HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~35


































副社長の肩書きを持つロジンだが、ここ最近は目が回るような忙しさに翻弄されていた。
社長であるガンソクが突然姿を消し別荘に籠ってしまったからで、だがそれももう終わる。
今夜帰る。と、それだけの連絡を受けロジンは副社長室の重厚な椅子にもたれ掛かり大きく息を吐いた。



と、その時、ノック音と共に待ちわびた男の声が聞こえた。
「遅くなりました。」
「最近仕事を抜けてどこへ行ってるのですか?UM芸能へ送りこんだ組のものと連絡を取ってるそうじゃないですか。」
ロジンは本当に食えない男だとユンホは思う。
攻めるような言い方をしつつ、ユンホがユンソクと会えるよう仕組んだのもロジンなのだ。
「若頭。貴方の望みはなんですか?誰の味方なのかまったく読めない。」
ユンホは大股で部屋の中央まで入り、ドカッとソファーへ身体を沈める。
「私は誰の味方でもありませんよ。言ったじゃないですか、ユンホさんが跡目を継ぐためなら協力は惜しまないと。」
ニヤリと笑うロジンの狙いがいまいちユンホにはつかめない。
自分が連日ユンソクを張っていたことなどロジンには筒抜けだろう。
ロジンはユンホへ何をさせたいというのか。


「熱い珈琲でも持ってこさせましょうか?」
「…ホットミルクがいい、…あ、やっぱり珈琲で、」
慌てて言うユンホへロジンは苦笑いをする。
「別にホットミルクでも構いませんよ。お好きなものを。」
「いや、いいんだ。ホットミルクはチャンミンが入れたものしか飲まない。」
堂々と言うユンホへロジンの苦笑いがさらに崩れ、ため息混じりに内線を取り注文をする。



盃を受けて以降ロジンと共にする時間が多くなり、ロジンの皮肉っぽさにも慣れてきたユンホだが、それよりロジンの組への忠誠心やガンソクへの尊敬や信頼が自分へも向けられ、それを心地よく思えてきた自分にユンホは驚いていた。
気づけばロジンと2人きりの時は堂々とチャンミンとのことを惚気てしまう。
ジノの父親だからだろうか。
そう思うユンホだが、ロジンはジノのようなからかい方はしない。
最初こそ嫌みでしかなかったが、結局間違ったことは言わない、そしてそれはユンホを思っての事だと分かってきたのだ。 
だからユンホは如何に自分がチャンミンを愛しているか、事あるごとにロジンへ漏らし続けた。
責めもせず肯定もしないが、ロジンの苦笑いは深く崩れるばかりだった。





「デイルさんの動きが静かすぎます。」
運ばれた珈琲に口をつけ、ロジンが静かに話しだした。
「…というのは?」
「穏和なデイルさんよりも秘書のセヨンが何かしら仕組んでくると思っていたのですが、どうもおかしい。」
ユンホはもうずっとデイルと話していない。
組の幹部会や会社の会議など公の場で一緒になることはあっても2人きりで話す機会がなかなか作れずにいた。
デイルが自分を避けている。
ユンホは気づかないふりをしても肌で感じる空気を無理やり閉じこめる。
しばらくユンソクを優先して追っていたが、機会をうかがい必ずデイルと話さなければと思っていた。
「おかしいとは?」
「…もしかしたらデイルさんは足を洗うつもりかもしれません。」
「まさか!」
「いえ、ただの勘です。ユンホさんが名を売り評判を上げているのを傍観してますからね。ただデイルさんの貢献度から会社を去られるのはマズイ。組長はどうお考えなのだろう。」
ユンホは胸が痛かった。
兄にとってやはり自分は裏切り者なのだろうか。
兄を好きで兄が望むなら出来る限りのことはしてやりたいと思うユンホだが、…でも跡目を譲ることはもう出来ない。
組の頂点に立ち堂々とチャンミンを手に入れることがユンホの最優先事項になってしまったのだ。
そして脇目も振らず走ってきたユンホへついてきた組員や新たに傘下へ置いた組を見捨てることはできない。
もうひとりだけの身体ではなく、周りの人間への責任を負ってしまった。



そしてそれは自らの意志で選んだのだと今のユンホなら言える。
すべてを捨てる覚悟が形を変えてしまってもチャンミンを欲する気持ちは変わらず、いや以前よりも増してチャンミンを愛している。
一度背いた運命を、再びユンホは歩きだしていた。
今度は確実に、自らの足で。










