HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~32


































「っくそ!」
ユンホの蹴飛ばしたソファーが重い音をたてる。
高密度のウレタン素材のそれはびくともせず衝撃を吸収するが、ユンホの苛立ちを吸収してはくれない。
「ユノ、落ち着けって。」
本社の与えられた個室で、ユンホはジノや物に苛立ちをぶつけていた。
跡を継ぐための教育として本社へ呼ばれ籍を置くユンホだったが、いまだに社長のガンソクとはほとんど会えない。
ロジンが教育係のように人を寄越しユンホはあちこち連れ回されていた。
しかもガンソクとチャンミンの食事会の日からさらにガンソクは所在が分からなくなっている。
話をしたいとロジンへ申し出ても、今社長は都合がつかないと取り合ってもらえないのだ。



「落ち着けるかよ。チャンミンへ手を出しといて会社へも顔を出さず、どこで何やってんだ?」
「だからさ、少し休養ってか雲隠れしちゃってるけど仕事の指示はしっかりあるらしいからさ。親父はそこらへん把握してるみたいだからもう少し待てよ。」
「……。」
これまでも一年に何度かガンソクは酷く鬱になりどこか別荘に閉じこもることがあったようで、ユンホは息子なのにそれすら今回初めて知った。
若い頃は母親を追い出し男しか愛せない父親を軽蔑し関わろうとしなかったし、チャンミンを愛人にすると決めてからのガンソクへはさらに無関心をよそおった。
出来るかぎりガンソクの存在を忘れていたかった。
自分を慕い日増しに可愛くなるチャンミンをいつかガンソクに取られるなどと、決まっていて仕方ないと思っていてもぎりぎりまでユンホは忘れていたかったのだ。




「まぁ取りあえず珈琲でも飲んで落ち着きな?」
そう言いながらジノは内線番号を押して珈琲を頼む。
食事会以降ガンソクを追うが一向に捕まえられないユンホの機嫌の悪さにジノは辟易していた。
そう言えば、と話題を変え運ばれてきた珈琲をユンホの前へ置く。
むっつりしながらカップを啜るユンホを眺め、食事会では結局ナニもなかったんだからいいじゃないかと言いたいところをぐっと我慢した。
ユンホのチャンミンへ対する独占欲をよく知っているからだ。



「そう言えば、先日シドがメンテナンス会社の方へ俺を訪ねてきたぞ。」
「…シドが?」
離れの玄関先でユンホが一方的にシドを断ち切って以降2人は会っていなかった。 
勿論シドから連絡もない。
「ああ。模試でやっと合格圏内の判定が出たんだと。」
「そうか。」
それでいいとユンホは思う。
自分を追いかけていてはいつまでたっても本来やるべきことが出来ない、今も、これからの将来も。
「全力で合格して、それからのことはその時に自分で決めます、ってさ。お前への伝言、ちゃんと伝えたからな。」
「そうか。」
考えるまでもなくユンホがこの先シドを近くに置くことはないが、それは言わない。
短い付き合いだったが彗星のように現れ全幅の信頼と憧れをもってユンホのテリトリーを侵略してきたシドをユンホは嫌いじゃなかった。
むしろ、シドを頼りシドを信頼する自分がいた。
だからこそ、早々に突き放したのだ。



「カワイイ奴じゃないか、シドは。それに父親は大物政治家だ、何かと使えるのに。」
ユンホはふっと笑った。
──だからだよ。それだけ言ってユンホはまだ熱い珈琲を飲み干し席を立つ。
それより今はガンソクが二度とチャンミンへ手を出さないようにすることが先決なのだ。













夕方、至急と言われユンホはロジンへ呼ばれた。 
ロジンは食えない男だとユンホは認識していて、実際ユンホとチャンミンの仲を裂きたいのか黙認するつもりなのか、それさえ分からなかった。
ユンホが変わらずチャンミンを抱いてることなどとうに気づいてるだろう。
しどろもどろに報告するエナへ、お前も不肖息子の面倒で大変だなと笑っていたと聞いた。
それなのに女を抱けとユンホへあてがう。
頑なに拒否するユンホをめずらしいものでも見るようにニヤリと意地悪げに笑い、「そんなにチャンミンの具合はいいのですか?」とわざわざユンホを怒らせようなことを言うのだ。



 

「今夜は私に付き合っていただきます。」
「え?」
「UM芸能と打ち合わせのために一席用意されてまして、本来私一人で行くのですが今夜は貴方も同行してください。」


突然降って湧いたような話。
なかなか近づけなかった芸能事務所の上層部とロジンのお伴とはいえ接触できるのだ。
「それは、社長の指示でしょうか。」
何か裏があるのではと疑うユンホへ、ロジンはまさかという表情をする。
「もし社長が不在じゃなければ貴方を同行させるなどお許しがでません。私の独断です。」








一瞬真顔になったロジンの、その意味をユンホはすぐに知ることとなる。






「お連れ様がいらっしゃるとはめずらしい。しかもチョンユンホさんですね。お噂はかねがね、…」
好意的な態度の事務所社長は、ガンソクより随分年配だがやり手らしいぎらぎらした相貌の男だった。
「驚かせようと急きょ連れてきましたがご存知でしたか。」
「有名人ですからね。それにしても事務所へスカウトしたいほどの容姿だ。どうです?現役ヤクザのモデルは。」
「ハハ、ご冗談を。ヤクザとの接点をつつかれるだけで貴方の事務所へは何の利益ももたらしませんよ。」
そんな会話がなされている間、ユンホは事務所社長の背後に立つ男へ視線がくぎづけだった。





年の頃は40歳をいってるかどうか、…見た目だけなら30歳半ばだが雑誌でチラッと目にした記憶ではもっと上だったと思う。
あまり芸能人に詳しくないユンホでも名前を聞いたことはある。
映画を主に活動しているためテレビであまり見かけることのない俳優は、雑誌のなかとはまるで印象が違う。



スラリと伸びた手足。
細いのに質のいい筋肉に覆われているのがスーツの上からでもわかる。
若く見えるのは姿勢がいいからだとユンホは気づいた。
それほどピシッと伸びた背が美しい。
そして年齢のわりに艶のあるしっとりとした質感の肌。
くせ毛だろうか、茶色の髪が緩くウェーブし整った端正な顔を柔らかく見せていた。




「ユンホさん。こちらは俳優で事務所の役員でもいらっしゃるチェ・ユンソクさん。もちろんご存知だと思いますが何度も主演男優賞に輝いた実力派であり他で類を見ない美しい俳優でもあります。」



紹介するロジンはどこか自慢げに胸を張っていて、紹介された俳優の方が恐縮していた。



「チェ・ユンソクです。どうぞよろしく、チョンユンホさん。」
ニッコリと微笑んだ眸のくりっと悪戯っぽさを含んだ可愛らしさと涙袋。
「…あ、ああ、…よろしくお願いします。」
ユンホよりひと回り以上年上とは思えない控えめな態度。



「お父様の若い頃にそっくりですね。」




そしてどこかチャンミンを思わせる意志が強そうでいて清らかな微笑み。





ゴクリとユンホの喉が鳴る。
──ユノ、…と、頭のなかでは桜吹雪をバックにチャンミンが微笑んでいた。
















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