HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

Baby don't cry3


































──いいだろう。条件を話し合おうか。



と、確かにチョンユンホは言ったはず。
話し合おうと言うからには少なからず僕の希望も聞いてくれるのかと思いきや。



「現状の店の流れとお前の勤務形態について話せ。」


僕が許された発言はこれについてのみ。
なんて横暴だと腹も立つが、全ての決定権を持つと豪語するこの男に逆らうのは得策じゃない。


「半年、様子を見てやる。半年で経常利益を前年比150%かそれに近い数字をだせ。横ばいであればすぐに店を潰すし、その間に俺が改善の余地ありと判断すれば新しいやり手の店長を送り込もう。」
「は?」
「ようは古き良きドーナツショップの原点が残ればいいんだろう?使えない店長はいらない。」


あっさりと言い捨てられ僕は肝を冷やす。
もちろん店の存続が一番大切だけど、そこに僕がいなければ意味がないのに。


最初にどんと脅されたからか、あとから次々に出てくる要求を拒むことはおろか意見すら言えなかった。





朝7時開店で夜は11時閉店。
工場で大量生産したドーナツを売っていると時々勘違いする客がいるが、そんなことは勿論ない。
開店までにひととおりの商品をいちから店で作るから毎朝出勤は朝の4時だ。
ミックス粉と水と卵。
商品によってはオイルを入れたりシーズニングパウダーを入れたり。
厨房にとって開店までの3時間が一番忙しい時間だと言っていい。
ドーナツの生地を作るのは僕か副店長のソジュンで、5時になるとアルバイトさんが来て仕上げをする。
数種類の生地にホイップを挟んでシュガーをふって。
チョコやストロベリーチョコ、季節に応じてホワイトチョコや抹茶チョコなんてのもある。
ただの生地があっという間に色とりどりの美味しそうなドーナツへ生まれ変わり、甘くていい香りがぷんと漂う、僕の至福の時間なんだ。




そしてすっかり忘れていたのは本来ドーナツショップを買収するに至ったきっかけ。
どうしてこのドーナツとは無縁そうな男が看板商品モッチリングを作らなければならないのか。
そういえばさっき会長がどうとか言っていたが深く聞こうとは思わない。
社長業をこなしながらドーナツ作りを学ぶ大変さについても何も言わない。


要するにどうでもいいんだ、──チョンユンホのことは。





「あのですね、…仕上げだけって言うならまだしも、1から作るつもりでしたら技術を習得するのにそれなりに時間が、、、」
「わかってる。」
「よければ生地をまぜあわせるところまでやるので、…フライするのもちょっと危ないかな、…僕が貴方の腕を支えながらフライしていくのはどうでしょう?」


「そんな子供騙しのようなこと出来るか!」


ジロッと睨みつけられて恐い。
でもさ、そう簡単に作れると思ったら大間違いだ。
ドーナツ作りに学歴は関係ない、甘く見るなよ。


そんな僕の心の声が聞こえたのか。
また僕をひと睨みしてからチョンユンホは不敵に笑ったのだ、それは僕の背筋がゾクリとするほど。



「だからお前が必要だと言ってる。営業後にそちらへ行ける日を連絡するから1から教えろ。」
「はい?営業後から教えるって、…あの僕、早番の時は夕方にあがりで、」
「当然、残れ。」
「……。」
なんという傍若無人。
ドーナツの製造を終えてキレイに片付けた厨房を営業後から使うだけじゃなく早朝4時から仕事してる僕へ残れと?
「えっと、翌日4時出勤のときは、…」
「何か関係あるか?」
ひ、ひどい、…自分勝手にもほどがあるだろ。
「僕んち車で1時間の田舎なんで、帰って風呂入る時間もないとか困るんですけど。」
高校時代から一人暮しのボロアパートは深夜で飛ばしても40分はかかる、無理だ、絶対無理、僕に店のベンチで寝ろと言うのか。


ブチブチ文句を言う僕をソンミさんはずっとにこやかに眺めていて、笑ってる暇があるなら助けてよと思う。
ソンミさんもこの勝手男の右腕ならスケジュールの調節くらいできるだろ?
例えオーナーであってもだ、教えてもらうつもりなら“お願いします”じゃないの?
稼ぎと忙しさは必ずしも比例しないと思う。
薄給の僕の労働時間をぜひとも教えてやりたい。



それなのにチョンユンホは事もなげにアッサリと。


「それなら俺のマンションが店から5分だ。うちで風呂へ入って仮眠していけばいい。」
「は、はい??」


僕はこの男と話していて何度間抜けな返事を返しただろう。
環境が違うとこうも感覚まで違うのか?
いくらボロでも僕は自分のアパートに他人なんていれない。
それをおそらく高級であろうマンションに赤の他人である僕を入れて風呂と寝床を与えようというのか。
傲慢で高慢ちきで良いところなしだと思っていたけど、実はいい人だとか?


「風呂と寝床代は安くしてやる。」


か、金を取るんだ。
金持ちのクセに!


「冗談だ。」


ぶぅたれた僕へボソッと呟いたチョンユンホにはとても冗談を言った軽やかさはなく。
僕としても何が本気で何が冗談なのか、わからない。




───チョンユンホが、わからない。











******





「おいっ、ビーカーは?」


「………、」



それから本当に僕の超ハードスケジュールがはじまった。


「っ、おいって!」


「それは人に教えてもらう態度じゃないですね。僕のことは店長と呼んでください。それに何度も言ってますけど、ビーカーじゃなくてメジャーカップです。…まったく、理科の実験じゃないんだから。」


相変わらずチョンユンホはえらそうで、だけど僕はちょっとだけ慣れて言い返したりもする。


「お前こそ、俺のことは社長と呼べよ。口には出さねぇけど頭のなかでフルネーム呼び捨てしてるだろ。」
そしてなぜか妙に勘がいい。
って、僕の態度が分かりやすいのか?
「社長は僕にとって恩人の社長だけです。」
会社を買収されても社長は社長のままだった。
いわゆる雇われ社長として、これまでと変わらず会社を任されていた。



「そうか。じゃあ、ユノでいい。」
「は、はい??」


それはあまりにも落差が有りすぎじゃないかと驚く僕を見てふんと鼻をならす男。
社員やアルバイトにオーナーと呼ばれるのが実はあまり好きじゃないらしい。
だからって急に“ユノ”はないだろう。


「それはちょっと、…みんな、オーナーって呼んじゃってますし、」
「ばか!…お前だけだ。」


「…は、はい??」

  


そして、ドーナツ作りを教えはじめて数日。
やはり、チョンユンホ、…この男が僕にはよくわからない。














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