HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~渇愛~1



































ユンホは病院にいた。
総合受付を素通りしエレベーターに乗る。
入院病棟の最上階だけ他の病棟とは内装からして違う。
数室しかない特別室へ向かう廊下で何人も組員とすれ違い、その人数の多さに苦笑した。


「デイル兄さんはそんなに悪いのか?」
適当に捕まえた若い組員に聞けば緊張した面持ちで馬鹿みたいに丁寧な受け答えをしてくる。
「は、はい。あ、いえ、…夏風邪をこじらせての肺炎ということで、あの、大事をとって入院してるだけなので、…」
「そうか。で、兄さんには会えるの?」
「あ、はい。面会謝絶になってますが体調もいいようなので、ユンホさんでしたらお会いになるかと。」
まだ正式な組員ではない自分への組員達の態度を見るたび、逃れられない運命をユンホは思う。
それは絶大な力を持つ父と、父の右腕として主に資金運用を任される兄の影響に他ならないのだが。





ユンホは病室とは思えない重厚なドアをノックし、取っ手に手を掛ける前に開いたドアの先へ視線を向ける。
立っていたのはデイルの秘書セヨンで、一見ヤクザものとは思えないインテリ風の男だ。
「ユンホさん。」
「デイル兄さんはどう?」
「お見舞いに来てくださるのは嬉しいのですが、前もって連絡を頂くよう前回の時もお願いしたはずですが。」
「弟が兄を見舞うのに約束なんかいるかよ。それにしても用心棒が多すぎじゃないか?このフロアはこの部屋だけじゃないんだ。せめて部屋の真ん前だけにしておけよ。」
セヨンはもう長いことデイルに仕えていて、ユンホとのつき合いも長い。
穏和な兄とは逆にハッキリとものを言う秘書だが、ユンホは兄には丁度いいと思っていたし嫌いじゃなかった。


「あなたが無防備過ぎるんですよ。ひとりでふらふらして警戒心が無さすぎです。」
ユンホは笑ってしまった。
特に組同士の揉め事があるわけでもなく、法律が厳しくなって以来下手な行動も起こせない、表向きは至って穏やかで平和なのだ。
「そっちが警戒しすぎなんだよ。何かあったのか?」
特には、と言いながらセヨンはユンホを奥まで通した。
立派な応接セットの向こう、カーテンの影が揺れて兄デイルが上半身を起こし座っているのが見てとれる。





「…兄さん。どう?」
「ああ、ユンホ。」




ユンホより6歳上の33歳だが、みょうに落ち着いている。
幼少の頃から病弱で風邪をひいてはひどくなり入退院を繰り返していた。
学校も休みがちなのに常にトップの成績を維持し、株トレードにハマってからは更に出席日数を減らしたが、それでも大学を首席で卒業するという秀才である。
現在は個人株トレーダーだったのが会社の運用部としてトレードし、このご時世でかなりの利益をあげているという。
おそらく夜遊びとは無縁の人間。
弟ハイルとは真逆のタイプだ。



そしてユンホは、この兄が好きだった。




「暑いからって腹だして寝たんじゃねーの?」
「ハハ、お前じゃあるまいし。」
「何を食っていいのか分かんないから手ぶらだけど。」
「お前の顔見れただけでいいよ。」


春の木漏れ日のような穏やかで優しい兄。
ユンホは兄と話すだけでほぐれていく気持ちをいつも感じていた。
兄デイルもそんなユンホの孤独や苦痛をよく理解し気にかけていた。


まだ正式な組員でなく理由をつけて盃を断っているユンホだったが、兄が跡目を継ぐときには必ず兄の手足となり働くつもりだった。
兄を支え助けることが、ユンホの盃を受ける意味なのだ。
病弱を理由に跡目を不安視する外野など眼中になく、いずれ組を継ぐ兄へ自分はついていくのだと決めていた。





