HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~6


































メンテナンス会社の社長室はビルの最上階にある。
モノトーンを基調にしたシンプルなデスクと応接セット。
壁一面の本棚には多種多様な本がぎっしりと埋まっていた。
そしてコーナー窓から南側全面が窓になっていて、昼間はたっぷり陽が射し込み、夜は宝石箱のような夜景が楽しめる。




その応接セットのひとり掛けソファで長い足をゆったりと組むユンホと長ソファで前のめりに屈むジノは、格好は違えどお互い神妙な面持ちは同じくテーブルの脇に無造作に置かれたいくつかのアルミケースを眺めていた。




「…ユノ。」
先に口を開いたのはジノだ。
「こんな大金、…現金で届けられた意味を俺には教えてくれてもいいだろう?」
ゆっくりとユンホへ視線を向け、ソファに深く凭れた真剣な表情を見据える。



「友人の紹介で土地売買の仲介をした。その礼金と、…どうやら裏に何かあるらしいな。」
「どういうことだ?」


最近ユンホが積極的に仲介や交渉を請け負ってくるのは知っていた。
なかには用心棒的な仕事もあり、ジノは少なからず心配していたのだ。
組の盃を拒み、メンテナンス会社と輸入会社を軸に合法手段でビル経営はかなり順調といえる利益をあげていた。
それがこのところ法律ぎりぎりの仕事さえ率先して引き受けてるようにジノには思えた。



「詳しくは言えないが、ある土地を契約直前で別の企業へ売りたいから円滑に話が進むよう交渉してくれと頼まれた。特に問題はなかったんだ。契約書を交わしたわけでもなく、より条件の良い買い手へ売った。そんなの常識の範疇だ。」


「で、売買金額と変わらない礼金?」


ジノが睨むようにユンホを見れば、さすがにユンホも予想外だったのか眉根を寄せ自嘲気味に口角をあげた。


「…口止め料込みといったところか。急な話で何の下調べもせず依頼を受けた俺が悪い。」




何がユンホをそこまで。
 

本人に聞いたわけではないが、危ない橋を渡ってまで稼ぐ理由はひとつしかない。



「お前、ビルの抵当を外し店をいくつか俺に譲って、…どうするつもりだ?」



それには答えず立ち上がったユンホは、窓際までの距離をゆっくりと歩き、暮れかけた灰色の空を見上げた。




「親父が俺より若い頃、小さな劇団を買い取って芸能ビジネスに参入したのは知ってるか?興業の一切を取り仕切り、あの頃芸能界といえばヤクザが深く関わり相当な儲けを生んだらしい。」
「…ああ。時代は変わって表向きヤクザと縁を切ったが結局今も太いパイプで繋がってる。よく親父は芸能事務所の社長やタレントの席によばれて出向いてるよ。」


「オジサンが?」
「組と芸能事務所の窓口らしいな。UM芸能、…大手芸能事務所のひとつだ。」


ジノはそんなことを聞きたいんじゃない。
組長が芸能ビジネスを足がかりに合法的な事業を拡大していったのは有名な話なのだ。
そして今は若頭であるシム・ロジンが裏で繋がりお互い利用し利用される立場だった。



だが、シドが先日持ってきた情報というのがその芸能事務所の多大な負債についてであり、経営破綻を目の前に助け船を出したのが東神組だと言うのだ。
決して少ない融資金ではない。 
父親を動かす何かがあるとユンホは睨んでいた。


そして、このご時世にそれほどの資金。
上納金が一時的につり上がったと噂で聞いた。
間違いなく組は今、金を欲してるはず。





「8億、…それにこのビルの権利を親父に渡すつもりだ。」
「っ、ユノ、…!」



「それで完全に縁を切ってもらう。中途半端にここに居たら俺を跡目にと推す勢力がデイル兄を脅かし、内部抗争は組の弱体に繋がる。」



何となく嫌な予感はあったが、実際聞けば驚きでジノは声を失う。
ユンホを推す一派がジノの父親であることはジノの知るところであり、デイルの側近と水面下の睨み合いが続いてることも。
だがジノは如何にユンホが兄デイルを慕っているかよく知っている。
だから内部抗争になど発展しないと楽観視していたのだ。




ユンホが血を分けた肉親や生まれ育った組と縁を切ろうと考えていた、それがジノを驚かせ、その理由がデイルとの跡目争いだけではないのも当然気づいていた。
「お前、…それは本気か。チャンミンを手に入れる為に、そこまでするつもりなのか。」
ジノは理解できなかった。
勿論ユンホのチャンミンへ対する愛情は誰よりも自分が見てきて知ってるつもりだ。
だが、すべてを捨ててまで。
他に方法はないのかとジノは焦った。




窓際に立つユンホがくるっと体の向きを変えジノを正面に見つめる。
「ジノ、…お前には悪いことをした。組に入ってお前を引き上げてやることは俺にはもう出来ない。」
「っ、そんなことは言ってない!」
ユンホが組長の息子だからジノはユンホについてきたわけじゃない。
ゆくゆくは組の大幹部になるだろうユンホを打算的に慕っていたわけじゃない。
ジノはユンホが好きで、どんな関係より先にユンホはジノにとって親友なのだ。

 

 
それが少しでも通じたのか、ユンホは口端をあげ小さく笑った。
それでも決心は変わらないとその眸は静かに強い光を湛えている。



「チャンミナが、…」


ポツリとユンホの口から出た名前。
ジノはなぜか遥か昔、組長が幼いチャンミンに初めて会った日、チャンミンを守ろうと自分にさえ威嚇したユンホの背中を思い出していた。



「チャンミナ、弁護士を目指してるんだ。すごく一生懸命勉強していて、俺はそれを応援してやりたい。」
「……。」




「ジノ、…そんな俺がヤクザでは、駄目だろう?」



「ユノ、…」







あの日必死で守ろうとした小さな存在が、ユンホをここまで変えたのかと。
2人を長い間見てきた自分でさえ大きな衝撃を受け、なんと言ってやればいいのか分からず押し黙るしかないジノだった。














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