HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~29


































ユンホは用意されていたハイヤーへ女を乗せ、隣に自分も乗り込む。
「家まで送る。どこへ向かえばいい?」
あっさりと言うユンホへ女は驚きの表情を見せた。
まさかこのまま帰されるとは思っていなかったから焦ったようにユンホの腕を引く。
腕を絡め体を密着するがユンホの反応がまるでない。
「まさか本当に帰すつもり?アフター付きの契約なのよ?このまま何もせず帰れるわけないじゃない。」
会場を離れ若いユンホと2人きりという気安さからか多少くだけた口調の女は必死だった。




だてに高級クラブでナンバーワンを張ってるわけではない、本来なら出張は自分の仕事ではないけれど今夜はどうしても行きたいとクラブのママへお願いした。
理由は簡単。
顧客名簿のなかにチョンユンホという名前を見つけた、…ただ、それだけだった。


実際目の前にしてみれば噂ほど強烈な印象はなく、落ち着いてむしろ爽やかでさえあった。
そして噂通りのいい男。
この男に今夜は抱かれるのだと期待していたのに。


「俺は遊びで女は抱かない。例え付き合いであってもだ。報告するならすればいい。」
つれない男だと女は思う。
それなのに軽くよこした視線の色気はどうだろう。
ナンバーワンのプライドとか仕事をまっとうできない責任感だとか、そんなことはどうでもいい。
女はチョンユンホという男にどうしても抱かれたい、男をその気にさせる技にかけてはプロなのだ。



「私は自分を安売りするような女じゃありません。今夜もユンホさん、貴方だから無理言ってメンバーに入ったの。貴方が遊びでは抱かないと言うのなら、…もちろん、諦めます。」
言いながら女はユンホの太股へ指を滑らす。
綺麗にネイルの施された指が撫でるように、そのうち奥へ奥へと焦らしながら中心へ近づいていった。
ピクリと反応したユンホの首筋へ顔を寄せ甘く息を吐く。
むんと香水が濃くなった気がするのは女の欲情によるものなのか。



女は誘うように微笑む。
その笑みにこれまで堕ちなかった男などいなかったのに、


「悪いが、…勃たねぇよ。」


すげなく手を振り払われ女は呆気に取られた。
格好つけてる様子でもなく、本当に興味がないといったユンホへ驚いてしまう。


「貴方、呆れるくらい失礼な人ね。そう言えば貴方のお父様の東神会組長は男性しか愛せない方だとか。もしかして、貴方もそうなの?」
そうとしか思えない。
そうでなければ自分を拒否する男などいるはずがないと女は思った。
ユンホは緩やかに口角をあげ小さく首を振る。
「違う、…本当に好きなヤツがいるから他に興味がないし体も反応しないんだ。でもアンタの都合が悪いというならホテルにでも入ったふりして俺は歩いて帰ってもいい。俺が抱かないとアンタは叱られるのか?」
ユンホは色気たっぷりに誘ってきたと思ったらズケズケとものを言う女に好感を持ち、いつもは使わない気を使ってみた。
「あら、冷淡な人をイメージしていたけど、とんだお人好しなのね。」
そのうちクスクス笑いだした女からはすっかり欲情の匂いは消え失せ、ユンホはこの女がその容姿だけじゃなくサバサバした性格による人気もあるのだと思った。



「ユンホさんに愛される人が羨ましいわ。貴方にもその人を想う刺青があるのかしら?」
突然なぜ刺青かと思うが東神会では一応刺青を禁止しているし、ユンホにも刺青など入っていない。
「いや、…でもどうして?」
「実際に見た人を知らないけど、東神会組長の背中にはそれは美しい天女がいるという噂よ。それも篠笛を奏でる天女。親子なら見たことあるでしょ?」
「…いや、…」
見るどころか、ユンホにとってガンソクの刺青さえ初耳だった。
どれほど希薄な親子関係なんだろうとユンホは呆れるが、実際ほとんど生活を共にしていないのだから仕方ない。
それよりも篠笛を奏でる天女とは、何か意味があるのだろうか。
「…天女、…」
「そう。…でも男色の組長と天女なんて繋がらないからただの噂かもね。」
そう言って女が笑うのをユンホは真剣な表情で聞いていた。














「……っ、あ、…きれい、…」


思わずうっとりとため息のような声をチャンミンは漏らした。



月を背に天女が軽やかに舞っている。
今にもそこから飛び出してきそうな躍動感。
篠笛というのだろうか横笛を吹く表情は優しく、流れるような美しい音色が聴こえてきそうだ。



