HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

あなたが笑えば~最愛~48




































「…なにをしている?」



いつの間に帰ってきたのか、居間を入ったところでおそろしく無表情のユンホが抑揚のないセリフを吐いた。


「あ、ユノ!」
思いがけず早い帰宅に嬉しそうに笑ったのはチャンミンで。
「ちっ、ユノ兄~、早ぇよ!」
あからさまに肩を落とし舌打ちまでしたのはハイルだった。


「だから、なにをしてるんだ?」


そんな2人の反応の違いへピクリとも表情を崩さずユンホの声はいまだ固い。
それもそのはずユンホの目の前ではうつ伏せに寝転んだハイルの腰をチャンミンが跨ぎ、チャンミンの両手がハイルの背中を押したり撫でたりしていた。
これはユンホにとって許容範囲を遥かに超えている。



「あ、…ハイル兄が身体中が筋肉疲労で痛いって言うからマッサージをね、」
「そうだよ、元はと言えばユノ兄が最近やたら道場へ俺を呼び出すからさぁ、身体中がギシギシ言ってんだって!」



あの日、墓参りと別荘へ行った日、チャンミンはハイルとの勉強の約束をすっかり忘れていた。
おいしいと評判の海鮮料理店へもラストオーダー間際に飛び込んだくらいだ、離れへ帰宅したのも日を跨ぐほど遅くなってしまった。
それほどチャンミンはユンホとの行為に溺れ離れがたく、ユンホもしつこいほどチャンミンを攻め続け
離してやることができなかったのだ。
ただ約束を反故にされ大いに拗ねたのはハイルで、申し訳なさそうなチャンミンをいいことに毎晩のように離れを訪れていた。
そして今夜も身体中が痛いと言ってはチャンミンにマッサージを強請ったのだ。



「ぅわ、っ、…痛ててて、っっ!」
表情を変えないままユンホの腕がハイルの首根っこを掴み、軽く払っただけでハイルの体が一回転する。
それをチャンミンは息をのんで眺めていた。
チャンミンにとってハイルはそれこそ兄弟のようなもので、昔からハイルに対し独占欲を見せつけるユンホが不思議でならない。
それに最近ユンホはチャンミンへ護身術を教える傍ら必ずハイルを呼ぶようになった。
チャンミンとはまるで違うハイルへの厳しい指導にチャンミンは自分まで体が痛くなってしまうのだ。





「はい、そこまで!お茶でもどうかとユンソクさんを誘ったのに、なに兄弟喧嘩してるんですか!」
パンパンと手を叩く音がして振り向けばエナとユンソクが立っていた。
「ユンホ坊っちゃん、ほら、さっさと着替えてきてください。まったくもう、弟相手に大人げない。」
エナにそんなこと言われてはユンホも言い返すことができず大人しく部屋をあとにする。
昔チャンミンへキスしようとしたハイルを見て以来ユンホの度が過ぎる牽制がわからなくもないエナだったが、もう何年も前のことでそろそろ許してやればいいのにと思う。
思いながらもユンホの独占欲を盛大に刺激するハイルの態度を見てはやれやれとため息をつく毎日だった。






「あ、ユンソクさん。お借りした本、すっごく良くて考えさせられちゃいました。あの筆者が結局伝えたかったのって、…」
ユンソクを相手にチャンミンが熱心に話しはじめ、難しい本の話になってしまうとハイルの出番はない。
ちぇっと言わんばかりのハイルの様子に苦笑いのエナだが、普段どちらかというと人見知りのチャンミンがユンソクにはめずらしくすぐ懐き、2人の容姿がどこか似ているのも相まってエナはこの見目麗しい2人を眺めていると癒されるのだ。
芸能人がいきなりここへ現れたときは驚きで声もでないエナだったが、ユンソクには芸能人特有の高慢さがなく物腰も柔らかい、そして何より清らかな佇まいは離れの空気を清浄化して気持ちのいいものだった。




変わったと言えば大きく変わったことがある。
息子が住み愛人にと望んだチャンミンが住むこの離れだが、今までほとんど訪れることのなかったガンソクが最近ちょくちょく顔を出すのだ。
驚くエナへ仕事だと仏頂面で言い、ユンソクと少しばかり話すだけでお茶を出すタイミングもないまま帰ってしまう。
ここで初めてユンソクと会った時もそうだった。
てっきり男色のガンソクがユンソクを気に入ったのだとエナは思ったが、ユンホ達を追いやった後30分ほどで帰ってしまったのだ。
しかも開いたパソコンや広げた書類を見ることなく、にらめっこのような2人がエナは不思議でならなかった。
「頑固親父のことは放っておけ。」
そうユンホが意味ありげに笑うのにも、エナは首を傾げるばかりなのだ。













その日は遅くにガンソクがやってきて、ユンホが帰宅しているのを知り帰ろうとしたのをエナが無理やりお茶をすすめた。
その時洗面所にいたチャンミンはガンソクが来たことを知らず、まさか自分を探して入ってくるとは思わない。
それはユンホも同じで、エナが慌ただしく動きだしたのを不思議に思い居間へ行こうとしていた。




春先の夜はまだ冷える。
ひんやりとした廊下を進みながらガタッと何かがぶつかる音にユンホは気づき、何気なく洗面所のドアを開け、そして固まった。
いつの間に来たのかガンソクの背中と、その向こう側にチャンミン。
そしてチャンミンのはだけたシャツとそのシャツを開くように添えたガンソクの手。
そこだけに焦点が集中し、ユンホの視界は真っ赤に弾けた。





