HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~16

































ユンホはアクアリウムバーのカウンター席でひとり琥珀色のグラスを傾けていた。
シドから会って話したいことがあると連絡が入り、ユンホがここを指定した。
今日は日曜日で、週に一度チャンミンがバイトに入る日なのだ。



カウンター席からは厨房にいるチャンミンの姿は見えない。
代わりにチラチラとあちこちから視線が集中しているのが分かる。
それをユンホは軽くいなす。
見られるのは慣れっこだったし、最近では絶対に誘いにのらないと知れ渡ったのかあまり声を掛けられることもないのだ。



「っ、ユノさん!」
走ってきたのか息を荒くし飛び込むようにシドがやって来た。
「お前、勉強はいいのか?受験目前だろう。」
「それどころじゃないんですって!」
ハァハァとなかなか整わない息づかいで「ジントニックをくれ!」とバーテンダーへ言ったあと、まだ勉強があったと急いでコーラに変更している。



高3を三度目にしてやっと出席日数が足り、このまま附属の大学へあがれば楽なのにシドはユンホの大学へ外部受験をすると言う。
ハイルの推薦とは違い、外部受験は難関だ。
それでも元々賢いのか、猛勉強のすえメキメキと実力を上げ模試の結果を残すようになっていた。



だから年末年始はほとんど連絡を取ることがなく、ユンホはこのままシドとの付き合いが無くなればいいと思っていた。
自分を崇拝する男はどう転ぼうが政治家の息子で、ヤクザの盃を受けた自分とはもう世界が違うのだ。





「ユノさん、…すげぇマズイことになってますよ。2カ月ほど前に土地売買の仲介したでしょ。ほとんど決まっていた売却先から結構強引に契約を奪ったとか。」
「…ああ、シド、お前どうしてそれを、」
確かに多少強引な手口で契約をもぎ取る形になったが法に触れることはしていない、それが口止め料とも取れる正規の礼金とは別に多額の現金を渡され、何かあると密かに調査していた件だ。


「資材置き場と太陽光設備を名目に広大な市街化調整区域を安く手に入れてますよね。」
「ああ、まだ全く手つかずで眠った土地になってるけどな。」


「そりゃそうですよ。初めから目的が違いますもん。」
「…どういうことだ?」


その仕事についてユンホはシドへ話したことはない。
それなのにどこで調べてきたのか内情に通じており、ユンホがいくら調べても出てこなかった裏事情と黒幕をシドは事もなく口にする。


ユンホは軽くめまいを感じ、口止めだけで済めばいいが。と思う。
ただのだだっ広い荒れ地が、遺跡発掘のため遅れていた都市開発地域の代替地として候補にあがっていたとは。
そして買い主である企業を裏で操っていた政治家の存在。
「…違法だ。」
ユンホがポツリと言い、シドも神妙な顔つきで頷く。
「かなりの利権が動くと予想されます。でもコレはまだ極秘事項ですからね。売買契約じたいに問題はないし、泥を被りたくなければ黙ってるのが賢いと思います。」


それであの口止め料かとユンホは納得だった。
べつに正義を振りかざして政治家と企業の癒着を暴くつもりはない。
ただ、心配事があった。
「もともと買う予定だった企業が知るとやっかいだな。」
「ですよね。10年計画と言えど莫大な利益を生んだでしょうから。そこはもう少し詳しく調べてみます。」
シドはユンホの知り得ていない情報を渡せたことに満足そうな笑みを漏らす。
そんなシドを見て、まさかな、…と疑いの目を向けつつユンホが情報の入手先を聞けば、どうやら悪い予感は当たったらしい。
「…親父の書斎。」と苦笑いのシドをユンホは呆れたように睨んだ。
盗聴器を使うのは止めろと何度言っても聞かない、父親と言えど政治家の書斎を盗聴するとはバレたらただでは済まないのに。
しかも名前が出た政治家はシドの父親と派閥で繋がっており、もしかしたら父親の指示で動いてる可能性だってある。
絶対に漏れたくない極秘事項の筈だ。





「ユノさん、若頭補佐だってね。俺、頑張るからさ、ユノさんの右腕にしてよ。」
そうボソッと言うシドへ、ユンホは「馬鹿が、」とだけ呟く。
シドを極道の世界に入れるつもりなどユンホにはまったく無いのだから。









