HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~45


































頬を撫でる風に時おり春の気配を感じる季節。
その頃にはチャンミンの頭の縫合痕もほとんど目立たなくなっていた。
気づけばチャンミンのバースデーはとっくに過ぎ、それでもチャンミンとユンホは変わらない日常を送っている。



あれからガンソクへ何度も掛け合ったユンホだが、ガンソクの返事はいつも“保留”だった。
跡目をしっかり継いでから出直してこいとすげなく追い返され苛立つユンホだったが、ガンソクはそんなこと意に介さずニヤリと笑うだけなのだ。
だからユンホはわざと盛大にチャンミンのバースデーを祝った。
宴会場のような離れの賑わいをガンソクが気づかないはずはなく、終始チャンミンを傍らに置くユンホをエナは心配そうに眺めては忙しく動き回り、ロジンの苦笑いが消えることはなかった。





そして病室で話して以来だからひと月ほど経っただろうか、ユンホは久しぶりにデイルと2人きりになることができた。
望む望まないは別として仕事中はお互い常に取り巻きがいてゆっくり話すことが難しいのだ。



「兄さん、忙しいのに来てくれてありがとう。」
ひとりで庭先へ出ていったデイルを追ってユンホは声を掛ける。
そこは桜の木の根元、サン太の墓だった。
「ああ、ユンホ。今日はチャンミンの記念すべき誕生日だろう?どんな予定を断ってでも来るさ。それよりもお前が俺を呼ぶとは思わなかったがな。」
どうして?とユンホは不思議そうな顔をした。
確かにチャンミンをくれとデイルはユンホからチャンミンを奪おうとしたかもしれないが、ユンホは驚くほどデイルを責める気持ちにはなれなかった。
一旦はそれがいいかもしれないと思ったのだ。
それに今でも時おりチラつく、弁護士になって立派な事務所を構え後ろめたさを微塵も感じず志高く生きていく2人を。






ユンホはふいに頭を下げた。
腰を深く折り、真っ直ぐに伸びた背がきれいな直角をつくる。
「ユンホ?」
デイルは驚き、どうしたんだと声を掛けるがユンホは深く頭を下げたまま一向に動かない。
そのつむじを眺めながらデイルは昔のユンホを思い出していた。
いつも自分のあとを追っかけてきた可愛い弟。
幼い頃から病弱だったデイルを気づかい、体力なら俺に任せて、と率先してデイルを助けてきた。
年の離れた兄としてはやはり面目が立たずやりきれない時もあったのだ。
そのうちそれを成長とともにユンホは感じとり、それ以外のことをデイルへ譲るようになった。
本人はうまく隠してるつもりかもしれないが、ユンホがわざと勉強に手を抜いたり、わざわざ興味のない悪さをして指導室行きになっていたのをデイルは知っている。
司法試験だってそうだ。
大学在学中に司法試験予備試験を受験し司法試験すら一発合格だったデイルを周りはもてはやしたが、ユンホまで予備試験を通ってしまったのだ。
遠慮するなとデイルは何度も諭したが、面倒くさいの一点張りでユンホは頑なに司法試験を目指すことはなかった。
もしあの時、ユンホが自分に遠慮せず司法試験を受験していたら。



そこまで考えてデイルの意識はユンホへ向く。
ゆっくりと顔をあげた切れ長の眸が真剣な眼差しでデイルを見据えていた。





「兄さん。東神組組長の跡目を俺に譲ってください。兄さんを差し置いて上に昇ろうとする俺を許してください。」


そこまで言ってぐっと唇を噛んだ弟をデイルは眩しそうに目を細めて見つめる。
最初から誰が跡目に適任かなんて分かっていた。
おそらくユンホ以外の人間はすべて。
勿論デイルだってそれは例外じゃなく、自分が跡目を継ぐ想像すらおこがましいと思っていたのだ。
目の前にこれほどの逸材がいて、意識的に隠してきた才能がチャンミンを愛してると認めてからどんどん花開いていく様子をデイルは眩しく眺めてきた。
デイルも誇らしいのだ。
それほど圧倒的なカリスマ性を発する男が自分の弟なのだと。




「ユンホ、…それは頼むことでも謝ることでもない。お前は選ばれた男なんだ。誰に恥じることもない、俺もお前が跡目なら心強いよ。」
そう優しげに笑ったデイルへ、ユンホもほんの少し口元を緩める。
「…それに、チャンミナも譲れない。」
ボソッと遠慮がちに言うからデイルは笑ってしまった。
もうここへ来てからずっと手伝おうと席を立つチャンミンの腕を引き、まるで所有物のように見せつけていた先ほどまでのユンホを思い出したからだ。


「ん、…知ってる。それに散歩中どれほどチャンミンからクギをさされたか。」
「チャンミナから?」
「ああ、ユノへ余計なことを吹き込まないでくださいって叱られたよ。ユンホがヤクザだろうが関係ないってさ。ま、予想してたけどな。」
ふっと笑ったデイルの表情はほんの少し寂しげで、だがそれ以上に未練なくすっきりしているようにユンホには思えた。
「お前からチャンミンを奪おうなんてもう考えないからさ、チャンミンの将来を俺も応援していいかな。」
そんなこと言ってくるデイルへ、ユンホはうなずき、もう一度頭を下げる。


