HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~40

































ふざけるなと怒ればよかったのだろうか。
それとも、それは出来ないと縋ればよかったか。






最上階の特別室からは景観を邪魔する建物は見えず、開きっぱなしのカーテンの向こうは澄みきった冬の夜空が広がっていた。
よく考えてくれと言い残し帰っていったデイルの去った病室は寒々としてユンホは軽く身を竦める。
そして、光に縁取られたまたたく星を眺めてはチャンミンの寝顔へ視線をむけた。
柔らかなくせ毛が包帯にかかりくるんと跳ねていて、ユンホはそれを愛おしげに指で梳く。



跡目争いになろうがもう自分は引けないと頭を下げるつもりでデイルと話し合おうとしたユンホだったが、まさかチャンミンを望まれるとは思ってもなかった。
それもチャンミンにとって最高の条件を用意してくるとは。
ユンホは髪を梳く手をゆっくり上下し触れるか触れないかの距離で頬を撫でる。
病室へ戻ってきたときより随分血色の良くなった頬。まるで普通に寝ているみたいだとユンホは思う。
何度も腕のなかに抱いて寝た純粋無垢な寝顔をどうしたら守ってやれるのか。
ヤクザの傍にいるより兄と一緒に居た方がいいに決まっている。
ポツンポツンと落ちる点滴を眺めながらユンホは弱気になっていた。



心臓が止まるかと思った。
それほどの衝撃を受けて初めてチャンミンを危険な世界に置いているのだと怖くなったのだ。
チャンミンを失いたくない、その想いだけでここまで走ってきたつもりが更に自らを追い込むことになろうとは。



ユンホは両手で顔を覆い深い深いため息を吐く。
どうしようもない胸の痛みで半身を千切られる思いだった。
父には絶対に渡せないが、…兄ならば?
チャンミンに対するデイルの慈愛溢れる優しさをこの目で何度も見てきた、兄へ対するチャンミンの尊敬の眼差しも。
ユンホはたどり着きたくない答えの周りを意識的にぐるぐると彷徨う。
一旦出してしまった答えは二度とユンホ自身を離さないだろう。









「…ユノ、…?」



ふと弱々しい声がユンホの名をよぶ。
うっすらと開いた眸に映る自分自身にユンホは泣きそうな気持ちになった。


「チャンミナ、…気分は?どこか痛いところはないか?」
再びユンホはチャンミンの頬を撫で、覗きこむように愛しい顔を見つめる。
目覚めてすぐは状況を把握できないでいたチャンミンだったが徐々に思い出してきたらしい。
「僕、…ごめんなさい。またユノに迷惑掛けちゃった?」
「そんなのはいい。それより気持ち悪くないか?吐き気は?」
「ユノ、…」
「ああ、目が覚めたって看護士を呼ぶか。お前、頭を打ってるんだ。一応検査で問題なくても突然容態が悪くなることだってあるからな。」
ユンホはベッドヘッドにあるナースコールを押そうと体を伸ばしチャンミンを覆うような体勢になった。
そしてボタンに触れたその時、ぐっと腹に重みを受け片腕で巻きつくチャンミンに気づく。
「こら、チャンミナ。離せって。」
「やだ、…」
「動いたら点滴がズレるぞ?大人しく寝ろ。」
「やだ。」
めずらしく聞き分けなく愚図るチャンミンにユンホはどうしたのかと思う。
あんなことがあってやはり恐かったのだろうか。
取りあえず落ち着かせるのが先だとユンホの手はナースコールを離れチャンミンの手を取った。




「大丈夫、傷は思ったより深くないそうだ。でも恐かっただろう?ごめんな、守りきれなくて。」
「…ユノ、…」
チャンミンの眸がじわじわと涙で滲み、起きてから“ユノ”と“やだ”ばかり言う口は何かを堪えるようにぎゅっと結ばれていた。
「どうした、そんなに恐かったのか?心配するな、もうそんな思いは、…」
「やだ、…ユノっ、」
どうしたと心配になるほどツラそうに歪む顔へユンホは鼻先を近づけ大丈夫だと伝えるように何度も擦り合わせる。



