HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~19




































ユンホとチャンミンはエナが用意した遅めの夕食を摂っていた。
静かな食卓に食器の音だけが響く。
チャンミンは黙々と手と口を動かし心ここにあらずといった様子で、ユンホもそんなチャンミンを目の端で気にしつつそっとしてやる。




あれからすぐサン太は逝ってしまった。 
チャンミンのショックは大きく、ぷかりと浮いたサン太をじっと見つめたまま無意識にユンホの手を握った。
ユンホはただ静かに隣に居て、チャンミンが顔をあげるのを待ち2人で桜の木の根元にサン太を埋めてやったのだ。




「チャンミン。今夜は寂しいでしょ、一緒に寝てあげようか?」
真面目な顔してそんなことを言うエナにとってチャンミンはまだまだ子供で、
「…それとも、ユンホ坊っちゃんと寝る?」
ついそう聞いてしまったのも他意はない。
ひとりの部屋でチャンミンが泣くのではと、純粋に心配しただけなのだ。




エナは毎日義務づけられた報告を正直にしてるつもりで、本当は少しだけごまかしていた。
お互い忙しくてすれ違いの生活を送っているというのも本当だし、たまに会えばお互いの身体を気遣い本当の兄弟よりも思いやってると思うのも嘘じゃない。


ただ、たまにそれが度を超してるかな?と思うエナだが、そんなことを組長へ言えるはずがない。
長い間共にした生活が終わるのも目前で、2人とも感傷的になっているのだと思っていた。
いや、思おうとしていたのだ。
それが口の中のものを咀嚼したあと悩んでるような素振りで、それでも「…ユノと、」と答えるチャンミンと、伏し目がちに平静をよそおってはいるが口元の緩みは隠せないユンホを、いつの間にかエナは離れ離れにしたくないと思うようになっていた。





「チャンミナ、課題は?」
「ん、まだ残ってる。」
「そっか。じゃあ急いでやりな。俺も仕事するから。」
「うん。」

 
エナがほんの少しきっかけを作っただけで勝手に進んでいく話に呆れながら、チャンミンが幼い頃から何かある度にユンホの寝室へもぐりこんだのを思いだし、エナはこっそりと笑った。






チャンミンが部屋に戻ったあと、ユンホはスマホを取りだしズラ~っと並んだ着信履歴にため息をつく。
それにユンホはひとつひとつ丁寧に折り返し最後に残った番号にさらに深いため息をついた。
気が乗らないが仕方ない、いくつか入っていた着信番号へ掛ければ出た途端勢いよくがなり立てられユンホは思わずスマホを離してしまう。


ひと通り文句を言い終わった頃合いだろうと再びスマホを手に取り、「今後気をつけます、若頭。」と口先だけで謝罪した。
「ユンホさん!何を気をつけるのか、貴方は分かってらっしゃるんですか?」 
なかなか終わらないお小言にユンホはうんざりしながら、今からここへ来られても困るので素直に頷く。



「貴方はジノと2人で行動してるつもりでしょうが、絶えず2台の車が警護についてます。それを分かっててあのような行動を取られたら何かあるんじゃないかと慌てます。実際急に車から飛び出した貴方を追うのにどれ程大変だったか。それがまさか、…」
「…まさか?」



「ただのホームシックだったとは、」
「っ、…」


スマホの向こう側の表情が手に取るように分かる。
ロジンはすぐにこういう言い方をするからユンホは嫌なのだ。
さすがジノの父親だと思うがジノのような好意は感じられず、何を考えているのか分からない。
組の幹部としての自覚を持てと鬱陶しいほど言ってくるロジンだが、それを言うなら若頭であるロジンがユンホに対してへりくだった話し方をする方が余程おかしいとユンホは思う。
だがロジンにとってユンホは自分の弟分ではなく、次期組長なのだ。


それならば、とユンホは思い、
「来週の組長との食事会はやめられませんか。」と聞いた。
行かせたくない。
チャンミンだって嫌に決まっている。
もし何かあったらと思うとユンホはおかしくなりそうだった。
一瞬間を置いたあと、ロジンの鼻にぬけるような笑いが耳に届く。


「…おかしいですね。チャンミンは行くと言ってますよ。和懐石だと言ったら楽しみですと笑ってましたが?貴方よりひとまわり下のチャンミンの方が余程大人だ。」
「…っ、嘘だ、」
「嘘なもんですか。チャンミンがこれまでなに不自由なく暮らしてこれたのは組長あってのものです。その義理を欠くような真似をチャンミンへさせるおつもりですか?」
言葉を返せないユンホへ、ご自分で確かめてくださいとまたロジンは鼻で笑い通話を切った。



ユンホは手のなかで静かになったスマホをぎゅうっと握る。
汗ばんだ手のひらが気持ち悪い。
一瞬父親に組み敷かれるチャンミンの姿が浮かんでくらりと目眩がした。







そのままユンホはチャンミンの部屋へ向かう。
食事会のことなど何も聞いちゃいない、チャンミンの様子だってサン太のことでいっぱいで他に変わったことなどなかったのに。
知らず廊下を踏みしめる足に力がこもる。
チャンミンの部屋は真っ暗だった。


「っ、チャンミナ!」


寝室の襖を乱暴に開ければユンホの視線はすぐに部屋の中央でキョトンとしたチャンミンに注がれ、強張ったユンホの表情とは真逆の恥ずかしいところを見られたような照れくさそうなチャンミンがいた。


「…お前、」
「あの、…だってエナさんってばすっごい離して布団を敷いてあるんだ。少しぐらい近づけてもいいよね。」
そう言いながら両手で引っ張った布団はぴったりと寄り添い、それは2人のいつもの距離で。
あたふたしながら、それでもくっつけた布団をポンポンと整えるチャンミンが可愛い。
「俺は一緒の布団でもいい。」
「///、エナさんの部屋が隣なのに、…恥ずかしいよ。」
今さらじゃないかとユンホは思う。
そしてこんなに素直なチャンミンがどうして食事会のことは内緒にしていたのだろうとも思う。




布団の真ん中にペタリと座ったチャンミンのもとへユンホは大股で近づく。
気づけばチャンミンの視界は天井で、和風照明を背にゆらりと揺れるユンホの影がチャンミンの両肩を押さえ覆っていた。
「…ユノ?」
急に恐い顔になったユンホをどうして怒らせたのかチャンミンは分からずヘラっと笑う。
サン太が逝ってしまった今夜、ユンホと揉めるのは嫌だった。
忙しいユンホとほとんど会えない日が続いてもチャンミンは何てことないように普段通りに学校へ行き、帰ってから庭掃除をして散歩中のデイルと会話をした。
無邪気に能天気さを装っていてもチャンミンに不安がないわけじゃない。
自分のいないところで進み、変わっていく状況。
少しずつではあるが、確実にヤクザの顔になっていくユンホは自分でそのことに気づいてるのだろうか。
その先に自分はいるのかとチャンミンは不安だった。
自分も一緒に連れていってほしいと言いたいのに言えない、そんなもどかしい日々が続いていた。



だからガンソクに会いたかった。
チャンミンはガンソクと会い、自らの状況を把握し、それを咀嚼して覚悟を決めたいのだ。






「チャンミナ、…お前、組長、…親父と会うもりなのか?」


「うん。…僕は旦那さまに会わなきゃいけない、…』




すべてはユンホと共に歩む未来のために。


















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