HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~17

































 

その日ユンホは泣きそうに切羽詰まったチャンミンからの電話を受け、何事かと手に汗を握るほど焦ったのだが。




「……サン太が、っ、…」
「え?サン太?」


どうやら錦鯉のサン太の元気がないと言うのだ。
この時期、冬眠のようにほぼ動かない鯉がサン太だけ水面でふらふらしているらしい。
業者へ連絡して専門家を呼ぶからとチャンミンを宥め、それでも心配なのかおろおろするチャンミンへ今夜は早く帰るとユンホは約束した。




ジノ、とユンホは近くにいる男へ声を掛ける。
「今夜だけど、」
今夜はメンテナンス会社を任せている社長と副社長、ジノを含め報告会と打ち合わせが入っていた。
「電話、…聞こえたよ。チャンミンだろ?で、なに?サン太って。犬でも飼ったのか?」
お前が子供の頃からいる錦鯉の名前だよとは言えずユンホは黙っている。
そんなユンホへ呆れたように苦笑いを返すジノはどんな状況でもずっと変わらず、ユンホはそれが有り難かった。







左頬のガーゼが痛々しいままユンホが出社した翌朝、ジノも同じ場所に湿布を貼って現れた。
殴られたのか酷く腫れた頬。
そこをじっと見つめたまま何も言えないでいるユンホへジノはニカッと笑い、「…俺もお前の行く場所へ連れていけよ。」と言った。


お互い細かいことは何も話さなかったが、ジノを殴ったのがロジンで、父親から事情を聞かされたのだとわかった。 
おそらく、近くにいながらユンホとチャンミンの関係を見逃していたことを責められたのだろう。
一度は組と縁を切ると決めジノとも別れるつもりのユンホだったが、それがジノへ責任を取らせることになるとは考えも及ばず自分の甘さを恥じた。
そんなユンホへジノは事も無げに言い放つ。
「チャンミンは俺の義弟だ。親友と義弟の幸せを願って何が悪い!」
「…ジノ、」
ユンホはジノへ譲るつもりのメンテナンス会社を社員へ任せ、ジノと共に盃を受けると決めた。
組の頂点へ昇り詰めたとき、傍らに置くのはこの男だとユンホは決めたのだ。




 




「今夜の打ち合わせは俺ひとりで充分だからさ、たまには早く帰ってやれよ。」
シッシと手で追い払うようにジノが言う。
「まあ最近ハイルが入り浸ってるらしいからお前も気が気じゃないだろう?チャンミンもチョン兄弟にモテまくって困っちゃうな。」
そしてエナから聞かされてるのだろう、多少の気を使いつつユンホをからかうのも忘れない。
ちっ、と舌打ちをしながらユンホは養鯉場へ電話をし、早々に仕事を片付ける。
めずらしく気弱な声色のチャンミンをはやく抱きしめてやりたかった。













「ユノ、お帰りなさい!」
「ただいま、…サン太は?」


それを言う前にとチャンミンはまず鼻先をユンホへ近づけユンホも角度をつけ近づく。
背後から見たらただキスをしてるようにしか見えないと思いながらエナは2人を眺めていた。
そして、「さっそく業者さんが来てサン太だけ別の水槽へ入れていきましたよ。池の水を調べるそうです。」となかなかサン太の話に辿り着かないから代わりに言ってやった。


「あ~、エナさん!」
自分で言いたかったのにと面白くなさそうなチャンミンだが、エナは知らんぷりしてユンホの上着を受け取ろうと近寄った。
それを察知したのかチャンミンが慌ててユンホの上着に手をかけ、イテッと聞こえたユンホの声は無視して上着を剥ぎ取る。
チャンミンはサン太が心配だけど、ついサン太の様子に気が動転してユンホへ電話してしまった自分を褒めたい気分だった。
ずっと忙しく帰りの遅いユンホがめずらしく早い時間に帰ってくれた。
水槽に移って少し元気が出たサン太へ心の中で謝りながらチャンミンのわくわくが止まらない。
浮かれてるからついユンホの世話を焼きたくなる。
「チャンミン。私が片付けるからいいのよ。」
そう言ってくるエナへ、いいの、いいの~!とご機嫌でユンホのスーツを片付けるチャンミンだった。




何度かサン太の様子を見に行き、思ったよりも元気そうだと安心する。
そして浮かれた気分のまま、「久しぶりに3人でカルタ取りしない?」と提案してしまった。
居間でパソコンを開いていたユンホは黙ったまま何も言わない。
チャンミンのきらきらと強請る眸に先に負けたのはエナで。
「っ、…仕方ないわねぇ。ほら、ユンホ坊っちゃんもたまには子守りしてくださいよ!」
そんなふうに言われたらユンホも動かないわけにはいかず、“子守り”って言い方は不満だけどこの際何でもいいや、と思うチャンミンによって何年ぶりか3人でカルタ取りをすることになった。





