HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~42






























 




病棟を出たところでユンホはスマホの電源をいれ、一気に表示された不在着信を目で追った。
するとちょうどタイミングよくユンホの手のなかでスマホが震え、液晶画面に表示されたシドの名前を見てユンホは電話にでるか留守電に切り替えるか迷う。
だが情報にはやいシドのことだ、チャンミンの怪我を心配して掛けてきたなら安心させてやりたかった。それに伝えたいこともある。



「っ、ユノさん!!」
画面をタップしたとたんキィンと痺れるような大声がユンホの鼓膜を襲い、思わずユンホは顔をしかめ舌打ちをする。
「シド。俺は二度と連絡を寄越すなと言わなかったか?」
ユンホの言葉が届いているのかどうか、そんなこと気にもしない様子で聞いてきたのはやはりチャンミンのことだった。
「あの辺りは俺のナワバリだったんですぐ情報が入るんですよ。出血がひどかったって聞いて焦って電話してんのに一晩中電源切りっぱだし、ジノさんもつかまんないし、勘弁してくださいよぉ。」
ハアハアと息が荒いシド。
よほど心配したんだろうとユンホは申し訳なく思い、そこは悪かったと素直に謝る。
そういうユンホの誠実なところもシドにとってユンホを崇拝する要因になっていることなどユンホはまったく気づいてないのだが。




ユンホは簡単にチャンミンの容態を説明し、元気だから心配するなと伝えた。
チャンミンを拉致しようとして失敗したものの鳳昌組がすぐに諦めるとはユンホには思えない。
どこで病院の様子を探っているのか分からないのだ、シドを近づけるわけにはいかないと思っていた。
「ユノさん、表向き組長の愛人に手を出したんだ。…大きな抗争になるかな?」
「いや、大丈夫だ。」
事を大きくしない為に、今から自分はひとりで行くのだから。
そんなユンホの思惑はユンホをよく知るシドだからこそ勘づかれてしまう。
「まさか、…ひとりでどうにかしようと思ってないでしょうね?」
心配そうに尋ねるシドへユンホはもう一度大丈夫だとつぶやく。


そして、それよりとジノを介してシドへ伝えようと思っていたことへ話を振った。
鳳昌組が動きだした。それは即ち土地をめぐる利権争いの恨みがユンホだけでなく買い手企業や裏で手を引いた政治家へも向くということだ。
土地買収の本来の狙いを知らされていないユンホだったが、相手企業の裏にヤクザがいたとしたらそれを調査できなかったのはユンホの落ち度なのだ。



「あの売買契約をもう一度しっかり調べ直したが、やはり法的に誤りはない。けどな、シド。鳳昌組の組長は“脅しの蛇”と言われていて、奴は脅すネタを探すんじゃない、…作るんだよ。」
ユンホは最近会った他の組長や幹部から聞き調べた鳳昌組の脅しネタや手口をデータにしていた。
「お前を信用して渡すからくれぐれも公にはするな。そしてお前が父親を黒幕じゃない“シロ”だと思ったら極秘で渡してやれ。何かの参考にはなるはずだ。」
それだけ言ってユンホは急いでいるからと通話を切り、保存していたデータをシドへ送った。

   

これでいい。
このデータを託すのはシドにはまだ荷が重いかもしれないが、ユンホはシドを信用していた。
そしてシドの父親の所属する政党や派閥についてもある程度調べていたから出来たことでもあった。










入院病棟から外来診療棟を抜ければ診察がはじまったばかりのそこは多くの人達で賑わい、その流れに逆らうようにユンホは正門までの道を歩いていく。
そして見慣れた人影を見つけピタリと足を止めた。


「ジノ、…」
「お前さぁ、簡単なメールだけで済まそうったってそうはいかねぇぞ。チャンミンのことはとっくに親父の耳にはいってて色々と聞かれた。」
「…そうか、」
「携帯がなかなか繋がらないってさ、伝言を頼まれた。」



「いや、いい。」
「ユノ?」
とっさにユンホはジノの言葉をさえぎる。
おそらくロジンの伝言など勝手に動くなとかそんな話だろう、ユンホはそれを今聞くわけにはいかなかった。
「俺とはすれ違いで会えなかったことにしてくれ。」
ユンホはスマホを取りだして電源をおとし辺りをゆっくりと見渡した。
ジノを口止めしたところで誰か組のものが一緒に来ていたらジノの立場を危うくしてしまうと心配したのだ。


 

