HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~渇愛~7



































チャンミンがいなくなったと必死で探したのはつい先日で、見つけるまでの焦燥感や苛立ちは相当なものだった。
名前を言えない子供じゃあるまいし背格好も大人と変わらない、そうは言ってもユンホにとってチャンミンは宝物のような存在で、もう二度とあんな思いはゴメンだとそう思っていたのに。








「っ、…ユノ兄!!」



ビルの最上階、ユンホが所有しているメンテナンス会社の社長室へ、酷く取り乱したハイルが飛び込んできた。
これほど狼狽したハイルはめずらしい。
後から追いかけるように従業員がやってくる。
引き止めたのに無理やり押し入ってきた、そんな感で。



「騒がしいな、ハイル。バイトはどうした?」
もう夕方6時を回っている。
本来ならチャンミンと一緒に店に出る時間なのだ。



「ユノ兄、…それが、…チャンミンが、」


ハイルの顔色はすぐれず、走ってきたのか息も荒い。
そして途切れ途切れに出した名前にユンホの顔色がサッと変わった。




「おい、チャンミンがどうしたって?」
横から口を出したのはジノだ。
先日ハイルの電話を受けたユンホを近くで見ていたから、ハイルだけでなくユンホも落ち着かせなければとわざとゆったりした口調でジノは聞いた。




「ここへ来る前にチャンミンとぶらぶらしてて、…その、チャンミンが買い物したいって言うから、」
少しずつ落ち着きを取り戻したハイルが話しはじめる。
「めずらしいな。バイト前にチャンミンが買い物したいだなんて。」
「ん、…なんか、せっかく服を買ってもらったから街へ出たいって。買いたい物があったらしいし。」
「そうか。それでチャンミンがどうしたんだ。」
なかなか核心に触れないハイルの話はまどろっこしく、ユンホに言いにくく出来れば言いたくない話なのだとジノもユンホも感じとっていた。 




「ハイル、早く言え。チャンミンがどうした。」


一見穏やかなのに緊張感を隠せない口調。
表情の読み取れない兄をハイルは恐れていた。
でも言わなければ。
この兄なら力を貸してくれるはずだ。




「ユノ兄、…ごめん。ちょっと目を離した隙にチャンミンが消えちゃって、…前に揉めたグループの奴らに連れられてくチャンミンが目撃されてる。奴らから何の接触もないし、溜まり場を今必死で探してるんだけど、…うっ、」
「っ、ユノっ!!」


ガタンと倒れた椅子が転がる音より先にハイルの呻く声がして、ユンホが容赦なくハイルの胸ぐらを捻りあげていた。
「っ、だから、闇雲に喧嘩するなと言ったろ?」
「…ご、ごめん、…」
「お前、…もしチャンミンに、…っ、」
そこまで言って、ユンホは続きを飲み込んだ。
ユンホの激昂をジノが真剣に止めに入ったのもあったし、今はこんなことをしてる場合じゃない。





ユンホだって売られた喧嘩を買ったことはある。
立ってるだけで目立つのだ、いわれのない難癖をつけられるのは珍しくなかった。
だからハイルの気持ちはわかる。
組の名前を出して空威張りしてるわけじゃない。
若さゆえの暴走を注意はすれど真剣に咎める気などない。




だけど、───駄目だ。


チャンミンは駄目だ。
チャンミンを巻き込むのは許さない。




腹の底から込み上げる怒りと焦り、そして切迫感で我を忘れそうになる。
常に冷静なはずのユンホの額に汗が滲み、きつく握ったこぶしが微かに震えていた。








ジノがハイルへ掴みかかるユンホの腕を強引に解く。
「ユノ、落ち着けよ。ハイルを責めても仕方ないだろ?取りあえず相手グループを割りだしてチャンミンの居場所を突き止めようぜ。」
「っ、分かってる。」
それだけ言って自分のデスクに戻り散らばった書類の下からスマホを取り出すユンホをジノは見つめた。



