば余程心配なのね。お兄さんのジノさんはたまにしか来ないのに、ユノさんは毎日毎日。おかげで私達も目の保養させてもらってんだけどね~。」




今夜ユノは来るのかと聞かれたのはもう何度目か。
そんなことチャンミンだって知らない。
約束してるわけじゃないけど、ユンホは決まって夜の10時に店へ顔を出した。
ウイスキーを一杯だけ飲んでチャンミンのバイト終わりを待つ。
先日は開店から忙しくなかなかあがれそうにないチャンミンを見て、「延長はさせるなよ。」と店長へくぎをさすほどの過保護ぶりだった。



バイトをはじめるにあたってユンホが出した条件はふたつ。
10時には必ずあがること。
帰りはユンホがよこした運転手の車で寄り道せず帰ること。
まだ高1なんだ、当然だ。と渋々バイトを了承したときにチャンミンと約束した。
チャンミンも別に夜遊びがしたいわけじゃない。
少しでもユンホの仕事に近づきたかっただけだから何の問題もなかった。


ビルの真ん前に横付けした車へ乗り込む。
たったそれだけの距離すらユンホは心配だった。
店から車までの数分の距離を送る為だけに仕事を抜けるユンホへほとほと呆れるジノだったが、文句を言っても無駄なことは承知している。
それよりもこの2週間でかなり女性客が増えたことに驚いた。
従業員の噂によると殆どが定時に現れるユンホ目当てなのだとか。
もちろんユンホがこの店どころかビル全体のオーナーだとは知らないだろう。



「お前さ、その気になれば本当によりどりみどりなんだぞ。」
カウンターに座った背へ向けられる熱い視線に気づいてるのかどうか、そう言ったジノへとぼけたように肩を竦めるユンホ。
ユンホの意識はカウンターの奥、ほとんど姿なんて見えない皿洗いへ注がれてるのだからしょうがない。







その皿洗いを手際よくこなしつつ、最近のチャンミンは簡単なつまみの用意まで任されていた。
もともと手先は器用で家事は慣れっこだ。
真面目で素直なチャンミンは店の従業員にとても可愛がられたし、最初は義理で雇ったつもりの店長をその働きで大いに喜ばせていた。
それに。
「チャンミンに見せてやりたいってコンセプトの店なんだよ、実は。」
こっそりジノが教えてくれた店は予想より遥かに巨大な水槽が壁面を成し、幻想的できらびやかで、一目で気に入ってしまった。
バイト初日、目を輝かせるチャンミンを満足そうに眺めるユンホがいて、そんなユンホへ満面の笑みを返すチャンミン。
それは何年経とうが変わらない二人だけの合図のようだった。








厨房からホールを覗く小さな小窓からはカウンターに座るユンホがよく見える。
そしてユンホを捉える複数の視線も。




チャンミンは数日前ユンホが寝ぼけた日からどうもおかしい。
ユンホを見るとドキドキするのだ。
ユンホが大好きなのは前と変わらないのに、目が合えばなんだか照れくさいし、ニコリと笑った顔にばくばくと心臓があぶつ。




それに最近のこの状況はなんだろう。
バイト先の女の人からは毎日のようにユノの質問攻めに合い、小窓から見える光景はもっと最悪だ。
自分を待つたった15分ほどの間にどれだけの人から声を掛けられてるのか。
数人の女性グループだったり、いかにも自分に自信がありそうな美人は堂々とひとりで声を掛ける。
たまに小綺麗な男の人にも誘われてて、その時のユノの慌てた様子には笑ってしまった。




チャンミンは手元にあったアルコールスプレーをシュッとひと吹き小窓へかける。
小さな滴が視界を遮り少しだけホッとした。


「……ユノのばか、…」



こんなふうに胸がざわざわするのも、届きそうで届かないユノとの距離にイライラするのも、全部あの日から。
いつもはすっぽりと包まれる陽だまりのような腕があの日は違って。
力強く手首に絡みついたユノの手は熱く、僕を見おろすユノの熱を帯びた視線は痛いほどだった。


……きっともう忘れてる。
ユノはもう立派な大人で、夢に出てきた女の人をたまたま近くにいた僕と混同しちゃったんだろう。
そんなの、ユノにとってはただの失態で。
僕は笑って忘れてあげなきゃいけないのに。






自己嫌悪で沈むチャンミンと同様に、ユンホもまた自己嫌悪に悩まされていた。


どうしてあんな夢を見てしまったのか。
願望が夢に現れるというなら、あの夢はおそろしく罪深い夢だ。
宝物のように慈しみ育ててきた。
もう7年も前にチャンミンの運命は決まっていて、それを受け入れそこで精一杯生きると、あんな幼い子供ですら決意したのに。



「……チャンミン。」



すぐそこの厨房にいるはずのチャンミンがこんなにも遠い。



───いまだに覚悟を決めれないのは、俺だ。





もう二度と会えないのを承知で無理やり施設へ逃がしてやるのが正解だったのか。
この7年間をすべて無かったことにして。


ふとチャンミンとの日々が脳裏をかすめる。
無理だ。
一瞬にして出てしまう答えにユンホは大きなため息をつく。


チャンミンの存在が少しずつ形を変えつつあるのを、ユンホは自覚していた。
それでもそれに目を伏せなければならないのだ。




ユンホのため息は深く、なかなか止まない。












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