「…ユノ?」


そこへ遠慮がちに掛けられた声でユンホとシドは同時に振り向く。
チャンミンがバイトを終えたらしい、私服に着替え帰るばかりで立っていた。


「あの、大切な話だったら僕、ひとりで帰れるから。ってゆうか、1階の出入口まで行くだけだからさ、…シドさん、お邪魔しました。じゃ、じゃあ!」
早口で一気に喋り背を向けたチャンミンを黙って見過ごすユンホではない。
「っ、ぅわ!」
後ろ手に腕をつかまれ仰け反りそうになるチャンミンをユンホは胸で受けとめる。
「シド。ここは飯も旨いんだ。戻ってくるまで何でも好きなものを食ってな。」
そう言いながらチャンミンと並び歩きだす。
ほんの少しの距離と言えどチャンミンを車まで送り届けるのは自分だと、そう約束したじゃないかとユンホは暗に言っていて、チャンミンだって分かってるからシドへ軽く会釈してユンホのあとをついていく。



そんな2人の後ろ姿を眺めながら、シドはユンホが急にビルの経営を任せ組の盃を受けたことやユンホの頬の傷痕について考えを巡らせていた。









「っ、…ここ、…」
チラチラ周りを気にするチャンミンの腕をひき、ユンホは以前チャンミンがホストクラブの店長につかまっていた業者用の搬入口へ引っ張りこんだ。
こんな夜中に搬入などないからシャッターは重く閉まっていて、薄暗い電球だけがぼんやりと影をつくる。


「っっ、…ん!///」
ぐいぐい引っ張られた腕が突然離され、勢いのままよろけたところをユンホの両手で顎を引かれ直立してしまう。
伸び盛りのチャンミンは最近さらに背が伸びた。
ほんの少し顔を上げればすぐそこにユンホの顔があって、近すぎる距離はあっという間にゼロになる。


「ユ、…ユノ、…ゃ、見られ、っ、」
「誰も見ないよ。」


チュッと数回触れて、今度はゆっくりと深く。
エナが来てからほとんどマトモにキスさえしていない。
同じ屋根の下にエナがいるのにコソコソするのは嫌だとチャンミンが言うから、ユンホはコソコソするのも楽しいじゃないかと思うけどそれは聞き遂げてもらえない。


「カメラ、…っ、監視カメラにうつっちゃう、」
「誰のビルだと思ってる?監視カメラの位置は把握してるさ。」


背にした柱の冷たさが熱くなる身体に丁度いい。
ぐいぐいユンホが押してくるからチャンミンは身動き出来ず浮いた両腕をユンホの腰に回すしかない。
扉を隔てた向こうには酔っぱらい達の賑やかな喧騒があるのだろう。
迎えの車だってきっと待ってる。
でもそれでも、一度触れてしまった温もりをチャンミンは簡単に離すことは出来なかった。
腰へ回した腕に力をこめれば、ユンホの腕も深くチャンミンを求め隙間なく抱きしめる。


ふと視線を合わせ、どちらともなく鼻先を擦り合わせた。
くん、…と匂いを嗅いで愛おしさに胸がしめつけられる。



「…、ユノ?」
「ん?」



最近のユンホの噂はチャンミンの耳にも入っている。目の前のユンホは今までと変わらないのにユンホを取り巻く状況は一変していて、それをチャンミンに感じさせないよう敢えてユンホは何も話さなかった。



「無理、…しないで。」
「してないよ。…お前は気にしなくていい。」


ふっと口角を上げたユンホの唇へチャンミンは自分の唇を押し当てる。
チュッと触れて形のいい上唇を吸った。


「もう子供じゃないんだから、僕にもちゃんと話して聞かせて、…」
「…わかってる。でもお前がやらなきゃいけないのは勉強だろ?心配しなくていい、…来月、お前が親父の元へ行くことはないから。」


お返しのようにユンホが口づけ、スルッと侵入した舌がチャンミンをあやすように口内を這いチャンミンの舌を絡めとる。
徐々に深くなる口づけはなかなか止まず、それはチャンミンが来ないのを心配して運転手がユンホへ電話を掛けてくるまで続いた。










愛人としてガンソクのもとへ行かねばならなくなる心配ではない。
自分の幼さが、弱さが、ユンホへ無理をさせてやしないか。
ユンホへ苦しい思いをさせるならガンソクに抱かれた方がマシだと思うのに、どうしても身体はそれを拒んでしまう。




「愛してる。チャンミナ。」
「僕も、…愛してる。」




エナがいて、ハイルがいて。
昔に戻ったような賑やかで楽しい生活ではあったけど、チャンミンは何日かに一度酷い吐き気に襲われる。
最初に吐いた日から何度トイレにこもったか。
もしかしたらエナに気づかれているかもしれない。



そんな弱さがチャンミンは嫌で堪らなくて、また喉元をこみ上げる気持ち悪さにぐっと息を詰めるのだ。
















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