病弱だという理由で昔から当然のようにいろいろと諦めてきた兄へ、助けたかった、与えたかった、でもそれが出来ない申し訳なさを噛みしめながら。













屋敷の庭園ではソメイヨシノに先がけて枝垂れ桜が満開の季節をむかえる。
薄紅の花、しなやかに垂れ下がる枝の美しさ。
チャンミンはこの幻想的な季節が毎年楽しみでならない。
離れから見えるのはソメイヨシノで、枝垂れ桜は屋敷をぐるっとまわらなければ見ることができない。
この季節になるとチャンミンはいつもより少しだけ早く起きて屋敷を一周し、屋敷の正面にどっしりと根をおろす老木の流れ落ちる滝のような優美な姿をうっとりと眺めていた。





そして今朝もチャンミンは視界を埋め尽くす薄紅の景色を堪能し軽やかに離れへ戻ってきた。
今日は土曜日で学校は休み。
そしてめずらしくユンホも今日は一日中休みだと言っていた。
どこかへ出掛けられないだろうか、とチャンミンは思いをめぐらす。
最近予定外の客を迎えていて、それはチャンミンにとってとても刺激的で楽しい、…けれど、あの離れにエナがいて客人がいて、どうしたって人口密度が高くユンホと2人きりになれる空間はない。
いや、客人へチャンミンの部屋を譲ってるからチャンミンは毎日のようにユンホの隣で寝ていた。
チャンミンが居間で勉強を終えるとエナによってユンホの寝室に布団が二組敷かれていて、布団の幅ほど開いた隙間をこっそり埋めてぴったりくっつけるのがチャンミンの最近の日常なのだ。



チャンミンが寝る前にユンホが帰ることもあれば、寝てしまって夜中に気づけばユンホが居ることもある。
最近ますます忙しくなったユンホの背中を眺めながら、最近なかなか抱き合えない状況をチャンミンは寂しく思う。
手を伸ばせば届く距離にユンホがいるのに、襖と廊下を隔て隣と向かいの部屋に感じる人の気配。
ユノは平気なの?と、いつだったか聞いてみたらニッコリと笑い返され全く通じていないようだった。



はぁ、と、チャンミンは大きくため息をつく。
しょうがない、僕は若いから。と勝手に結論づけて悶々とチャンミンは過ごしていた。



「あれ?」
離れの玄関を入ると散歩に出るときはぐっすり寝ていたユンホの声が聞こえる。
どうやら電話のようだ、もしかして急な仕事で呼ばれてる?
チャンミンはざわつく嫌な予感を振り払い静かにユンホの姿を探した。






「あー、…だから鳳昌組のオッサンは酒癖が悪いから嫌なんですよ。酔うとしつこく絡んできて離してくれないし。それに親父と懇意にしてるなんて初めて知りました。騙しましたね?若頭。」
チャンミンがそろ~っと部屋を覗けばスマホ片手に縁側から外を見渡すユンホがいて、どうやら通話の相手はロジンのようだった。
相槌を打つあいだもユンホの後頭部は忙しく動いていて、何をそんなに探しているのだろうとチャンミンは思う。
背中を向けたユンホはそんなチャンミンに全く気づいてないようで、アクビを噛み殺しながら口うるさいロジンのお小言を聞くユンホをチャンミンは楽しげに眺めた。
寝起きのスウェットはだらしなくもたついて、腰でなんとか引っ掛かった状態。
洗いざらしのTシャツも引き締まった広背筋に沿って大きくシワを作っていた。
昨夜は遅くに飲んで帰ってきたから酒が抜けきらないのか気怠そうに立つ姿さえ、どうしようと困ってしまうほど格好いい。




うっとりと突っ立ったままのチャンミンだったが、ふいに振り返ったユンホと目が合い跳び跳ねるほど驚いてしまう。
そんなチャンミンの動揺に何を誤解したのかユンホの目つきが一瞬で鋭さを増し、一気に詰まった距離でさらにチャンミンは慌てた。
何日か前、おやすみのキスをして布団に入って、同じようにうっとり見つめていたチャンミンへ、「頼むから、…あんま見るな。」と、そうユンホから言われたばかりだったのだ。
怒られるっ!と肩を竦めるチャンミンだったが、気づけばユンホの腕にぐるりと抱きしめられ、変わらず通話中で話すたびに伝わる振動をチャンミンは心地よく受けとめるのだった。



そして近すぎるゆえに漏れ聞こえる声。
姿は見えないが、その声からロジンの焦りがチャンミンにも伝わる。
「ユンホさん、…貴方、余計なことを吹き込んでませんか?じゃなければ、あの方が勝手に引退を表明し姿をくらますとは思えない。もう一週間ですよ?心当たりは全て探しましたが、いまだに行方がわからないんです。」



ふとユンホとチャンミンの視線が絡む。
了承済みだと聞いていたのに!
チャンミンの声にならない声はユンホの唇で塞がれ、チュッとリップ音も高らかに離れていった。
「っ、ユンホさん!な、何してるんですか?」
電話の向こうからチャンミン以上に動揺した声がして、ユンホはそれを面白そうに笑う。



そして、


「ユンソクさんのことを仰ってるのでしたら、マスコミが落ちつくまでコチラでかくまっていますが?」



さらりと言ってのけた。















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おはようございます、えりんぎです。


昨日は私のささやかな記念日に沢山の拍手コメント、沢山の拍手、ありがとうございましたヽ(〃∀〃)ノ






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