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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後3



































玄関を進めば大きなガラス窓からたっぷりの陽光が降り注ぐダイニングキッチンがあり、そのまま進み和洋折衷の引き戸を開けると広い居間になる。
障子で仕切られた内縁の縁側と、そのガラス戸から庭が一望できる純和室の居間をチャンミンは大層気に入っていた。
それはエナが移り住むまでひとりきりだった朝食をわざわざ居間で食べるほどで、エナが来てからは夕食も居間だ。


桜の木がちょうど真っ正面にあって池もよく見える。
壁を挟んだユンホの部屋も縁側はあるものの松の木が大きく枝を伸ばし景観を遮っているようでチャンミンはあまり好きじゃない。
もっともこの松のおかげで寝室でのあれこれが護衛の組員の目隠しになっているとはチャンミンは知るよしもないのだが。







最近では寝室専用だったユンホの部屋が仕事部屋のようになってしまい、今日もロジンに続いてガンソクまで訪れていた。
居間で課題を終え、ほっと一息ついたチャンミンがエナと目線を合わせ期待に目を輝かせる。
そして2人の視線は閉めきった障子の向こうの縁側へ注がれた。
ほどなくして聴こえてくるであろう美しい篠笛の旋律に耳を傾けるために。





「…エナさん、…キレイ。」
「本当に、…、」


それはまるで合図のように。
普段夜が更けてから吹くことはないユンソクのうっとりするような篠笛の音色だった。


それがいつしかガンソクが離れを訪れた夜だけ奏でられるようになり、会話をするわけでもない2人の愛の語らいのようだとチャンミンは思う。



「ねぇエナさん、旦那さまとユンソクさんって好き合ってると思わない?」
頬杖ついてうっとり聴き入っていたチャンミンが唐突に言い出すからエナは目を丸くしながらも実は同じように感じていたから軽く瞼を伏せ同意を示した。
「まあ、…ね。でもお互い地位のある立派な大人なんだし、…そう簡単にいかないこともあるよ。」
長年東神会に仕えているエナだ、その昔ガンソクがUM芸能を興し事業を拡大していったことやユンソクがUM芸能生え抜きの役者だと知っている。
だがお互いの間にあったことなど知るはずもなく、突然ユンホが連れてきたユンソクに対してガンソクの今までにない行動を誰より驚いているのはエナなのだ。 
「…でも、もどかしい、…」
「アンタ達みたいに若けりゃ、好きだー、おー!ってな具合に話もはやいんだろうけど。」
「エ、エナさん、…ひどい、」
「なによ、違うのかい?大当たりでしょ。」
「っ、う、…///」
チャンミンは何も言い返せない。
大当たりだと自覚があるからだ。
それにユンホとの犬も食わない痴話喧嘩や目のやり場に困るだろうコッソリとはとても言えない触れ合いの被害者はいつだってエナなのだから。




「でも旦那さまが最近よく離れに来るのはユンソクさんに会いたいからだと思うんだ。」
「ん~、…ユンホ坊っちゃんと仕事の打ち合わせが忙しいって聞いたよ。」
「ユンソクさんだってマスコミの騒ぎは結構おさまったって聞くのにずっと此処にいるし。」
「ああそれはね、ちょうど引退を機にマンションを引っ越すみたいで、ユンホ坊っちゃんが新しい家を見つけるまで此処に住むよう申し出たんだよ。」
「え?」



それまで意気揚々と話していたチャンミンのぽっかりと開いた口が微かに歪むのをエナは咄嗟に気づき、そしてむくむくと悪戯心までわいてくる。
「もしかしてユンソクさんが邪魔なのかい?」
わざと神妙な表情でエナが言えば、チャンミンは慌ててぶんぶんと首を振った。
「そりゃあね、ユンソクさんには年齢を超えた美しさと大人の魅力があるよ。物知りなのにそれをひけらかさない謙虚さや随分年下のユンホ坊っちゃんを立てる奥ゆかしさもあるし。…だからチャンミンが妬くのも分かるのよ。」
神妙な表情はそのままでエナは淡々と話す。
チャンミンがユンソクを邪魔にしてるとは勿論エナだって本気で思ってるわけじゃない。
いくらユンソクが年齢を超えた美しさだと言ってもさすがにユンホとでは年齢が違いすぎるし、ユンホがチャンミンしか見えてないのはエナだけじゃなく誰の目にも明らかなのだ。




それなのに目の前のまだ幼さの残る愛らしい顔がくしゃっと崩れ、ぼろぼろ大きな眸から玉のように落ちる涙にエナは心底驚いた。
「っ、…え、ちょっと、…チャンミン?」
「……ぅう、…っ、」
低く唸ってうつむいてしまったチャンミンの太股をポタポタ大粒の涙が濡らす。
エナは何がどうしてこうなったのか分からず、とにかく決壊したダムのように落ちる涙を止めなければと焦りチャンミンを抱き寄せようと腕を伸ばすが、それすらするっと空を切った。
「え、…っ、待って、」
「ごめん、…っ、エナさんは何も悪くないから。全然悪くないから、」
無理やり笑顔を作るチャンミンが痛々しいほどで、ほんの少しからかうつもりがチャンミンのこれほどの反応。
予想外のそれにエナはズキズキと胸が痛くて、飛び出すように玄関を出ていくチャンミンを呆然と見送ることしかできなかった。









しばらくして静かな余韻を残し篠笛の音が止んだ。
滑るように開いた障子からユンソクは顔を出し、少しだけ照れくさそうに微笑んだがすぐに心配そうに立つエナに気づく。 
エナとチャンミンの会話がユンソクに聞こえたはずはないが、エナのなんとも言えない微妙な面持ちでチャンミンに何かあったのだと思い、そのままエナの向こう、ガンソクとロジンが帰ることを告げようと襖を開けたユンホへユンソクは合図をするように言ったのだ。


