HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~渇愛~5


































あの日ユンホが宣言したようにユンホとチャンミンは出来る限り共に時間を過ごした。
鯉の餌を一緒にやって、あれがイッ太でそっちがゴン太とチャンミンが勝手につけた鯉の名前をユンホへ覚えさせる。
ずっとチャンミンの役目だった鯉の餌やりがもう出来ないかもしれない。
名前を呼んでやると鯉が喜ぶからとユンホへ教え、もともとユンホの鯉なのだ、あっという間に名前と鯉が一致する。
そんなことも嬉しいチャンミンだった。








「お、めずらしいな。ユンホ。」
大庭園を小さく区切る生け垣の向こうから声が掛かる。
「デイル兄さん。病みあがりで散歩なんていいのかよ?」
「兄さま!体調はどう?」
それは退院間もないデイルで、今朝は天気もいいし久しぶりにチャンミンの顔が見たくて寄ったのだ。
まだ早朝で本来ならユンホは寝ている時間。
それがわざわざお出迎えとは。
デイルは病室での会話を思いだし思わず笑ってしまう。
「…なんだよ?」
「くく、…や、ユンホが意外に分かりやすくてね。」
「?…なんのこと?」
「いや、チャンミンは気にするな!///」
くっくっとデイルの笑いはなかなか止まらず咳き込んでしまい、それはチャンミンを心配させるほどだった。






茹だるような暑さも朝晩は少しずつ和らぎ、時おり吹く風に秋の気配が混じる。
もうすぐ夏休みが終わる。
こうしてゆったりとした時間を共に過ごせる夏休みが。




「俺が親父へ聞いてみようか?」
「……何を?」


庭の掃き掃除をするチャンミンを眺めながらユンホとデイルは縁側に座っていた。
チャンミンがお茶をいれてくれたから、ちょうど喉が渇いていたんだとデイルは嬉しそうにそれを飲む。



「チャンミンのこと。慈善活動として憐れな子供に援助の手を差しのべた、それだけでいいのに何も愛人にしなくても、…」
ユンホは遠くを見つめる兄の横顔を見やり、ふんと鼻で笑う。
「あんなに賢くて素直で無垢な子を、…可哀想で見てられない。なんとか諦めてくれないだろうか?」
「無駄さ。」
「…お前はそれでいいのか?ユンホ。」
デイルもユンホへ視線を向け、目が合う。
ユンホは兄の優しげな眸に自分を映しながらわずかに口元を歪め、病弱で温室に咲く花のように育てられたお人好しの兄を甘いと思う。




「兄さん。いいも何も親父は慈善家じゃない、ヤクザだ。可愛らしい子供を一目見て気に入り、将来我が物にしようと引き取った。もしチャンミンの容姿が悪ければ、売られるかどこかへ捨てられてる。」
「…ユンホ、」
「それにチャンミンは可哀想じゃない。本人が望んで選んだ道だ。下手に施設へ行くより親父に愛されて不自由ない生活を送る方が余程いい。チャンミンは勉強好きで賢い。親父ならチャンミンの望む十分な環境を与えてやれるだろ?」


いつになく雄弁に口が動くユンホだったが、それはまるで自分自身へ言い聞かせてるようだとデイルは思う。
「お前だって与えてやれるだろ?ユンホ。」
何気なくそう言ってやれば一瞬でユンホの表情が強張り眉間に深くシワが寄った。


「…兄さん、俺を怒らせたいの?」
「ユンホ、…」



違うんだ。
可哀想で見てられないのは、ユンホ、…お前だ。


デイルはそう言いたかったが、そんなこと言おうものなら本気でユンホを怒らせてしまいそうだと口をつぐんだ。



「親父のことだ。子供の相手などすぐに飽きてさっさと手離してくれないかな。その時ユンホがもう引き受けれないと言うなら俺がチャンミンを個人秘書にしよう。」
デイルが冗談まじりで言う。
もし万が一そんなことがあったら、本当にチャンミンを傍に置きたいくらいデイルはチャンミンを気に入っていた。
「ふっ、能天気な兄さんだ。」
ユンホの口角が苦々しくあがり、それは──そんなことある筈がない、と言ってる。
実際ガンソクが月に一度のチャンミンとの食事を待ち望んでいて、今か今かとチャンミンの誕生日へ焦れる気持ちを楽しんでいることは誰もが知っていた。


「男を抱きたいって気持ちは俺には分からないけどさ、…チャンミン、可愛いもんな。そう簡単には手離してくれそうにないか、…」
「…デイル兄さん、」
もうこの話はやめよう、そう言いかけてふと目線を上げればチャンミンが誰かと話している。
「あれ?ハイルじゃないか?なんだアイツ、こんな朝っぱらから、…」
先に気づいたのはデイルだった。
おーい!とデイルに呼ばれ、兄達に気づいてなかったのか明らかに動揺している。
遠目ではよく見えない。
チャンミンがハイルの口元へ手を伸ばし擦るように動かしていた。
そっぽを向いたハイルへチャンミンが笑う。



「…ユンホ、…どうした?」


「あ、…いや、何でもない。」



何でもないとユンホは言いながら。
それだけでユンホを襲う胸の軋みを、
眸に浮かぶ独占欲という厄介な感情を、
もう自分では制御しきれず、深く息を吐きやり過ごすしかないのだ。








渋々近寄ってきたハイルは、よく見れば傷だらけだった。
「お前、…それどうした?」
ユンホの顔が険しくなる。
また街でふっかけられた喧嘩をかったのだとすぐにわかったからだ。
「ハイル、傷だらけじゃないか!お前、もしかして朝帰りか?あー、チャンミン、濡れタオルと消毒薬あるかい?」
「持ってきますね。ハイル兄も座って待ってて!」
デイルとチャンミンがハイルを挟み心配そうにしているその横でユンホは険しい表情を崩さずハイルをじっと見つめる。


「お前、何度言ったらわかるんだ。俺達はまっさらな堅気じゃないから闇雲に喧嘩をするのはやめろと注意しただろ?」
「だって、…」
「言い訳するな!お前だけの問題じゃなくなる場合だって出てくる。組に迷惑かけてどうする。」
頭ごなしに叱るユンホをまあまあとデイルが宥める。
これはいつもの光景で、ハイルもそれを承知で気づけばデイルの背中に逃げこんでしまった。
「まあそれほど大した怪我じゃない。相手は誰だ?」
「…最近ハデに騒いでるグループの奴ら。たぶん10代だと思うけど、よく知らないんだ。急にいちゃもんつけてきてさ、…」
「っ、だからって馬鹿みたいに、…っ、」
一歩前に出たユンホをデイルが片手で制する。
この16も年下の弟にどこまでも甘いデイルなのだ。



「ハイル兄!先に泥だらけの顔を拭くよ。」
戻ってきたチャンミンがハイルの顔を丁寧に濡れタオルで拭いていく。
「っ、イテテ、」
「ほら、大人しくしてよ。」
「チャンミナ~、もう少し優しくして?」
「もう!動くな~!」
へらへら嬉しそうなハイルを見てユンホは無性に腹が立つ。
それなのにハイルがチラチラ得意気な視線を投げてくるから苛立ってしょうがない。


「ちっ、勝手にしろ。」
脱ぎ捨てるように靴を脱ぎ散らかし勢いよく部屋へ戻っていったユンホだったが、ユンホの苛立ちの理由が分かっていないチャンミンに呼び戻され靴を揃えるよう注意される。
さらに腹立たしげに、でもしっかり靴を直すユンホを眺めながら、可笑しいような切ないような気持ちのデイルだった。




















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