HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

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あなたが笑えば~愛慕~9













  





















すっかり日が落ちても静まり返った部屋は仄かに明るい。
満月が近いのだろうか。
でもそれを気にする余裕などユンホにはなかった。



片膝をついたユンホへ体を捻るように膝立ちのチャンミンがすがりつく。
両腕でユンホの頭を抱き込むから、チャンミンの熱い息遣いが首筋を擽る。
ユンホはそれを意識的に受け流した。



「チャンミン?ジノんちで何があった?」
ユノユノとユノの名前しか呼ばないチャンミンは出会ったばかりの子供に戻ったようで、とにかく落ち着かせようとユンホはその背中をあやすように撫で続けた。
「大丈夫だよ、チャンミン。大丈夫だ。」
耳元で囁かれる声は優しく、それがよけいにチャンミンを悲しくさせる。
ついさっき見てしまった映像があまりに生々しく衝撃的で、そんなの今さらユンホへ言ったところで何が変わるのか。
ユンホへいらぬ心配をかけるだけだと思えばとても言えそうにない。




「チャンミナ?」


ユンホが話すたび、ユンホの柔らかい唇や湿り気のある吐息がチャンミンの耳元を掠める。
ゾクッと背筋が震え、記憶の中の映像がフラッシュバックした。
男同士が剥き出しの欲望をぶつけ合う赤裸々な性行為は卑猥で見るに堪えない。
夢も何もない、苦痛と羞恥の行為。
チャンミンは自分がこんなことをと信じられなくて途中で吐き気を抑えるのに必死だった。





それなのに、どうして?


父親のように兄のように慕う人の自分がどこより安心できる腕のなかで、これまでにない感情がじわじわと奥底から這い上がってくる。
嫌悪感と不快感しかない映像が、自分の腰を支える手にすり替わりズクンと信じられない疼きを生むなんて。



“好きな時に好きな相手を抱き放題なんだよ、アイツは。”


ジノの言葉がぐるぐると頭のなかを回る。
心臓を鷲掴みされたような痛みと息苦しさに思わずチャンミンは息をとめた。
苦しくて。
苦しくて。
みるみる紅潮していく頬と涙が滲む眸を、ユンホが覗きこみ何か言ってるけどそれは遠く意識の外でしかない。



「……ユノ。」


チャンミンは今日ほど強く思ったことはなかった。


叶うなら、───ユノがいい。





力強く自分のよりうんと太い腕。
身長が近づいてもまるで違う身体の厚み。
温かく広い胸。
何もかも受けとめてくれる深い漆黒の眸。


最初に僕の中を暴くのは、ユノであって欲しかった。


でもそれは叶わない。
いくらユノが僕に甘いといっても、そこまでは頼んでどうにかなるものじゃない。
この想いはユノを困らせるだけ。
大好きなユノを困らせるだけなんだ。







喉からせり上がるような想いを、今にも口に出してしまいそうな願いを、チャンミンは必死でのみこんだ。
ユンホへ抱いてしまった劣情はユンホへの裏切り以外なにものでもないと思ったのだ。









「ユノ、…鼻ツンして?」


ユンホの後頭部にまわした腕をほどき少しだけ顔を離す。
チャンミンは戸惑いに揺れるユンホの眸を見つめた。
心配でしょうがないって顔。
そんな顔で見つめられたら自分の想いを伝えるなんてできない。
ううん、もともと僕にそんな権利はない。
絶対に口にしてはいけない思慕なんだ。




つん、…と、鼻先が触れる。
ユンホの整った鼻がチャンミンの鼻筋をなぞり、思わず零れたチャンミンの吐息をこぼさず吸い込む。
それはユンホから初めてのスメルキスで。
チャンミンは痛いほどの胸の疼きでどうにかなりそうだった。


何度か擦り合わせ、ゆっくり離れていく顔を両手で包む。
チャンミンの傾け角度をつけた顔が引き寄せられるように近づく。
いつもと違う角度にユンホが気づき肩を引いた時にはもう遅く、それはユンホの鼻の下、無防備に結んだ唇を掠めた。



「っ、チャンミン、…っ!」


何をそれほど、というくらいユンホの動揺は大きい。
スメルキスなんて日常的だし、せがまれ頬にキスしたこともある。
でも、これは駄目だ。
ドクンドクンと胸が早鐘をうつ。
ユンホはあの日の夢を思い出していた。
堪らなく扇情的なあの夢を。



「や、…やだな、ユノ。怒んないでよ。これは親愛のキスなんだから。」
とっさに身を引いたユンホを拒絶されたとチャンミンは感じ、つい言い訳がましく言ってしまう。
「…親愛の?」


「うん。…親愛のファーストキス。」


言葉が出なくて、ユンホは息をのむ。
こんなのがファーストキスなんかでいいのかと、否定したいのに目の前で微笑むチャンミンを見て胸が痛い。


「あのね、ジノ兄さんは僕がちゃんと“愛人”をできるか心配だったみたい。」
「っ、…ジノに何かされたのか?」
「ううん。僕、大丈夫なのに。7年間も心の準備をさせてくれた旦那様には感謝してるんだ。安心して、ユノ。僕、いい愛人になるよ。」



「…ユノと血が繋がってる人なんだ。」
「……。」
「僕は旦那様を愛せると思う。」


「…チャンミナ、…」




もう限界だとユンホは思った。
これ以上ここに居てはいらぬことをしてしまいそうだ。
凛とした眼差しで自らの運命を受け入れる愛しい存在を奪ってしまいたい衝動にかられる。
この手に細い腰を抱いて自分のものにしてしまいたい。
緩やかな微笑みをたたえた唇へもう一度口づけたい。
今度はもっと深くもっと味わうように。




重い腕を上げ、ユンホはチャンミンの頬へ指を滑らす。
親指の腹で何度か擦り若く艶やかな肌にチャンミンの成長を思う。
見つめられると吸い込まれそうな大きな眸は清らかで、子供の頃と何も変わっちゃいない。
ぷにぷにの柔らかい頬がすっきりと輪郭を変え、少年から青年への移ろいを物語っていた。
出会った当初は男女の区別もつかなかった。
それが立派に男らしくなったと思う。
それなのに何故、俺は。


7年間慈しみ築いた肉親のような愛情が、今になって形を変えユンホを苦しめる。
チャンミンを手離したくない。
それは静かに運命を受け入れてきたユンホにとって初めての感情であり、苦しみでもあった。


















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