HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~渇愛~3










    





















 


「ハイルに電話しないとな。きっと心配してる。」
チャンミンの頭をゆっくり撫でてからユンホはスマホを取り出す。
「…今夜は心臓に悪かったから本当はこのまま帰ってほしいんだけどな、…」
そう言いながら、やはり過保護だと言われたことが引っ掛かっているのか帰れとは強く言えない。
スマホをタップする指を遮り止めたのはチャンミンで、ふと視線が絡む。
「…もし、ユノも一緒に帰ってくれるなら、…ハイル兄には謝って今度にしてもらおうかな?」
最近のチャンミンにしてはめずらしく上目遣いで甘えてくるから、ユンホだってそうしてやりたいに決まってる、ゆっくりした動作とは裏腹に頭の中では今夜の仕事の算段が忙しく回っていた。












「久しぶりにカルタ取りしない?」
「は?こんな夜中に?」
「うん。たまにはいいでしょ。」


結局2人は電車に乗って家路についていた。
ジノは仕方がないなといつもの苦笑いで仕事を引き継いでくれたし、面白くなさそうなハイルもユンホへ電話してしまったのは自分のミスだと諦めるしかなかった。


車を帰してしまったから足がない、仕方なくタクシーをつかまえようとするユンホをチャンミンが止める。
まだ終電まで間があるから電車に乗りたいと言って渋るユンホを無理やり電車に乗せたのだ。
比較的空いた車両でドサリと座ったユンホの隣にチャンミンも座る。
そこでチャンミンは百人一首の話を出した。



「もう7年もさんざん使った百人一首を未だに大切にしてくれて嬉しいよ、チャンミナ。」
「うん。」
「……だからカルタ遊びは今度の休みの日にしないか?」
「やだ。」
ユンホは呆れたように苦笑いして、しばらくぶりに甘える意外なチャンミンを見つめた。
ここ最近はずっとよそよそしく他人行儀だったチャンミンが今夜はなぜか昔のように甘えてくる。
ユンホも昔のように擽ったい気持ちになり甘やかしてやりたくなった。



「…1回、だけな。」
「うん、やった。」
満面の笑顔を浮かべるチャンミンを見て、本当に高校生男子だろうかとユンホは不思議に思う。
反抗期もなければ生意気な口もきかない。
思春期特有の男臭さも皆無で性への目覚めなどあったのだろうか。
本来なら自分が気にしてやらなければならないのにチャンミンに対して教えてやることができなかった。
ジノが気を利かして教えてやってほしいと思う気持ちと、このまま年齢より幼いままでいいと思う気持ち、誰にも触れさせない領域のなかで全て自分が教えたいという思い。
ユンホの心中は変わらず複雑だった。








深く座席に凭れたユンホの肩が少しだけ寄りかかる。
チャンミンは姿勢よく座り、その重みを自分の右肩に受けていた。
冷房のきいた車両でじんわりとそこだけ熱い。
でも離れる気なんてチャンミンにはなかった。


溜まりに溜まったものを吐き出すようにチャンミンはユンホへ甘えた。
ずっとずっと我慢していたこと。
それを解き放ったきっかけはユンホからの力強い抱擁に他ならない。
チャンミンは自分だけひとりよがりの想いだと長い間決めこんでいたが、そうじゃない、…想いの種類は違えど大切に慈しむ気持ちは一緒なのだと力強い腕が教えてくれた。 



それなら自分も限りある時間のなかで、とことんユンホに甘えユンホへ尽くしたいと決めたのだ。













寝るばかりに準備してチャンミンはせっせとカルタの用意をする。
その傍らでユンホは焼酎を飲んでいた。
しらふでは何となく照れくさい、どうしても熱くなる視線を酔いのせいにしたいユンホだった。



「デイル兄さんとよく話すんだって?」
そして、ついそんなことまで口に出してしまう。
「え?兄さまに聞いたの?」
「……、あのさ、どうしてデイル兄さんが兄さまでハイルがハイル兄で俺だけユノなんだよ。」
そう呼ばれるのを不満になんて思ったことないユンホだったが、兄を兄さまと親しげに呼ぶのが気に食わないのだ。
「ん~、…ユノは特別だから。」
チャンミンがニッコリ笑う。
ユンホは聞いたことを後悔した。
その無邪気な笑顔に、特別という言葉に、無理やり閉じこめた想いが顔を出してしまいそうで。






「…、そっか、…」
「うん。」


努めて平静をよそおうユンホだったが、どうしても緩んでしまう口元は隠せない。
それにチャンミンにしたら7年間ひたすら追いかけたユンホの表情なのだからすぐにバレてしまう。
ユノが笑ってくれる。
それはチャンミンの気持ちを高揚させ、もっともっと話したい気持ちでいっぱいになるのだ。









「兄さまはいつも沢山ユノの話をしてくれるんだ。」
「俺の?」
「そう。ユノの子供の頃の話や、僕くらいの時は反抗期で全然喋んなかったとか。」
「ちっ、なんだよ。」
チャンミンにとってユンホの昔話はどんな本を読むより興味深く楽しくて、あまりに目を輝かせるからデイルもつい調子にのって話していた。



「学生の間は兄さまもここに住んでいたんだね。ユノのために池をつくって初めて錦鯉を放した日、ユノが鯉と一緒に寝るってきかなくて困ったって。」
「~~っ、…くそ、兄さんめ、」
「ふふ、僕のことを子供っぽいって笑うけどユノも一緒だって嬉しかったんだ。」


「あ~、うん。まあ、…チャンミナが言うサン太?アイツが一番人懐っこいってのは俺も知ってる。最初に俺の手から餌を食ったのもアイツだし、落ち込んでると慰めるように寄ってきてずっと足元でひらひら泳いでるんだよな。」
「そうそう!元気だして~って揺れる尾っぽが言ってるみたいなんだ。」
「ハハ、…ま、そうかもな。」


デイルから聞いた話を補足するようにユンホがポツポツ話す。
チャンミンは特に錦鯉の話が嬉しかった。
だってここへ来て初めて目にした“キレイ”だったから。
「そっか。サン太は僕の初めての友達だと思っていたけど、その前にユノとも友達だったんだ。」
嬉しいような面白くないような複雑な表情のチャンミンへユンホは可笑しそうに笑う。
「チャンミナの初めての友達は俺じゃないんだ?」
そんな冗談を言ってしまうほど。



「ユノは友達じゃないよ。…ユノは、ユノなんだ。」


ついチャンミンはそう言ってしまいユンホを見た。
ユンホは穏やかな表情を浮かべ笑っている。
普段あまり自分のことを話さないユンホが楽しそうに話してくれる、それがチャンミンは無性に嬉しかった。





だから、つい言ってしまった。



「昔ユノが毎日百人一首を読んでくれたでしょ。それを兄さまに話したら、兄さまが僕にぴったりの句があるねって言うんだ。」
「チャンミナに?」
向かい合った2人の間には絵札と取り札が2つの山を作っていて、チャンミンはそのうちの絵札を片手で崩す。
バラリとそれは帯を作り、チャンミンの視線が丁寧にそれらを追った。


「あ、…コレ。」


そのうちの1枚を手に取り、胡座をかいたユンホの膝元にスッと差し出す。 
チャンミンにぴったりの句とはどういう意味で兄は言ったのか、ユンホはその文字を目でたどる。




『しのぶれど 色に出にけり わが恋は
   ものや思ふと 人に問ふまで』



そう書かれた、恋歌の札を、───。
















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