「──それで、ユンソクさんと会って何か分かりましたか?」


ロジンが意地悪な笑顔を向ける。
やはり筒抜けだったかとユンホはため息をつくが、それなら話もはやいと身を乗り出した。


「…美しい篠笛の音色を、」
「ほぉ、…」
「そして、…多分若頭が知ってること全てを、」
「……。」


「俺なら、一度別の男に抱かれたくらいで手離したりしません。」


きっぱりの言い切ったユンホへロジンは鋭い視線を投げる。
「貴方は何も知らない。」
「知ってますよ。親父が、本当に愛した人は遠くから眺めるだけで年端もいかない子供を身代わりに抱こうと愛人契約をした腰抜けだってことはね。」
「っ、ユンホさん!!」
ロジンのこぶしがテーブルを揺らすほど打ち付けられ食器がガシャっと音をたてる。



「…組長を侮辱するのは許しません。組長がどれほどあの方を大切に思っていたか貴方には痛いほどわかるはずだ。」
「わかるから言ってるんです。たった一度の過ちを許せない男のどこが腰抜けじゃないと言うんですか?」
ユンホはわざとロジンをたきつけるような言い方をして様子を探ろうとした。
ガンソクは今もユンソクを愛してるに違いない。
それを知りたかった。



ユンホの物言いに簡単に乗せられるロジンではないが、ロジンもまたこれをきっかけにユンホへ伝えたいことがあったのだ。


「組長は身を引いたのです。ヤクザへの風当たりが急に強くなった時期でしたからね。ヤクザとの繋がりは芸能人にとっては命取りになりかねない。組長は誰よりもユンソクさんの実力をかっていましたから。」
それを言われてはユンホは黙るしかなかった。
確かに人気俳優が同性のヤクザ組長の愛人だとマスコミにバレたら終わりだろう。
「身を引いたはいいのですが、その後荒れましてね。いわれのない組に喧嘩を吹っ掛けたり突然行方不明になったり散々でした。」
今回もふいに行方をくらましたガンソクの代わりにロジンが相当忙しくしていたのをユンホは知っていた。



「1週間ほどまったく連絡が取れなくなりましてね、…その時、組長が転がりこんでいたのが小さなスナックを経営していた貴方の母上の店だったんですよ。」
「っ、…!」
ふいに出た名前にユンホの心臓が跳ねる、ここで母親の話が出るとは思っていなかったのだ。
「素性を明かさずフラッと入ってきた客を野良猫をかくまうように1週間ものあいだ店に置いてやったらしいですよ。さっぱりとした男勝りの女性でした。」
自分の目の前で隠しきれない動揺を必死に抑えるユンホに気づいていながらロジンは話し続ける。
「組長より幾つか年上の方で、雨に濡れそぼって悲壮感漂う男をほうっておけなかったのでしょうね。組長は男しか愛せない人でしたが、なぜか貴方の母上は特別だった。」
「それは、…どういう意味で?」
聞いていた話と違う、…そうユンホは思っていた。
子供を作る目的の為だけに抱かれ、捨てられたのではなかったか。
「勿論ユンソクさんを想う愛情とは種類の違うものですが、なんていうか、…親愛のようなものでした。1週間ほどで組へは戻ってきましたが、それからも会いに行かれてましたから。」
「……。」




「──そして貴方を宿してしまった。」



ユンホは混乱していた。
自分は予定外にできた子供なのか。
そこに多少なりとも愛はあったのか。
それならどうして母は何度も屋敷の門を叩き拒絶され、捨てられたのか。



「おそらく組長も驚かれたのだと思います。酔った末のたった一度の過ちだと仰ってましたから。お互い恋愛感情は抜きで付き合ってたつもりが、…彼女は違っていたのでしょうね。」


それに慌てたガンソクはユンホの母から離れようとするが子供は欲しかった。
2人の間でどのような話し合いがされたのかロジンでさえ知らず、ユンホが産まれて半年後にガンソクが引き取り別れたはずが子供を返してほしいとユンホの母が訴えてきたというのだ。


ガンソクにとって友のような女性へ、女の幸せを与えることは出来ないせめてものお詫びで大金を包んだらしい。
それがユンホの母を傷つけ、無駄な行動を起こすきっかけとなったのだ。




「…母は、…父が男しか愛せないことを知っていたのでしょうか。」
ユンソクの告白に続きがあって、それがまさか自分に繋がっているとは夢にも思わないユンホだったが、今まで最初から居ないように接していた母親の存在がいやでも自分のなかで形をつくる。





「勿論。ユンソクさんのこともご存知でしたよ。ですから貴方に“ユンホ”という名前をつけたのですから。」




くらりと目眩がしてユンホは額を片手で支えた。



───どうしようもなくチャンミンに会いたい。

















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