この男はチャンミンのことになるとどうしてこうも冷静でいられないのか。



そう思うジノだが、そんなこと問うまでもない。
もう認めてしまえばいいのにと最近は思うようになった。
見てられないのだ。
ユンホもチャンミンも。
お互いの立場を思いやりすぎて、好きだと愛してると言えないでいる、そうジノには見えた。



組長がチャンミンを気に入ってるのは知ってるが、でも何人かいる愛人のひとりにしようとしてるにすぎない。
若くて可愛いチャンミンが組長にしてみれば珍しいだけじゃないだろうか。
だがユンホとチャンミンは違う。
チャンミンは出会った日から変わらずユンホだけ特別のように慕ってるし、ユンホだってそうだ。


それをジノはずっと兄弟愛のようなものだと思っていた。
でも違った。
お互いを求める姿は自分が彼女へ向ける感情と何ら変わらず、いやそれ以上に恋い焦がれているように見える。



どうにかしてやりたい。
そう思うジノだが、あの組長を前に意見するなど絶対に出来ないとも思うのだ。











ユンホは無言のままスマホ片手にパソコンを操作していた。
そして立ち尽くしたままのハイルへ視線を向ける。


「お前が怪我して朝帰りしたあと、気になって俺なりに調べてみた。敵対する組と関係があるグループなら厄介だと思ってな。」
「…ユノ兄。」
「…どこかの組員って奴はいない。ほとんどが高校中退のフリーターで、血の気が多いのか怖いもの知らずなのか、あちこちで喧嘩ばかりして揉め事を起こしてるらしい。」


ジノはいつの間にと思いながら聞いていた。
でもユンホはそういう男だ。
血迷い暴走することはまずない。
冷静沈着なのは父親譲りで、平静をよそおい抜け目なく網を張り機会を窺う。
身の内に溜めた強靭な精神力と攻撃力は並外れており、それを一瞬で爆発させ一気に仕留めるのだ。



「だけど全く無関係だと油断はできない。街の外れにある倉庫を改装したクラブに昼間から溜まってるようだ。」


「…それと、コレ。」
ユンホが軽く掲げたスマホを指す。
「コレでチャンミンの居場所がわかる。どうやらそのクラブに居るみたいだな。」




パソコンの電源をおとし立ち上がったユンホへハイルが寄っていきスマホを見せてくれと手を伸ばした。
「っ、ユノ兄、…俺、行ってくる。」
「駄目だ。」
スマホはもうユンホの胸ポケットのなかにある。
ハイルに教えるつもりなどさらさらない。




「お前が取り戻しに行ったところでどうせまた喧嘩になる。俺がひとりで行ってくる。」
「ユノ兄、…っ、そんな、」



「お前はバイトだろう。俺からも店長へ連絡しておくからお前はチャンミンの分も働け。」
それだけ言い置いてさっさとドアへ向かうユンホをジノが止めた。
それを軽々とはねのけユンホの足は止まらない。


「っ、ユノ!お前、無茶するなよ。」
背後から聞こえた声にピタリと立ち止まり、ユンホは一瞬だけ振り向く。
「はっ、ガキ相手に無茶なんかするか。チャンミンを引き取りに行くだけだ。いっさい手は出さねぇよ。」
それだけ言って足早に出ていったユンホをハイルとジノは言葉なく眺めていた。



「ハイル。ユノの言う通り2人分バイトに穴をあけるのはよくない。チャンミンが見つかったら知らせに行ってやるからお前はバイトへ行けよ。」
ジノがそう言えば、仕方なくといった感じで渋々ハイルは頷く。







ハイルを送り出したあと、ジノは大きくため息をつき応接セットの柔らかいソファへ体を沈めた。



冷静に見えたがいつものユノじゃない。
相手の人数も分からずひとりで乗り込むとは。
下手に人数を揃えるよりひとりの方がいい場合だってある。
今回もそうかもしれない、でも、…



ユンホの全身を纏うオーラが口出しは許さないと言っていて、その静かなる迫力にただ待つことしかできないジノだった。















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