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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後10


































チャンミンはふわふわと雲の上にいるような心地で車の後部座席におさまり、自然と緩む頬を隠すため車窓を流れる風景に目を凝らしていた。
ユンホとの数時間はとろりと蕩けるような濃密で幸せな時間だった。
どうしても抜けられない仕事があると料亭から別々の車になったのは残念だけど、ユンホと一緒に離れへ帰ったらどんな顔をしてエナやユンソクと会えばいいのか、きっとデレデレと緩みきった顔を晒してしまいそうだからちょうどよかったのだ。





チャンミンは車を降りて離れまでの道を歩く。
ずいぶん日が長くなったと青々とした緑の香りを胸いっぱいに吸い込んだところで遠くから美しい旋律が聞こえてきた。
パァっとチャンミンの表情が浮き立つ。
それは何日かぶりに聴くユンソクの篠笛の音だった。
ここ暫くガンソクの足が遠のき、離れに黒服の団体がたむろすることもなく、チャンミンは静かな夜にほっとしていたのだが。
ただひとつユンソクの篠笛を聴くことができず、とても寂しく思うもののガンソクが来た時だけ吹かれるようになったそれにチャンミンはリクエストするのも憚れたのだ。
急いで離れへ戻るチャンミンだったが、どうやらガンソクはいないらしい。
庭先で立ち止まったチャンミンはそれ以上進むことができず、眸を閉じ篠笛の音色に聴き入った。


「……ユンソクさん、…」
よくよく聴けば、それはいつもの音色ではない。
寂しくて、切ない。
悲しいほど求めて、でもそれを口に出来ないもどかしさ。
胸が締めつけられるような音色をチャンミンは唇を噛みしめて聴き、そして何気なく浮かんだ句を口にしていた。



「…あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかもねむ。」
ぽつり呟いたあと、大きなため息と共にチャンミンは肩を落とす。
あまりに切ない音色に、チャンミンは今すぐガンソクを引きずってでも連れてきたい気分だった。


「それはどういう意味の歌なの?」
ふと見ればすぐ近くにエナがいて、どうやら庭先で突っ立ったチャンミンは離れから丸見えらしい。
「エナさん、…迎えに来てくれたの?」
「だって今日はユンホ坊っちゃんと食事だったのにそんな暗い顔して立ってるから何かあったのかと思ってね。もしかして喧嘩でもしたのかい?」
ううん、とチャンミンは首を振る。
ついさっきまで地に足がつかないほど浮かれていたのだから。
「──あなたというこの切ない思いの預け人に会えないまま一人眠る夜は、あの山鳥の尻尾のように長く心寂しいものだ、…っていう意味なんだ。」
「ああ、それは、…」
心配そうに眉根を寄せるエナへ、「僕じゃないよ。」とチャンミンは力なく笑う。
エナだって縁側から聴こえる篠笛の寂しい音色に気づかないはずはなく、こたえに困ったような複雑な表情で頷くだけだ。



「ねえ、エナさん。エナさんも協力してくれる?」
「え?」
「あのね、しがらみを背負った頑固な大人達が少しだけ素直になるのを見たくない?」
チャンミンの台詞はそのままユンホの受け売りだが、エナはそれに納得したように頷く。
事情をよく知らないエナから見てもガンソクとユンソクはただの昔なじみとは到底思えず、2人の視線が追いかけ逃げるように絡み合い離れていくのを何度も見てきたのだ。



「そうね、…私でも何かしてあげられるかしら。」
「うん、3人で協力すればできるよ!」
3人?とエナが不思議そうな顔をして聞けば、ニッコリ笑ったチャンミンは当然のようにユノもね。と言う。
「…めずらしい、…あのユンホ坊っちゃんがこんなお節介話に乗ってくるなんて、」
人の恋愛事情に首を突っ込むなんておそらくユンホが一番面倒くさがりそうなのに。
そう思うエナの前でチャンミンは相変わらず満面の笑みを湛えている。


そこでふとエナは今日の食事会が楽しくて幸せな気分のままユンホも了承してしまったのだろうという結論に達した。
水炊きで有名な老舗高級料亭だと聞いていたから余程美味しかったのだろう。
「そう、…よかった?」と何気に聞いたエナに他意はない。
「あ、うん。気持ちよかっ、…っあ、、///」
そう答えてしまったチャンミンが悪い。
「ぅ、…課題、…課題やんなきゃ!///」
結局エナはバタバタと逃げるように離れへ駆け込んだチャンミンに置いてきぼりにされ、それからもチャンミンの失言を思い出してはお互い気まずく、水炊きパーティーをするという以外なかなか協力体制の取れない2人だった。











ユンソクは酒に弱い。
何度かユンホと飲んでは本人の意図しないところで儚い色気を振りまき、どれ程チャンミンにもどかしい思いをさせたことか。
ユンホ相手に振りまかれる色気は困るチャンミンだが、ガンソク相手なら大歓迎だ。
チャンミンの計画はなんとかガンソクとユンソクを隣同士に座らせ、さっさとユンソクを酔わせてガンソクとの距離を縮めようという簡単なものだった。



ところが簡単に思えたそれが実はなかなか上手くいかず、水炊きパーティーの招待をロジンを通してガンソクがあっさり断ってくるという最初から前途多難の計画となったのだった。