「最初チャンミンったら大慌てで走ってきて、サン太がぁ~!って何の事かと思いましたよ。」
ブツブツ言いながらエナが取り札を並べる。
ジャンケンで読み手になったのだ。
「もう、エナさん、しつこい。今朝まで普通だったのに帰ったらフラフラ泳いでてびっくりしたんだよ。」
「だって丹頂の鯉がいつの間にサン太なんて名前になってるんだか。しかもユンホ坊っちゃんとは普通に通じてるし。」
チャンミンは鯉の名前をユンホにしか言ってなかった。
ユンホの鯉を勝手に名付け呼んではいけないと幼心に思っていたし、でもユンホがまったく怒らないから今度は2人だけの秘密のように内緒にしていたのだ。



「いいんだよ。サン太はサン太だ。」
にっこりと笑い、ユンホは広げられた取り札へ視線を移す。
チャンミンも負けじと記憶力を駆使した。
今まで2人のカルタ取りには読み手がいない。
伏せて置いた読み札を一枚ずつめくって下の句を探すのだ。
これまでカルタ取りの勝率はほぼ互角で、おそらくチャンミンが幼い頃はユンホが手を抜いてくれたのだろう。
それが現役高校生ともなれば30近いユンホに負けるわけにはいかない。





「ユノ、負けないよ。」
ぎゅっと唇を噛んだチャンミンへ、ユンホがくくっと笑う。
「あ、あ~、なんだよっ、ユノ!///」
「ああチャンミン!アンタ、ユンホ坊っちゃんへなんて口のきき方するの!」
焦ったのはエナだが、そんなのはしょっちゅうあるのでユンホもチャンミンも気にしない。
「いいぞ、チャンミナが勝ったら何でも言うこと聞いてやろう。」
「…え?」
「その代わり、お前が負けたら俺の言うことを聞けよ?」
「ええっ?」
「エナさんが証人な。」
「ええーーっ!」
さっさと決めてニヤニヤしっぱなしのユンホをチャンミンは上目遣いで睨むけど、
「馬鹿っ、…可愛いだけだ、ソレ。」
そんなこと言われたらチャンミンには為すすべもない。




読み札を手に持ったまま、そんな2人をエナは呆気に取られたように眺めていた。
1年で一番寒い季節、エアコンが効いてるとはいえ、──なんだか暑くてたまらない、と思いながら。










そして勝負も終盤に差し掛かってきた。
チャンミンは少し前に古典の授業で百人一首を暗記したばかり、さすがのユンホも苦戦を強いられる。
しかし札を見つけるのは早いが、瞬発力ではユンホに敵わない。
同時に見つけて本気のユンホの素早さに勝てるわけないのだ。


結局、最後の1枚を残し五分と五分の勝負になった。



残りの1枚をユンホとチャンミンはじっと見つめる。
チャンミンはやや伏し目がちに。



「チャンミン、…どうしたの?これが最後の札よ。オタオタしてる場合じゃないでしょ!」
エナに渇を入れられ睨むように札を見るけどやっぱり恥ずかしい。
チャンミンの視界の隅に自分を見つめるユンホが映っていて、チャンミンは目を合わせないよう必死だった。



「ちょっとハンデをあげる。ユンホ坊っちゃんは腕を後ろに組んで。はい、いくわよ~」
落ち着かないチャンミンを気の毒に思ったエナによりハンデを与えられ、その瞬間、チャンミンはついユンホを見てしまった。






優しげに口角をあげ、愛おしそうに目を細めるユンホを。


そして、──「好きなんだ、この句。」とユンホが囁いたと同時にエナが読みあげる。






「“しのぶれど”、…」



パァンと乾いた音がして、その札は当然のようにユンホの手の内にあった。




「──“物や思ふと 人の問ふまで”」


ユンホは下の句を読み上げニッコリ笑い、
「好きなんだ、この句。」ともう一度言った。




チャンミンは悔しそうにしながらそれでも耳が真っ赤で、この句に何か意味があるのかとエナはワケが分からずキョロキョロしてしまう。



「…僕だって、…好きだ。」
伏し目がちにチャンミンがポツリとつぶやいた時、エナが心配になるほどチャンミンは真っ赤だった。
そんなチャンミンを分かってるようにユンホは優しく微笑んだままで、
「ユンホ坊っちゃん、…ちょっともう、勘弁してやってくださいよ、…///」
思わずそう言ってしまうほど、齢50をとうに過ぎ初めてというほどポッポと赤面してしまうエナだった。
















にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト