HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~1
































1年で一番夜が長いこの季節がチャンミンはあまり好きではない。
学校から帰る頃にはもう薄暗く、ゆっくり庭をいじったり鯉を眺めることもできない。
なにより夜の帳がおりてからユンホを待つ時間が長すぎてチャンミンは寂しくなってしまうのだ。



でも今日は違った。
学校から帰ってすぐユンホから電話があり今日は早めに帰ってくると言うから、片付けも早々にエナ達へおやすみを言い離れへ戻った。
チャンミンの手にはエナが持たせてくれた手作りクッキーがあって、チョコチップを散らしたそれに目線をおとしチャンミンは小さなため息をもらす。



エナ達が良くしてくれればくれるほどチャンミンの罪悪感と居心地の悪さは増すが、勝手に行動を起こすなとユンホからきつく言われていた。



本当は、何年かかってもこれまでの養育費は返すつもりで縁を切ってほしいとチャンミンは思っていた。
春になると咲き乱れる桜の風景も、
毎日餌をやり可愛がったサン太やゴン太も、
すべてを捨てて。



幼い頃から事あるごとに貰ったささやかな小遣いも一切使うことなく貯めていたからそれなりの金額になっていた。
昼間働いて夜間の高校へ通う手だってある。
ただ未成年だから未成年代理人が必要で、それはユンホへ頼むしかなくユンホがこの申し出にうんと言わない限りチャンミンは身動きできないのだ。




7年かけてゆっくり覚悟してきたつもりなのに、それがどうだろう、ユンホを受け入れてからチャンミンはもうユンホ以外に触れられるのさえ無理だと思う。それならばいっそ殺してほしいと思うほどに。




それでも。
ふと眸を閉じればユンホとの幸せな未来が浮かぶ。
贅沢な暮らしなどいらない。
ユンホさえ隣に居てくれたら、チャンミンはどんな試練だろうと耐えられる。
そしていつか弁護士としてユンホの力になりユンホを助けたい。
それはユンホがヤクザになろうがなるまいが関係なく、ユンホの歩いていく途が自分の弁護士としての志しなのだと信じていた。











その時玄関の外で物音がして、思っていたより早いユンホの帰宅に一瞬でチャンミンの顔は輝く。
バタバタと廊下を走り出迎えた玄関先で、チャンミンを待っていたのはユンホだけではなかった。



「ただいま、チャンミン。もうメシは食ったか?」
にっこり笑うユンホの手にはチャンミンの好きな蟹寿司の折りが見える、そしてその後ろからひょっこり現れた手にはこれもチャンミンが大好物のチキンのダースボックスが握られていた。



「久しぶり、チャンミン。」


ユンホがジノ以外の客を離れに呼ぶのは初めてで、ユンホの影から出てきた愛想の良い男へチャンミンは戸惑いを隠せない。


「ユノさんがチャンミンの大好物だって言うから買ってきたけど、やっぱ寿司とチキンなんて合わない?」
「あの、…」
馴れ馴れしく話してくる男が一瞬誰なのか分からず、口を開いてすぐに3か月ほど前の記憶に思い当たる。


「ユノ、…どうして、」


チャンミンの驚きは当然だろうとユンホは思う。
まさか数ヵ月前に自分を拉致した不良グループのリーダーと、こんなところで再会するとは思いもよらないだろう。


「チャンミナ。説明するから、取りあえず部屋へ入ろうか。」
「ついでに食事しながら話しましょうよ。俺もう腹ペコです。」
悪びれずそんなこと言ってくる男の首根っこをユンホはむんずと掴み背中を押す。
「お前はその前にすることあるだろうが。早く取ってこい。」
「分かりましたよ。さっきも言いましたけど、これは悪意があってのものじゃなくてユノさんに僕の実力を、」
「っ、盗み聞きのどこが実力だ!いいから、取ってこい。」


そんな2人のやり取りがチャンミンはまったく分からない。
突っ立ったままのチャンミンの横をその男ハン・シドは軽やかに通りすぎる。
すれ違いざま、──やっぱキレイだね、君。とチャンミンへ目配せしながら。