「ユンホ。めずらしいな、お前が一緒の車で帰ろうなんて。」
ほぼ一日中仕事でガンソクと一緒だったとしてもユンホがガンソクと共に帰ることはなかった。
それが今日はユンホからガンソクを誘うからたとえ同じ屋敷に帰るとは言えガンソクにとってそれはめずらしく、そして嫌な気はしない。
「…まあ、…たまには、」
2人は後部座席に隣り合い、かと言って会話が弾むわけでもなく、忙しい一日の疲れを癒やすようにお互いシートに凭れていた。




「旦那さま!」
屋敷内の駐車場で待ち構えたようにやって来たのはチャンミンだ。
ガンソクの目線を一瞬感じたユンホだったがそれを意識的に流し、「チャンミナ、どうした?」とそれはわざとらしいとも取れる言い方で話しかける。
「ああユノ、おかえなさい。あの、旦那さま!」
けれどチャンミンの目的はガンソクだからアッサリとユンホへ微笑みかけ素通りしてガンソクのもとへ進んでいった。



「あの、日頃お世話になっている感謝の意味をこめてお鍋でも如何かと招待させて頂いたのですが。」
「ああ、…悪いが、そういうのは苦手だ。それに俺がいない方が場も盛り上がるだろう。今回は遠慮させてもらうよ。」
「そんな、…旦那さま、…」
しゅんと肩を落としたチャンミンをユンホは気の毒に思うが、ガンソクが断ることはユンホにとって予想範囲内だった。
今まで家族団らんなど無縁で、息子のユンホだって仕事絡み以外でガンソクと食事をともにすることなんて数えるくらいしかないのだ。
それでもガンソクが来ないことにはチャンミンが一生懸命考えた計画が無駄になってしまう。
ユンホはどう助け船をだすか考えていた。
すると、「…お別れ会を兼ねているのに、…それでも駄目ですか?」と、ユンホが知るかぎり最強の上目遣いでチャンミンが甘えたように言うではないか。
イラっとしたユンホを気にするでもなくチャンミンの上目遣いは続く。



「僕、せっかく仲良くなれたのに、…本当に残念で。だって屋敷を出てしまったらそう会えないじゃないですか。昔話をしてもらうこともできないし、それにもう、…聞けない、」
今度は軽く目を伏せたチャンミンをガンソクは神妙な面持ちで眺めている。
…が、ユンホは油断したら笑ってしまいそうで、ぐっと奥歯を噛みしめていた。
おそらくガンソクはチャンミンの話がユンソクのことを言ってると誤解してそうだ。
チャンミンとデイルが散歩中に会ってることなどガンソクは知らないだろうし、チャンミンの微妙な話し方、それはわざと誤解を招くようにしているとユンホにはすぐにわかった。



そういうことか、とユンホはひとり納得する。
もう一度ガンソクと話したがるチャンミンに言われるがまま話す機会をつくったが、どうやらユンソクが屋敷を出ると誤解させてガンソクの動揺を誘うつもりなのだろう。
そしてそれはほぼ成功していた。



「それは、…本当か?」
「せっかくだから旦那さまにもお別れをしてほしくて、…」
ガンソクの目線が揺れる。
ユンホはまた吹いてしまいそうでぎゅっとこぶしを握り、なんだよ、人のこと弱味がどうとか言えないじゃないかと心のなかで毒づいた。
それほどガンソクの動揺が見て取れる。
それなのにどうして最近離れから足が遠のいているのか不思議なくらいで、さっさと素直になればいいのに。と自分を棚上げするユンホだった。



「ね、旦那さま。あの料亭の味には遠く及ばないけど、ほんの少し隠し味のアドバイスをいただけたんです。僕、頑張って美味しく作りますから。」
また上目遣いに戻りニッコリ笑ったチャンミンへ、ガンソクも気持ちがぐらついてるようだ。
「…そうか。チャンミン、あの料亭の水炊きはそんなによかったか?」
ガンソクの仏頂面がほんの少し緩みチャンミンの肩を撫でるからユンホは気が気じゃない。
今すぐ振り払ってやりたいところだがそれはチャンミンを怒らせるだけだと分かるから我慢してるというのに。
「はい。義父さまに伺って旦那さまの予定に合わせました。お願いです、断らないでください。」
子犬のように純粋な眸を向けられガンソクの笑みはさらに深く、肩に置いた手がじわじわと首筋から頬へ向かってはユンホも黙っていられない。



「っ、やりすぎだ、チャンミン!」
ガンソクの手を払おうと伸ばした腕が空振りする。
キッと睨んだ先には両手をあげておどけたように笑うガンソクがいて、ユンホはさらにイラつきチャンミンが慌てて止めようとするのさえ視界に入らない。
「父さん、…ふざけないでください。」
ユンホにとってガンソクはいずれチャンミンを差し出さなければならないと7年間も覚悟し意識してきた相手であり、そう簡単に穏やかな気持ちで2人を見れるはずないのだ。
唸るようなユンホのつぶやきはガンソクの可笑しそうに漏れる笑いでかき消される。



「ユンホ。その姿をお前を絶賛する組関係の人間に見せてやりたいくらいだ。」
「っ、な、」
「鳳昌組の親父がお前のことを無敵の強さだと言ったが、チャンミンにだけは勝てそうもないな。」
「だ、旦那さま!///」
慌てて否定するチャンミンへガンソクはやはり可笑しそうに笑って、そして。
「まぁいい。最強のチャンミンの頼みだ。無下には出来ないだろう?」
そう言い残し、少し離れて様子を窺っていた組員を引き連れ屋敷へ戻っていったのだった。














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