HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~23



































「っ、ひどい兄さま、…やっぱりふざけてる!」


チャンミンがついそう言ってしまうほどおどけた様子のデイルをセヨンが嗜めようとしたが、それをデイルは片手を翳して制した。


「ふざけてないよ、チャンミン。俺はね、弟が可愛い。可愛いからユンホの一番の望みを叶えてやりたかったけど、それをチャンミンが考えられないと言うなら俺の提案を聞いてくれる?」
「一番の望みって、…でもどうして兄さまが僕と、その、…ユノのことを知ってるの?」
息子と言えどガンソクやヨジンがデイルへ話したとは考えにくい。
それにしては最初から知っていたような準備のよさだとチャンミンは思っていた。




「ん、事前に聞いていたからね。チャンミンを父には渡せない、家族の縁を切ってもいいくらいの勢いだった。でも俺はこうなることが何となく見えてたから俺なりに考えた。」
「……、」


「チャンミン。ユンホの望みはチャンミンを父の愛人として渡したくないということ。それと、懸命に目標へ向かって頑張ってるチャンミンを堅気で立派な弁護士にしてやりたいってことなんだ。」


デイルがテーブルへ滑らすように置いたのは司法試験の合格証だった。
もちろんデイルの名前が記載されており、チャンミンの目標でもある。

 

「俺は身体が弱く極道には向かない。元ヤクザの弁護士ってのもいいんじゃないかと最近考えるようになってね。もちろんすぐに弁護士になれるわけじゃない。司法修習へ行き考試に合格してやっと弁護士会に登録ができる。」
「兄さま、弁護士になるの?ヤクザよりよほどそちらの方が兄さまには向いてると思う。」
苦々しい表情のセヨンを横目にチャンミンは顔を輝かせる。
デイルに野蛮な仕事は似合わないと常々思っていたからだ。



デイルは身を乗り出すように腕を伸ばし、そっとチャンミンの頭を撫でた。
とても優しく、親愛に満ちた指先がチャンミンの髪を梳く。



「…ユンホは、本人がどう思おうが周りがほっとかない人を惹き付ける力がある。立派に組を背負っていくだろう。だが今はユンホを敵視する組や組内でよく思わない人間もいて正念場なんだよ。」
「…兄さま?」
「恨みを持ったヤクザはまず相手の情婦に手をだすものなんだ。ユンホとの関係が周囲にバレたらチャンミンが危険なのはわかるだろ?ユンホだってそれは望まない。」



「……何が、…言いたいんですか?」



デイルの指先がチャンミンの髪を絡めとったあとゆっくりと頬へおりて、そのぬくもりを感じながらチャンミンは身動きができずにいた。
デイルの言いたいことは伝わる。
だがそれはチャンミンの思い描く未来ではなく、また自分の甘さを知らされるのかとどこまでも沈んでいきそうな気持ちを奮い立たせるのに必死で動けなかったのだ。





「俺は個人でもかなりの利益を父へもたらしているからね、それを今後も続ける約束でチャンミンを貰い受けることは可能だと踏んでるんだ。」
「え、…それ、どういう、…」



「弁護士会に登録してすぐ事務所を構える資金ならある。──どうかな?一緒にやっていかないか?」






デイルの言葉は耳に入ってくるのに、その意味を理解できない。
チャンミンの頭は完全に拒否反応を示し真っ白になっていた。
「だって、…ユノ、は?」
こんな兄がいればと尊敬し欲していた人へ、チャンミンは震えるような声で囁く。
「ユンホと別れろとは言わない。ただユンホの地位が安定するまで会うのは控えた方がいいだろう。これはチャンミンの為であり、ユンホの為でもあるんだ。」




チャンミンは痛いほど唇を噛んだ。
微かに血の味がする。
そして血の匂い、…あの日、ユンホの頬に刻まれた赤黒く変色した傷痕。


くらりと目眩がして、
でも、
どうしても譲れないものがある、


チャンミンの選択は一瞬だった。




「兄さま。お気持ちは嬉しいけど、…でも、」
「待って、チャンミン。」


言いかけた言葉を遮られ、それ以上チャンミンは話させてもらえない。
今すぐ返事はいらない。そんな簡単に出せる問題じゃないはずだとデイルは真剣は表情で言った。








チャンミンの帰り際玄関まで送ってくれたのはセヨンで、セヨンもまた不機嫌を隠せない様子からデイルの話が初耳だったのかもしれないとチャンミンは思う。


「突然お呼び立てして申し訳ありませんでした。出来ればこの事はユンホさんへ内緒にしていただけませんか。あの方も大変な時期ですし、あまり煩わせない方が宜しいかと、…」


「……わかってます、…」


もちろんチャンミンはこの事をユンホへ言うつもりなどなかった。
これはチャンミン自身の問題なのだ。
だからチャンミンの身に危険が迫ろうとユンホがヤクザであろうがなかろうが関係ない、チャンミンが求めるのは唯一、──ユンホだけ。





「セヨンさん。…どんなに明るく正当な未来でも、そしてどんなに優しく素晴らしい人の後ろだてであっても、…僕の気持ちは変わりません。」


「チャンミンさん?」





「ユノが、僕の全てなんです。」




幼さの残る純朴な高校生は、時に愛くるしい姿を見せ、そして胸がすくような潔さを見せる。
セヨンはチャンミンを口説くのは容易いと思っていた、そして今、それは間違いだったと悟っていた。
盲目とは少し違う。
長い年月を経て積み重ねた想いが年齢のわりにチャンミンを大人びて見せ、言い切った口調も意固地というより芯の通った重みがあった。




「でもユノを敵視する組の存在やユノが兄さまへ話していた事、…知ってよかったです。もしかしたらユノも兄さまのように僕を危険から遠ざけようとするかもしれない。弁護士を目指す僕と道を違えようとするかもしれない。」
「…デイルさんは、それを言ってるのでしょう。最悪の結果になってから別れるより、今は離れて時期を見る方が賢明だとね。私としては一風変わったデイルさんの組長を推したいところですが。」




チャンミンは考えていた。
ユンホへ危険が及んだりユンホを犠牲にするのなら進んで自らを差し出すつもりだったが、自分の為にユンホの元を去ることはないとどうしたらユンホへ伝わるのだろう。


覚悟してるつもりで、でも気持ちが付いていかず吐き気に襲われてる場合じゃない。




───強く、…強くなりたい。


組長の愛人になると選択したあの日から、チャンミンはもうずっとユンホだけを選んできたのだから。




「セヨンさん、ありがとうございました。僕、強くなります。ユノが迷わないよう、…強い心を持ちます。そしたらきっと兄さまも離れろなんて言いませんよね。」


「──え、…?」


にっこりと笑ったチャンミンをセヨンは目を丸くして眺めた。
デイルの心配もセヨンの忠告もまるで通じていない。



それなのに清々しいくらいの笑顔を向けられ、知らず緩んでしまう口元をセヨンはごまかすように咳払いするしかなかった。



















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