HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~渇愛~2



































夏休みも残すところ10日ほどになっていた。
あと少しでチャンミンのバイトが終わるとホッと一息のユンホだったが、土日だけでも。という店長の要望でチャンミンもその気になってるようだ。
本来ならにべもなく断るユンホだが、過保護だと言われて以来2人はどこかぎこちなく口が出せる雰囲気でもなかったのだ。




最近のユンホは以前より女遊びが減った。
少しずつ落ち着きを取り戻してきたのだと自分で思う。 
あまりチャンミンの夢を見なくなったから。
それでいい。
それでいいんだ、とユンホは安堵していた。
このまま何もなかったようにチャンミンを送り出せばいいのだと常に自らを言い聞かせていた。




その日はハイルとチャンミンがバイトを終えたあと遊びにいく予定だった。
だからユンホはバイト終わりに合わせ店へ行くこともない。
それなのにオフィスではチラチラと時計を気にしてしまい、書類をめくる手が気づけば止まっていたりする。
情けない、…そう思いつつ自嘲的な笑みが漏れたと同時にスマホが着信音を鳴らす。
タップした途端飛び込んできたのはハイルの慌てた声。



「ユノ兄?あのさ、チャンミンを知らないよね。先にバイトをあがって待ってるよう言ったのにいないんだよ。探してるんだけど、…見つからない。」
「っ、お前!あれほど、っ、」


あれほどチャンミンから目を離すなと言ってあるのに。
チャンミンは見た目より幼い。
純粋で夜の街にも慣れてないから、誰にでもついていきそうなのだ。


ユンホは書類をそのままにして勢いよく席を立ち、その音に驚くジノへ断ってオフィスを出た。
じわりと汗が滲む。
チャンミンが見当たらないというだけで、こんなにも心臓が波打つ。
エレベーターの動きが酷くゆっくり感じられ、焦りとイラつきで真っ直ぐ立ってることができず小刻みに踵を鳴らした。




1階へ降り、ビルを出たところにいつもの迎えの車。
運転手もチャンミンを見ていないと言うから、ビルを出てないということか。
ユンホは取りあえず車を帰しビル内を探すことにした。
チャンミンが勝手に他の店に行くとは考えにくい。
まだアクアリウムバーのどこかにいるんじゃないかとユンホは考え、地下へ降りようと体を翻した時ふと納品業者用の出入口が目にとまった。


何となく覗いてみる気になったのはユンホの勘で、それは大当たりだった。


納品業者用の出入口はビルの奥まったところにあり裏口に通じている。
そこの影に背を向けた3人の男達と囲まれるように立った1人の男。
チャンミンが長身で良かった。
うつ向いて顔は見えないが遠くからでもあれはチャンミンだとユンホにはわかる。






「おい、何してる。」


ユンホは出来るかぎり抑えた声で言いながら、いつ男達が殴りかかってきてもいいように身構える。
こちらからは手をださない。
それは堅気ではないユンホの決め事で、それでも相手から襲いかかってくるのであれば一瞬で勝負をきめる自信があった。


「っ、…ユノさん!」
そう言った3人のうち最年長と思われる男にユンホは見覚えがある。
派手なスーツ姿は運搬口の薄暗い蛍光灯ではいやに野暮ったく見えた。
「…ホストクラブの店長がここで何をしてるんだ?」
ユンホはすぐにその男を思い出し、睨みを利かせて唸るように言う。
それだけで縮みあがった3人はどうしてこのビルのオーナーを怒らせたのか全く理解できないようだ。



「っ、ユノ!」
「こっちへおいで。チャンミン。」


そのやり取りでやっと目の前の高校生がユンホの知り合いだと気づき、下手に誤解をさせてしまったのだと焦る。
「あ、ユノさん、違うんです。脅してたんじゃないですよ。地下のバーでイケメン高校生がバイトしてると噂に聞いてまして、さっきたまたま見かけてスカウトしてました。まさかユノさんのお知り合いだとは、…」
「チャンミンは弟のようなもんだ。スカウトってホストクラブにか?そういうがらじゃないだろ。」
「いやいや、こういうスレてない綺麗な男の子が欲しかったんですよ。どうですか?バーの皿洗いじゃ勿体ないでしょ。」
「断る。」