大丈夫だ、もう危険な目には合わさないから。
自分が跡目を継ぎ、兄が足を洗い堅気になる。
兄弟2人からの要求を親父と言えどのむしかないだろう。
所詮チャンミンは身代わりで、本物の想いをユンホは知ってしまった。そして父の想いも。
優秀な兄が弁護士として活躍するのが目に見えるようだ、──そして傍らに、愛しい人。




今までにないほど長く続くスメルキスにチャンミンが焦れて角度をつける、それをユンホは軽く避けて顔を離した。
「ユノ?」
「泣くな、チャンミン。もう恐がらせたりしない。俺達は離れても変わらないだろ?大切なんだ、お前が。時が経てばきっと風も変わる。立派な弁護士になってほしい、そしてそれを叶えてやれるのは俺じゃない、…っ、ん」



ドンッ、と痛いくらいの衝撃。
ぶつかるように首に巻きついてきたチャンミンを支えきれずユンホはよろけてしまう。
普段のチャンミンからは想像もできないほどの素早さで、本当に怪我をして片腕は繋がれた点滴で不自由なのかと疑ってしまうほどの。



「っ、チャンミ、…?」
押しつけられた唇はキスと言うには乱暴すぎて、
「好きっっ、…!」
「え?」
愛の言葉を暴力的に投げられ戸惑うユンホへキツくキツくチャンミンは縋りついた。




「僕が恐いのは、…っ、ぅく、…ふぅ、…っ、」
もう既にしゃくりあげるように泣くチャンミンの肩をつかみ、ユンホはチャンミンの顔が見たい。
でもそれを許さずチャンミンの力は強くなるばかりだった。
「僕が一番恐いのは、ユノがそんな選択をしてしまうことなのに!」
絞りだすように声を荒げ、チャンミンはユンホのシャツを涙で濡らす。
頭を打って興奮するのは良くないんじゃないかと何とか落ち着かせようとするユンホに構わずチャンミンは暴れた。
ユンホの胸に頭を打ち付けようとするから、さすがにユンホもそれは全力で阻止する。
「落ち着け!チャンミナ、…落ち着くんだ、」
「ぅう、っ…、やだ、…ひっく、…っ、」
これまでもはっきり意思表示するチャンミンだったけど、これほど錯乱するのはめずらしい。




それほどに、──そう思えばユンホは心臓が鷲掴みされたようにキリキリと痛む。


 

「愛してる。」
「っう、…ユノ、」
「愛してるんだよ、…チャンミン。」


ユンホの声も震えた。
堪らないほど愛しい、…真っ赤に腫れた眸も意思を通そうと噛み締める唇も、離さないと強く縋りつく腕も。




それでも、冷静な自分が頭の片隅でこのまま流されるのをよしとしない。
チャンミンに最良の道を、と、それはユンホの長年慈しみ育ててきた親心だった。
「お前、…ひどい格好だ、…」
まず自分を落ち着かせようとユンホは一呼吸おき、暴れ乱れたチャンミンの病衣を正そうと手を伸ばす。
そしてふとチャンミンの左肩から胸にかけて貼られたガーゼに気づいた。
「チャンミン、…これは?」
「……、」
チャンミンは無言のまま、けれどそれを外そうとするユンホの指を拒むわけでもなく黙ってユンホを見つめている。







「っ、…!!」



ごくりとユンホは息をのみ、
まずその美しさに目を奪われる。
それは胸を打ち抜かれるような痛みを伴ってユンホを襲った。



チャンミンの左肩下、…そこはユンホのお気に入りの場所で、何度消えない痕をしつこく残してきたか。



それが今や、大小の桜が寄り添うように咲き。
天を見上げ昇っていく、──緋色の形が少しイビツな丹頂。




「…サン太だよ、ユノ。」
「お前、…」



どうしてこんなことに。 
どうしてこんなものを。


軽く疑問と言うには驚愕すぎて、
しばらく茫然とするユンホだった。















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おはようございます、えりんぎです。


予想されてみえた読者さま。
大当たりです~~~( ̄∇ ̄*)ゞ
(笑うとこじゃないですからね!ヨロシク)






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