先に部屋へ行ってしまった客の背中を眺めるチャンミンをユンホは背後から包むように抱きしめる。
驚きとっさに離れようとするチャンミンをさらにユンホは強く抱いた。 
「っ、ユノ?///見られちゃう。」
「…大丈夫。もうバレてる。」
「え?」
「ごめんな、俺が油断した。」
「ええ?っ、なに?」
「恥ずかしがることはないからな。一発思いきり殴ってやったから。」
まるで会話の意味が分からない。
それに、確かに初対面だった3か月前のユンホとシドの雰囲気とはまるで違う。
いつの間に仲良くなったのだろうとチャンミンは不思議だった。



「今夜はせっかく早く帰れるからチャンミナと2人ゆっくりしようと思っていたのに。アイツ、電話の内容も聞いてたな。速攻で会社へ来やがった。」
「え、…電話?」




そこへ、あった、ありましたよ~、と呑気な声が聞こえてきて、重なりあったチャンミンとユンホを見るなりニヤニヤと嬉しそうに笑った。
「ああ、やっぱり声だけより実物の方が色っぽくてドキドキしますね。」
などと言いながら差し出した手には小さなボタンのようなものが置かれていて、
「盗聴器だ。」
ボソッと耳元で囁かれたユンホの声を、信じ難い思いでチャンミンは聞いていた。











──遡ること、3か月。



シドは必死だった。
全身が粟立つような衝撃の出会いからどうしてもユンホのことが頭から離れない。
好きとか嫌いとかそういう類いのものではなく、強い憧れと共にユンホのテリトリーに入りたいと強く望んだ。


これまで真剣に何かをしたことなどない。
適当に遊んで、気づけばろくでなしグループのリーダーになっていた。
取り巻きを使って生意気なグループへ喧嘩を仕掛けるのは楽しい。
だが、それだけだ。 
破壊からは何も生まれない。
そうと知りつつ、手先が器用で機械いじりが趣味のシドは盗聴器を作ってはそれを恐喝に使う危ない遊びに耽っていた。



それすらユンホに出会ってからは酷くつまらない遊びに思え、再びユンホへ会いにいくと決めてからのシドは真剣そのものだった。
のらりくらりと人を小馬鹿にしたような態度の男が初めて必死の形相で自分を手下にして欲しいとユンホへ懇願した。
勿論ユンホがすぐにシドを受け入れることはなく、最初の二週間は毎日のようにユンホをつけ回すシドへ話すことすら拒否をした。
仮にもチャンミンへ手をあげた男だ、殴られないだけ感謝しろとでも言いたげに。



それでも諦めないシドへ、高校生なら毎日学校へ通えと何気なく言ったのがユンホの初めてシドへかけた言葉で、高校3年生を二度留年しているシドだがそれから嘘のように毎日高校へ通うようになった。


次にユンホが言ったのが、喧嘩に明け暮れるだけのチームなら解散しろで、まさか本当に解散するとは思っていなかったのだ。
たまり場になっていた倉庫跡のクラブはシドの父親名義でシドが友人に経営させていたものだから、そこを潰せば拠り所をなくしたメンバーは必然的に散り散りになっていった。





そこで呆れたようにユンホが大きくため息を吐く。
最初は追い返す為だけに何気なく言ったが、本当に毎日高校へ通っているのかしっかり調べていて知っていたし、まさか自分の言葉ひとつでクラブを潰すとは思わなかったのだ。


「クラブを潰すのはお前の勝手だが、行き場を失くして暴走するやつも出てくる。喧嘩に明け暮れるだけの、と俺は言ったんだぞ。もっと周りをよく見て考えろ。真面目にやってくつもりのヤツだけ集めろ、俺が雇ってやる。」


ユンホも多少責任を感じていたし、それにチャンミンと同年代の青年達を見捨てることが出来ず、ひとりひとり面接した上でメンテナンス会社やビル内の店などで雇うことになり、シドとも繋がりができてしまったのだ。




それが益々シドを崇拝させ、どうしてもユンホの懐に入りたいと切望させた。


そして、あの日チャンミンとユンホの様子を目の前で見たシドだから気づいてしまったのだ。



ユンホにとって唯一の弱味であり、
ユンホを知り、ユンホを懐柔できる手段の鍵となる存在を。















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