そうしながらユンホは止めていた足を進めジノの隣を通りすぎる。
無言で見つめてくる視線が痛いがユンホはそれを無視して足をはやめ、このまま何も言わず帰ってくれと願った。


「ここへは俺ひとりで来てる。」
ポツリとつぶやくジノへ、そうか。とだけユンホはこたえた。
「組長は組同士の揉め事にするつもりはないらしい。お前が勝手に動いても助けはないぞ?」
「…願ったりだ。」
それだけ言ってさっさと通りすぎようとするユンホの腕がぐっと引かれた、それは勿論ジノで。


「仕方ない、…じゃあ、2人で行くか。」
ニヤリと笑ったジノをユンホは睨みつける、そんなこと誰も頼んじゃいないと言いたげに。
「…お前、馬鹿か?」
「お前もな。」
しばらく目を合わせ突っ立ったままの2人へ行き交う人々の視線がちらちらと投げられる。
朝のきんと冷えた爽やかな空気に似つかわしくない内に秘めた覚悟と熱さで睨みあう2人。
ぴんと張りつめた空気を最初に断ったのはユンホで、ふっと口角をあげ呆れたように眉をしかめた。


「しょうがねぇな、…怪我してもしらないぞ。」
大袈裟に肩をすくめ背を向けたユンホの大きなため息にジノは小さく笑う。
そして、──嬉しいくせに、…とボソッとつぶやきユンホのあとを追ったのだった。
















運搬業を主に運送業と組長の趣味が高じたゴルフ場経営まで手を広げる鳳昌組の事務所は雑居ビルが建ち並ぶ街の一角にあった。



予想していたのだろうか。
午前中だというのに大勢の組員が事務所からあぶれるように玄関前にたむろしている。
一瞬怯んだジノが恥ずかしくなるほどユンホの足どりは力強く、堂々と正面突破するつもりのようだ。
ほんの半歩ユンホから遅れをとってしまうのは仕方ないとジノはゴクリ喉を鳴らした。


「チョンユンホと言います。組長へお目通り願いたい。」


静かに、それでいて有無を言わせぬ迫力。
たったひとことで若い下っ端を黙らせ、サッと割り開いていく人垣の中央を歩いていく。



ジノは自分が油断していたとは思わないが、それでも事務所の入口を入ったとたんガチャと響く鍵の音に気を取られてしまった。
あっという間に四方を囲まれ、すかさず飛んできたこぶしに横っ面を殴られ数歩後退する。
そしてバランスを崩した腹に鋭い蹴りが入ると覚悟した瞬間、やたらガタイのいい男が吹っ飛ぶのを見た。


「っ、馬鹿、…油断すんな!狭い場所でこの人数、コッチが有利だぞ。」
どこが有利なんだ?とジノは驚くがユンホが言うと何となくそう思えるから不思議だ。
先ほどユンホに殴り飛ばされた巨漢はしばらく立ち上がれそうもなく、ユンホの馬鹿力にあらためてジノは戦慄をおぼえた。



後から後から湧いてくるチンピラにうんざりしながら、それをことごとく床へ沈めていくユンホのタフさにジノの肌が粟立つ。 
道場で稽古するのとは違う、実戦ではじめてこれほどの攻撃力を発揮するとは。
全身バネのような跳躍が鋼の蹴りとなり、細身の身体から繰り出されるこぶしは鋭く重いのだ。



「っ、ハァハァハァ、…ユノ、…っ、俺、限界かも、…ハァハァ、…」


堪らずジノが膝を折った時には事務所の床は倒れたチンピラで足の踏み場もなかった。
数人残ったチンピラは壁を背にじりじりと後退しすっかり怖じ気づいている。
そこでやっと上質なスーツを身に纏った男がわざとらしい笑みを浮かべ階段を降りてきた。
パンパンと両手を叩く仕草さえわざとらしく、ジノはいらっとしながら男を睨むがまるで気にしない様子で微笑みを崩さない男。
「さすが東神組若頭補佐チョンユンホさん。見事なお手並みでした。」
見世物じゃねぇよとジノは言いたいが、ユンホの纏う空気がさらに鋭く研ぎ澄まされ何も言えそうにない。



「…組長へお目通り願いたい。」
かたい表情のまま愛想のひとつも返さないユンホへ目の前の男もふと真顔になった。
おそらく幹部であろう男にも伝わったに違いない。




静かに燃える青い炎。
ユンホの奥底に燻り、今か今かと解き放たれるのを待つそれを。

















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