HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

【ホミンホ合同企画ミーアゲ(meeting again)】あなたが笑えば~最愛~その後14

































縁側を向いたユンソクの細っそりとした背中が緩やかなリズムを刻む。
優しく軽やかな篠笛の音。
先日聴いたもの悲しい音とは違うとチャンミンはうっとりと聞き惚れていた。


梅雨の合間、流れる雲の隙間から届く日射しがきらきらと輝いて。
ふとユンソクの視線が庭の端っこにあるのをチャンミンは気づいた。
そこにあるのは手鞠状の青紫の花。
憂鬱な梅雨の庭に彩りを添え、雨に映える紫陽花はチャンミンだって好きだ。
だから何年か前に一株だけ植えたのもチャンミンだった。
けれどそんなチャンミンでも驚くほどユンソクは紫陽花に詳しく、開花してから気づけば紫陽花ばかり眺めているユンソクをチャンミンは不思議に思っていた。



今もユンソクは紫陽花を見つめながら篠笛を奏でている。
どうしてだろう、そう思いながらユンソクと紫陽花を交互に眺め、そしてふとチャンミンは自分と同じような視線を送る人に気づいた。
いつもの重々しく冷めた表情ではなく、ただ美しい音色に身を委ねるような穏やかな視線。
こんなに優しい顔もできるんだとチャンミンはガンソクの意外な素顔を垣間見た気分だった。



──僕ではチャンミンの代わりになりませんか?


確かにユンソクはそう言った。
それはやはりチャンミンの代わりにユンソクがガンソクへキスをするということなのだろうか。
思ってもみなかった展開にチャンミンはドキドキしていた。
ガンソクも満更じゃなさそうだ、いやそれどころか初々しい反応に周囲が一瞬戸惑ったくらいなのだ。



遠く遠く離れてしまった2人の関係が一歩でも近づけばいい。
唯一ガンソクの背負った天女を見て触れたチャンミンなのだ、それが誰を想って刻まれたものか痛いほどわかるから。






やがて篠笛の音が名残惜しむように空気を揺らしてやんだ。
ごくりとチャンミンは喉を鳴らしてしまい慌てて口元を押さえる。
それが響いてしまうほど広い居間は篠笛の余韻に浸って誰もが感嘆のため息をつかんばかりだったのだ。
「…社長、」
スッと振り向いたユンソクが意を決したようにガンソクへ近づく。 
本来キスを迫られた張本人のチャンミンだが、そんなことはすっかり忘れドキドキと飛び出そうな心臓を押さえながら2人を見つめていた。
ユンソクの両手がガンソクの肩へ触れる。
これほど近づき触れ合う2人を見るのは初めてで、誰もが固唾を飲んで見守っているようだ。




──社長、…と、ユンソクはもう一度ガンソクを呼んだ。
なんだかそれが睦言のようで、思わず頬を赤らめたのはチャンミンだけじゃないはず。
ゆっくりと近づいていくユンソクと、微動だにしないガンソク。
ユンソクへの想いを知らないセヨンでさえ来るもの拒まずのガンソクが拒むことなど無いと思ったし、余興として組長のキスシーンを見せられるのも仕方ないかと楽しむことにした。
相手は何といっても美形で有名な元俳優だ、美しいものは性別を超えて美しいのだから。












バサッと数枚の手ぬぐいがシンクへ投げ込まれる。
やるせない苛立ちを精一杯バレないようぶつけているのはチャンミンで、それはめいいっぱい捻った蛇口から水飛沫が顔を濡らしても気づかないほどだった。



「ベタベタじゃないか。」
ふいに真綿の感触、柔らかいタオルで頬を拭かれチャンミンが振り向いた先には優しく微笑むユンホがいた。
「チャンミナ。そんなに分かりやすく怒るなよ。」
ユンホの眉根が困ったように寄る。
「っ、だって、…旦那さま、ひどい。あそこで拒むなんて、…ユンソクさんが可哀想だよ、」
ぎゅっとチャンミンはきつく唇を結んだ。
こんなきっかけではあるけれど、この触れ合いがお互いの壁を崩してくれたらいいとチャンミンは願っていたのに。