「普段は誰にも見せない。服を脱がずにセックスすることが多いものでね。だが気が変わった、チャンミンは俺のすべてで抱いてやろう。どうだ?天女は気に入ってくれたか?」
ネクタイを抜きシャツを脱いだガンソクがゆっくりと背を向けチャンミンに晒した背中。
肩から腰まで一面に描かれた見事なまでに美しい刺青をチャンミンは生まれて初めて見た。
ヤクザといってもユンホやジノは刺青を背負ってないし、組では禁止されてると聞いていた。



「…あ、あの、…触っても?」
目が覚めるような色彩とは裏腹に天女の顔はどこまでも柔らかく優しい。
篠笛を吹く口元は慈悲深い微笑みをたたえ、衝撃の強さに動けずにいるチャンミンを魅了した。
「ふふ、いいだろう。これに触るのは彫り師を除いてお前が初めてだ。」
チャンミンの手が吸い寄せられるようにガンソクの背中へ伸びる。
美しい天女をもっとよく見たい。
どうしようもない衝動がチャンミンを動かしているようだった。


「ああ、…そう言えばユンホの母親も一度触れたことがあるな。チャンミンは2人目だ。」
何気なく言ったガンソクの言葉にチャンミンは手を止めた。


ユンホを産んですぐ屋敷を追い出されたと聞いた。
それからしばらくして亡くなったと噂でしか知ることの出来ない母親の話をユンホは頑なにしようとしない。
「もしかして、…この天女はユノのお母さんですか?」
指の先でそっと天女の顔をなぞる。
ユンホの母親の顔なんて知らないが、天女の顔はユンホとは似ても似つかない、どちらかと言うと目元は自分に似てるんじゃないかとチャンミンは思う。


「いや、違う。天女は天女だ。」
「でも旦那さまは、この天女を愛してる、…」
ふと呟いたチャンミンへガンソクの動揺が伝わる。
勢いよく振り向いたガンソクの背中が遠くなり、浮いたチャンミンの手をガンソクはつかんだ。
「黙るんだ、チャンミン!」
「これは、誰ですか?…っ、うっ!」
これ以上何も言わせないとチャンミンの口が塞がれる、喰らいつくようにガンソクはチャンミンに口づけ押し倒した。
「っん、…ゃ、あ、…、っ」
往生際悪く暴れるチャンミンにのし掛かりシーツに張りつけ真上から見おろす。
純粋で濁りのない清水のようなチャンミン。
それが身体の至るところに男の痕を残し、幼さの残る真っ直ぐな眸で男を愛してると言う。
執拗なほどつけられた痕は2人の行為の激しさを物語っていて、目の前のチャンミンからは想像も出来ないのだ。



チャンミンの首筋へ顔を埋めたガンソクは、荒い息遣いと共に無意識であろう息子の名前を聞きながら締め付けられるように痛む心臓に辟易としていた。
それでいてチャンミンの抗う腕は徐々に力が抜け、ガンソクの背中へ回る。


時折、──ユノ、と口の中で消化できず漏れる声。
おそらく何十回、何百回と唱えたであろう名前のこぼれたひとつ。



ガンソクへ身体を拓きながら、全身でユンホを求めるチャンミンにガンソクは不思議な感覚を覚えていた。



この想いは、遥か昔、確かに自分の中にあったものだ。



ずくんと胸が軋み、頭が混乱する。
動きを止めたガンソクをチャンミンはじっと見つめ、──お願いがあります、と真剣な口調で言った。




「…なんだ?今さら止めろというのは聞かないぞ。」
「いえ、…それは旦那さまのお好きなように。それより、僕にも入れてほしい。」


「…何をだ?」



油断すればガンソクがのまれてしまいそうなほどチャンミンの視線には力があり、何を言い出すつもりなのかとガンソクは一瞬怯んだ。
それほど真剣な願いとは何なのか。





「僕に、…刺青を入れてほしい。小さく手のひらに収まるサイズのものを、…彫り師を、紹介してください。」
「……っ、バカなことを、…」
小さなサイズと言えど、彫ってしまえば一生消えない傷を負うことになる。
ましてやチャンミンはヤクザでもなんでもなく、名門私立高の優等生なのだ。
は、っとガンソクは鼻で笑う。
この期に及んで笑えない冗談だ。





「ユノが、…もしかしたらヤクザの自分と僕との溝を重く感じる日がくるかもしれない。旦那さま、僕は形のある覚悟がほしい。」
「…バカ言うな、子供の遊びじゃないぞ。」



ハハっとガンソクは笑うがチャンミンはまったく笑っていない。



「旦那さまが天女を愛してるように、…僕もユノを愛してるんです。」




  


まるで時間が止まったようにお互いの動きが止まった。
お互いを見ているようで、その奥は別の風景を見ている。




「……チャンミン、…」





ガンソクは上体を起こし手元にあった毛布をチャンミンへ掛ける。
チャンミンを抱き潰してやろうという考えはいつも間にか消え、一度だけチャンミンの柔らかな髪を指で掬いパラリとおとした。




















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