「ユンホさん。チャンミンが、ほら、池の真ん前で貴方を待ってますよ。」


え?…とユンホより先にエナが首を伸ばした。
玄関を飛び出したと思ったがそのまま庭へ回ったらしいとエナは少しだけほっとして、安心したら今度は呆れてきた。
ユンホとユンソクなんて冗談にもほどがあると思っていたのに完全に真に受けたチャンミンへ呆れたのだ。



「まったく、…どれだけチャンミンはユンホ坊っちゃんを好きなんでしょう?」
「え、…?」
勿論たった今顔を出したばかりのユンホにこの状況が分かるはずなどなく、
「いいから!ユンホ坊っちゃんはさっさとチャンミンを連れ戻してくださいよ!」
なぜエナに当たり散らされるのかも分からないのだった。




「さっきまで此処で勉強してたのに、いつの間にあんなところで拗ねてるんだ?チャンミナは。」
居間を突っ切り縁側から庭へ出ようとユンホは大股で部屋の中央まで進み、どうやらガンソクやロジンのことはすっかり忘れているようだった。
ブツブツ文句を言いながら、けれど一直線にチャンミンを目指すユンホが微笑ましくてユンソクは可笑しそうに笑みを漏らす。
そしてふと顔を上げ廊下からこちらを見ていたガンソクと目が合った。
何を考えているのかまるで読めないガンソクの表情にユンソクも柔らかく緩めた口元をきゅっと引き締める。



「ユンソク。…お前はいつまで此処にいるんだ?」


低く抑揚のない声。
それはユンソクがいつまでたっても離れから出ていかないのを責めてるようにも聞こえる。


「…あの、…」
ガンソクの刺すような視線が痛くてユンソクは思わず目線を落とし、立ったまま後ずさるように半歩下がってしまう。
ユンホの住む離れと言っても持ち主はガンソクで、そのガンソクが歓迎していないのにいつまでも居座るのは余りに図々し過ぎやしないか。
自分はユンホに甘えすぎていたと、そう思いはじめたら恥ずかしくて仕方がない。
明日、此処を出ます。そう言おうと口を開きかけたところで話に割って入ったのはロジンだった。


「社長。ユンソクさんは新しいマンションが見つかり次第すぐに此処から出られると思います。…そうしたらもう映画のスクリーンで観ることも叶わず、こうやって篠笛の音を聴くこともない。二度と、…会えないかもしれませんよ。」
意味ありげに言うロジンへガンソクは口元を歪め、「どういう意味だ?」とさも興味なさそうに呟くがロジンの笑みは深くなるばかりだ。
それはガンソクと付き合いの長いロジンだからこそ感じるガンソクのちょっとした動揺によるものかもしれない。
けれどその動揺をユンソクは気づかない。
ぐるぐると思考だけが渦を巻き沈んでいくようだった。




自分は何を期待して此処にとどまっているのだろう。
父親の面影を色濃く残したユンホがいて、息子のように懐くチャンミンがいて、あたたかいエナがいて、まるで家族のように居心地が良かった。
家族など、一度も持ったことないのに。


そしてやはりこの人は未だに自分を許してはいない。
裏切り者は決して許さない人間だと昔から知っていたじゃないか。
あの移籍しようとしたタレントと同罪で、あれ以来一度もまともに話さえしてくれないのに。






「…社長、…ご迷惑でしたら、」


ユンソクの言う“社長”は、ロジンや組員が呼ぶ“社長”とは違う。
22歳のガンソクが目をつけ初めて興した合法会社。
「おじさん。」と初対面で呼んだ子役へ、「お兄さんもしくは社長だ!馬鹿っ!」と頭を小突いた記憶は何十年経とうがお互いのなかで色褪せることはないのだ。



「…此処はユンホの家だ。」
「え、…?」


むっつりと無表情のまま呟くガンソクにユンソクは思わず聞き返してしまった。


「だから、…ユンホの家にユンホが誰を招こうと俺が口出しすることじゃない。勝手に居たいだけ居ればいい。」
「あ、あの、…」


戸惑うユンソクだが、もう既にガンソクは背中を向けて歩き出している。
そしてふいに足を止めた。


「ユンソク。」
前を向いたまま名前を呼ぶからユンソクはよく聞こえず、思わず数歩ガンソクを追った。
「…またアレを聴かせてくれ。」
アレとは、勿論篠笛のことだろう。
ユンソクはそれ以上近づくことができなかった。
なぜか身体中が痺れ、胸が震えて声も出ない。
ただ、──はい、とだけ、聞こえるかどうかというほどの声音で。





さっさと玄関を出ていったガンソクを苦笑いで見つめていたロジンへ満足そうに笑いかけたのはユンホだった。
「若頭。組長が黒と言えば白も黒になるこの世界。これで俺の本宅へ移る話は無くなりましたね?」
「ユ、ユンホさん、っ!それとこれとは、…」



「違いませんよ。若頭はやはり食えない人だ。反対してるくせして、ユンソクさんが此処にいる意味も俺が此処で住み続ける許可も結局は貴方が親父から取ってしまわれた。」
「っ、な、なにを、…」




「ふ、…若頭、感謝します。」



スッと一瞬だがユンホは深く頭を下げ、そしてにっこりと笑い体を翻した。
いつまでも池の縁にしゃがみこみ、サンタサン太と会話しながら自分の迎えを待ってるであろう可愛い恋人の元へ行くために。















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