微動だにしないガンソクの、そこだけが意思を持ちユンソクの口づけを拒絶した。
男らしく大きな手のひらがゆっくりと、けれど確固たる動きで。


「 ユンソク、…無理はするな。」
「 社長、…」


欲しいなら欲しいと、どうして言えないのか。
見つめ合う眸は愛しさで溢れているのに。
チャンミンはその場で地団駄を踏んでしまいそうなのを何とかこらえ、おしぼりを持ってきますとそれを口実にキッチンで憂さを晴らしていたのだ。


「頑固にもほどがある。旦那さまなんて最近ずっと離れへ来ないし、…あの夜のユンソクさんの篠笛を聴かせてあげたいよ。それが今日は違った、旦那さまが居るというだけで、なのに、…ひどいよ、ユノ。」
チャンミンは八つ当たりのようにユンホの胸を叩き、それをユンホは優しく受け止めていた。
何度目かのチャンミンのこぶしがユンホの胸で大きな手にくるまれる。
「頑固、…ってより、おそろしく純情だったりして。」
「え?」
ふと目線をあげたチャンミンの唇に柔らかい感触が降ってきて、こんなところで!と真っ赤になるチャンミンの鼻先にユンホの鼻先が触れる。
「大切すぎて触れられない気持ち、…なんとなく分かるんだよな。」
そう言ってもう一度鼻先を擦り合わせ啄むように何度か口づけるユンホへチャンミンは照れくさそうに笑った。
「僕とユノは小さい頃からずっとスメルキスしてきたのに?」
冗談めかしてチャンミンは言うが、でもユンホの言いたいことは嫌と言うほどわかった。
どれほど親愛の情をもってスメルキスをしても、それ以上求めてしまう気持ちを隠すのがどれほどつらかったか。
でも今は違う。
想った分だけ想われている。
チャンミンはそっとユンホの唇を指でなぞり、ゆっくりと重ねてその幸せをかみしめる。
それはユンホも同じで、弟のように慈しみ育ててきたチャンミンを愛してると認めてしまえばこんなにも答えは明快だったのだ。



「旦那さまの天女は背中にいるから見えないのかもしれないね。」
チャンミンのその言い方が可笑しくてユンホはぷっと吹きだした。
「刺青は背中にするもんだからなぁ、」
「せめてユンソクさんに見せてあげたい。」
「ん~、…2人がかりで親父をひん剥くか?」
「っ、殺されちゃう!」
「くく、」
大袈裟に肩を竦めるチャンミンと視線を合わせ、ユンホはもう一度チャンミンの柔らかい唇を啄む。
先ほどのチャンミンを囲んだ緊張感はおそらく本人には伝わっていないだろう。
それでいいとユンホは思った。
もしかしたら本当に冗談だったのかもしれない。
それが通じないほど度量の狭い自分にほとほと呆れるが、チャンミンに関してユンホはもう何も譲れないのだ。




「途中でハラハラしたけど結局くじ引きは成功したし。よかった、…ユノ、ありがとう。」
ほっとしたように微笑むチャンミンが可愛くてユンホはこれが最後とまた口づける。
「ぁ、…ん、」
「ん、ご褒美は今夜?」
「っ、///…っもう、前払いしたでしょ?」
「あれは手付けだろ?この間まで試験週間でほとんどお前に触れてない。」
「ユノ、…///」
かぁっとチャンミンは上気して思いっきり顔を伏せるが、ユンホはそれを追うように触れそうな距離で顔を寄せてくる。
少し前まで兄だ保護者だと素っ気なかったユンホなのに、想いが通じ合ったとたん際限なく甘いのだ。



ユノは経験豊かな大人だからいいけど、僕はもういっぱいいっぱいで溺れてしまいそうだ。
それが最近チャンミンの最大の悩みで、なんて贅沢な悩みだろうと自覚してるから誰にも言えないでいる。
代わりにチャンミンからチュッとキスを返し、そろそろ部屋へ戻らなきゃと体を離した。


自分には過ぎた幸せをユンソクへお裾分けしなければとチャンミンは妙な使命感に燃えていて、若干空回りなのは気にせず名残惜しそうなユンホを置き去りに居間へ向かったのだった。














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