「兄さん。あの用心棒の人数さ、…もしかして誰かに脅されてる?」
「…どうして?別に気にするな。セヨンが心配性なんだよ。」
ニコリと微笑む兄の様子がやはりどこかおかしい。
ユンホは黙って真剣な面持ちで兄を見据えた。
そういう表情をユンホがするときは誤魔化せないと長年のつき合いから兄はよく知っている。
「ユンホ、…お前はするどいな。」
「…兄さん。」
「だから組員もお前を跡目にと切望する。」
「なっ、…」


組長である父はまだ若い。
本来なら若頭であるジノの父親か若頭補佐の兄が順当に跡目を継ぐだろうが、組長自身が何の表明もしていない。
それの何を汲んでか組員のなかにユンホを推す一派があり、兄デイルを目障りな存在として疎んでるというのだ。



「兄さん!俺は跡目なんかに興味ない。兄さんが優しすぎるからそんな輩がのさばるんだ。」
「ユンホ、…お前も優しい。」


デイルの眸は深く慈愛に溢れていて、それはユンホが何よりも失くしたくないものだった。
布団の上に置かれたデイルの手を取る。
少しばかり乾燥した手。
でも、温かい。
子供の頃からいつも撫でてくれた優しい手。


「俺を跡目にというなら、…縁を切ってもらう。そんなことで兄さんを危険に晒せない。」
デイルは握られた手をさらに上から包み困ったように笑う。
デイルも自分を慕う弟が可愛いのだ。
「だから気にするほどのことじゃないんだ。そういう噂を耳にしたって程度だよ。神経質なセヨンが悪い。」
ハハと笑ってユンホの頭を撫でる。
ユンホは何とも言えない気持ちで唇を噛みしめるしかなかった。








「ああ、…ところでチャンミンは楽しくバイトしてるのか?」
「…は?」
急に飛躍した話題にユンホはついていけず目を丸くした。
デイルがチャンミンと会うことは滅多にない。
年に一度、年頭の挨拶にチャンミンを同行させるからその時くらいじゃないだろうか。
それなのにどうしてバイトのことまで。


不思議そうなユンホに気づき、悪戯が成功した子供のようにデイルが笑った。
「なんだ、チャンミンから聞いてないのか?」
くっくっといつまでも笑っているからユンホの顔は次第に険しく強張っていく。
チャンミンに関しては本当に余裕のないユンホなのだ。


「兄さん。…チャンミナが何?」
「おいおい、そんなに怒るなよ。別に横取りしようってわけじゃない。」
「そんなこと、…っ、」
「…言ってるだろう?顔に出てるぞ。チャンミンは俺のものだって。」
「──っっ、…!///」


この兄には昔からなんでも見透かされてしまう。
笑ってふざけてるのに、──ツラいなら泣いていいぞ、と言ってくる兄だった。




「朝起きて体調がいいと庭園まわりを散歩するんだ。年寄りくさいだろ?だからチャンミンには内緒にしてくれって頼んであるんだよね。そこで庭掃除をするチャンミンを見かけて、他愛ない話をするようになったんだ。」
「あ、…そうなんだ、…」
「ふふ、面白くないんだろ?自分の知らないところで俺とチャンミンが会ってんの。」
「…っ、べつに、」
「しかもそれをチャンミンが内緒にしてたなんて腹わたが煮えくりかえってるんだろ?」
からかってるとしか思えないデイルの態度に、ユンホは血が逆流するかのように火照っていくのがわかる。



「っ、兄さん、ふざけるなっ!///」
そう叫んだときには多分もう真っ赤で、アハハと笑う兄の声だけがいつまでも病室に響いていた。












*********************


おはようございます、えりんぎです。


いよいよユノの“おかえり”までカウントダウンですねヽ(〃∀〃)ノヤッホ~♪


ついでにコチラのお話も更新再開です。
このお話は『そういうものなんだ~』という緩~い目線でお読みくださいね。
設定についてはある程度下調べをしてますが、所詮テキトーなんで(〃∀〃)ゞ


いつもたくさんの応援ありがとうございます。
またしばらく皆さんの目覚まし時計として頑張ります~(-ω-ゞ⌒☆









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