「っ、ユノ、…!」
気づけばチャンミンが背後にいて、心配そうにユンホの背中に手を添えている。
ユンホの両手はガンソクの襟首を鷲掴み、渾身の力でガンソクを壁へ張りつけていた。
「ユンホ、…何のつもりだ?」
顎を上げ、息苦しさに眉を潜めてもガンソクの物言いは冷静そのもので。
「っ、父さん!それは俺のセリフだ!」
首を締め上げているユンホの方が苦しげに掠れた声をあげた。




「ユノ、違う、…旦那さまは、」
おろおろするチャンミンの両手がユンホの腰に回りガンソクから離そうと躍起になるが、ユンホはまるでびくともせずガンソクへ殴りかかろうとする勢いだった。
そしてユンホは怒りのまま振り上げた腕を頭上で止める。
爪痕が残るほど強く握ったこぶしは微かに震えていた。




───どうして、…、


自分はうまくやっている。
抱えていた問題は解決し、携わった仕事は順調に利益を上げ、子飼いの組は増え勢力は確実に伸びている。



着々と力をつけ跡目への道を歩く自分へ、これ以上なにを、…



食事会でチャンミンを組み敷いたガンソクが脳裏に浮かぶ。
忘れない、忘れたことなどなかった。


「ユンホ。」
ガンソクの手がユンホの肩をつかむ。
力強く肌に食い込む指、それは以前チャンミンへ触れた指で。
「…触るな、…っ、」
ユンホの怒りは全身を貫き、燃えさかる炎と胸の痛みでどうにかなりそうだった。






「っっ、…ユノッ!!」
「ん、っ、…!」



不自然に捻られた首が痛い。
でもそれでも、ユンホの首に回され頭を抱く腕は慣れ親しんだ愛しい人のもの。


背後から引き寄せるように頭をもっていかれて、つま先立って伸びてきたのはチャンミンの顔。


「ユノ、…ユノユノ、っ、…ユノ、…」
何度もユンホの名を呼び、鼻先を押しつける。
最初こそ振り切ろうと拒むように体を強張らせたユンホだったが、痛いほど鼻先を押しつけられ、それが次第に優しく擦り合わされ、徐々に体の緊張が解けていく。
「…チャンミナ、…」
ユンホがチャンミンの名前を口にしたのは、鼻先じゃなくチャンミンの唇がユンホの鼻先へ触れたからで。
それが少しずつ移動しながら柔らかな感触を残していく。
そしてチャンミンの唇がユンホのそれを捉えた時にはユンホの両手はガンソクから離れ、力なく空をつかんでいた。



解放されたガンソクは喉を押さえ軽く咳き込む、そして直ぐに居ずまいを正した。
ガンソクの目の前では借金のカタに貰い受けた子供が成長し息子と口づけを交わしていて、少し前なら許せない行為もなぜか今は穏やかに眺められる。
「…ユンホ。」
もう一度ガンソクは息子の名を呼んだ。
がむしゃらにしがみつくチャンミンの腕の隙間から一瞬ユンホの眸に鋭さが戻るが、ガンソクの穏やかな表情を前に落ち着きを取り戻す。
そしてサッと体を捻りチャンミンを抱えこんだ、…誰にもやるもんかと言わんばかりに。
くっ、…と笑いを漏らしたのはガンソクで、それは次第に肩を揺らすほどになった。



急に笑いだしたガンソクがユンホは面白くない。
それこそ親であり組長であるガンソクへ手をあげてしまいそうなほど、ユンホは真剣だったのに。



「…なにがそんなに面白いんですか。」
ユンホがムッとしてつぶやけば、ガンソクの肩がさらに揺れた。
「くくっ、…まるで子供だな?ユンホ。」
「っな、…」
「お前はチャンミンのことになると周りが見えなくなる。それは最大の弱点で、いずれチャンミンを危険な目に合わすだろう。」
一転して真剣な表情のガンソクがユンホを見据えるが、ユンホだって言われるがままではない。
「っ、…それでも父さん、…俺はチャンミンを、」
絶対に渡さない。と言いかけたところを、ガンソクが被せるように言う。


「もっと強くなれ、ユンホ。チャンミンを愛し守りたいのなら、…もっともっと、強くなるんだ。」
「…え、」
思わずユンホは聞き返してしまった。
そんなこと言われるとは思ってなかったのだ。
そんなユンホの様子にガンソクは口元を歪め、ふんと息を吐いた。
「…礼ならチャンミンへ言え。食事会でチャンミンの覚悟を知ってからチャンミンをどうこうする気が失せた。さっきはその確認で刺青を見せてもらったのだ。誤解してすぐ感情的になるお前と違って、チャンミンの方がよほど腹が座っておるな。」



そしてユンホの肩をぽんと叩き、
「あと鳳昌組の親父にも愛人のひとりやふたりユンホへくれてやれと言われた、…まあ、礼がてらタマには奴の酒に付き合ってやれ。」
そう言いながらガンソクは洗面所のドアを開け、青い顔をして立っていたエナへ気づく。
狭い洗面所で大の男が3人もいて、そのうちひとりは殺気立って我を忘れんばかりなのだ、エナも心配したに違いないとガンソクは労うように笑顔を見せた。
「…旦那さま。」
恐々とした表情へもう大丈夫だとうなずいて見せる、そうしてすれ違いざまにボソッとつぶやいた。
「エナ、…そういうことだ。バカ息子とチャンミンをこれからも頼むぞ。」
そして言い方は素っ気ないがどこか照れを含んだガンソクへエナは大きくうなずき返すのだった。














*********************


おはようございます、えりんぎです。



いよいよ明日、チャンミンが帰ってきますね♪
そしてコチラの《なんちゃって極道話》も明日で完結です。
…と言いつつ、後日談的な番外編を企画話として明日PM2時12分に更新します。




長い間、沢山の応援をありがとうございました



では、明日!










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