1階フロアから漏れる明かりを背にしたユンホの表情は分かりづらいが、眉間のしわは深くピキピキと音がしそうなほどこめかみに怒りの色を漂わせていた。
だから夜のバイトなど駄目だと言ったのに。
厨房から出ない仕事であっても噂になるほどチャンミンの容姿は目を引くのだ。
それを本人がまったく自覚していないから困る。
ユンホのようにその容姿を利用するしたたかさはチャンミンにはまだない。
だから守ってやらなきゃならない。
それを過保護だと言われてもチャンミンを薄汚れた世界へ放り込むことはできなかった。



「そ、そうですよね。やだな、そんなに怒らないでくださいよ。ユノさんのお知り合いと存じ上げてたらこんな無礼なことをしませんでしたのに。」
鼻につくほどへりくだる店長へユンホは何も答えない。
ビルのオーナーであるユンホを怒らせるのは得策じゃないと、店長は慌てて傍らの男達を連れ腰を低くしながら去っていった。
おそらくチャンミンがホストクラブへ誘われることはもうないだろう。





「チャンミナ。お前、知らない男についていくなよ。」
ユンホの背後、遠くに聞こえる賑やかな喧騒とは打って変わり、ユンホとチャンミンの間には張りつめた静けさが漂う。
「あの、…ハイル兄と約束してるのをお迎えの運転手さんに伝えるの忘れちゃって。伝えようと思って出てきたら声を掛けられたんです。丁寧な言葉遣いだったし恐そうな人には思えなかった。」
ユンホが怒っているのをチャンミンはひしひしと感じる。
話を聞いていただけなのにと思うけど、とてもそんなこと言える雰囲気ではなかった。


「…今のはビル内の店の店長だからいい。でも丁寧な言葉遣いで近寄ってくる酷い奴もいるし、本当に恐い人間ほど恐くは見えないものなんだ。」
バイトをしないかと誘われただけのこと、そう分かっているのにユンホの苛立ちは消えない。





落ち着きを取り戻したなんて、──嘘だ。
必死で目をそらしていただけなのだとユンホは痛感していた。
チャンミンがいないという電話はそれほどユンホにとって衝撃が強かったのだ。



「…ごめんなさ、…っ、わ、…!」



目線を下げたチャンミンがそう言い終わる前にユンホの腕が伸び乱暴に抱き寄せる。
今までしてきた慈しむような抱擁じゃない、激しく痛いほどの力、ユンホの苛立ちと焦燥感が伝わりチャンミンまで胸が苦しくなるほどの。
チャンミンが思わず引いた体を引き戻し、少しの隙間もないくらいに包み込む。
ユンホの全身が自分の名を呼んでるように感じられ、痛くて苦しくて、…幸せな、そんな抱擁だった。




「っ、ユノ?」
「あ、ああ、…悪い。」


その力強さはすんなりとチャンミンから離れていこうとしていて、咄嗟にチャンミンはユンホの腕を掴んだ。
久しぶりのユンホの温もりを手離したくなかったのだ。


「チャンミナ?」
「ごめん、ユノ、…ごめんなさい。僕を心配してくれたんだよね。」
「あ、…ああ。」
「心配させてごめんなさい。ユノを嫌いなんて言ってごめんなさい。ユノ、…大好き。」
「え、っあ、…ちょっとチャンミナ?///」


チャンミンはもう何もかもひっくるめて謝ってしまおうと考えていた。
誰にも知らせず勝手に行動したことや何日か前に吐いてしまった暴言も。
嫌いになれれば楽かもしれない。
でもなれないのだ。
ユンホを嫌うことなど絶対にチャンミンには無理だった。
だったら謝ってしまおうと考えるチャンミンは、やはり素直で幼いのかもしれない。
そんなチャンミンをユンホはどうしようもなく可愛いと思ってしまう。




「ああ、俺も大好きだよ。だから心配してしまうって分かるか?」
「……うん。」
チャンミンの両手はユンホの腰にまわり、ユンホもいつもみたいにスベスベの頬を優しく撫でている。
誰かに見られたら、きっと赤面させてしまうような甘い空気が流れているのを2人だけが知らない。














にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト