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HOTミンな関係

天然なのにがっつり男なユノと賢く清廉、つんとしてもやっぱり可愛いチャンミンが大好きなほみんペンです。R18あり。

Baby don't cry7



































「そうか、…動きに無駄がないんだな、…」



「よくそんな器用にひっくり返せるよな。」



「すげえ、…本当にドーナツだ。」





なんだろう、この人は。
もし鬱陶しく指図してくるようなら有無を言わせず追い出す気でいたのに。
調子が狂う、…こんな素直に感心しちゃって。




邪魔だ、気が散ると追い出したいけど、真剣な表情で僕の動きを目で追う人を邪険にもできなかった。
「ユノさん、少し静かにして、」
「あ、ああ、悪い。あんまりキレイだから、」
「は?キ、キレイ?///」
急に何を言い出すんだと背中が強張る。
確かにドーナツを製造する姿をこれほど間近に眺める機会なんて滅多にないと思うけど、それにしてもキレイなんて大袈裟じゃないか?




「そう、キレイだ。経験して難しさを分かるからこそのキレイ。俺がこう出来たらいいと思うそのものの動きだよ。」
スラスラとユノさんの口から出てくる誉め言葉が擽ったくてたまらない。
これまで散々貶しといてどういうことだよ、と僕も素直にお礼なんて言えそうになくて。
「急に誉められたら気味が悪いんでやめてくださいよ。」
そう可愛げなく言うことしかできないんだ。









レバーを引いて油の温度を確認する。
そしてドーナツの型をセットし、そこへ入れたドーを隙間なく順々にフライヤーへおとしていった。
ここが結構難しくて、ユノさんの場合動かしながらドーをおとすから生地が歪んでフライされる。
それではモッチリング独特の形にはならずイビツなドーナツになってしまうのだ。
一旦止めて、おとす。
移動して、また止めておとす。
この繰り返しを素早くやらなければ最初と最後でフライ時間が変わってしまう。
ユノさんがよくやる、生揚げってやつだ。






「僕が何年ドーナツを作ってると思ってるんですか。こんなの慣れですよ。誰だってできる。」
ムズムズする口元を無理やり引き締めあっさりと言う、人は誰だって誉められればテンションがあがるものだ。
「そう?慣れるほど適当になる奴だっている。ああ、俺本当はコレが好きなんだよな。」
言いながらユノさんが覗きこんできたのはオールドリングをフライしている最中だった。
「ん、コレが一番好き。チョコつけたらもっと好きだ。」




おかしい、…オールドリングを好きだと言ってるだけなのに、なんだか無性に恥ずかしい。
夜中のテンションだからか、いつも冷淡な人がみょうに柔らかくて親しげで。
肩先から覗く人の息遣いを首筋に感じて、ばくばく心臓が鳴るのはきっとなにかの間違いだ。




「オールドリングは見た目ざっくりしてシンプルですが、実は一番難しいんですよ。気温や湿度によって水の温度を変えないとうまく裏側が割れなくて失敗しちゃうんです。」
「へぇ、」
「でもフライ時間が短くて素早く作れるから好きです。逆にモッチリングは仕込みは簡単だけど、フライ時間が長くてフライ中もくっつかないよう何度も気にしなきゃいけないでしょ。手間がかかりますよね。」
普段こんなドーナツ講義なんてしないけど、今日はどうも口が軽い。




この雰囲気がよくない。
苦手で相容れないと地の底に墜ちた印象は本来ならずっと継続するはずだったのに。
暴言を吐いて勝手に飛び出した僕へ怒るだろうと思っていた人がなぜか逆に歩み寄ってくるとか。



ドン底の印象は、あとはもう上がるしかないのか?
そんなの、おかしいのに。




「男と女みたいだな。見た目も男っぽいし、でも実は意外に繊細。逆に簡単に堕ちてくるけど、付き合うと結構面倒くさい。」
「は?なんの話ですか?」
いきなりドーナツを比喩してくるけど、何を言いたいかすぐにわかってしまう。
それだけでこの人がどれほどモテてどれほど適当に遊んでいるかわかるってものだ。
「…いいですね~、面倒くさいくらい遊び相手がいる人は。」
イヤミったらしく言ったのに、ニヤリと笑った人が感じ悪くてたまらない。




「肩書きとビジュアルだけで寄ってくる女はごまんといるからな。適当に遊ぶだけの女がどれほどいたって、…っ、アチッ!」



アンタの自慢話なんて聞きたくないんだよ!とユノさんの口へフライしたてのオールドドーナツの破片を突っ込んでやった。
熱そうに小さな口をすぼめてギュッとつむった目が涙目になってる、ザマーミロ!
はふはふ言いながら咀嚼する姿もなんだか絵になるからムカつくんだ、この人は。




「おい、チャンミナ。」



こらっ、愛称で呼ぶな。
僕は素知らぬふりで黙々と残りのオールドリングをフライする。



「すっげ、ウマイ!!」
「え?」
 


「なにコレ、本当にオールドリングかよ?口のなかで蕩けるんだけど?」
「あー、フライしたては持ち上げることも出来ないくらい柔らかいでしょ?口のなかでふわっと蕩けるんだ、…特別ですよ?」
普段の倍くらい目を見開いて感動してるらしい人へ恩着せがましく言ってみる。
いつものようにふんと鼻をならし何でもないように返されるかと思いきや、
「特別、…ん、ホントに特別だ。こんなウマイの初めて食ったよ。」
そう言ってふわりと笑ったその人の今まで見たことのない笑顔に思わず見入ってしまう。




「ず、ずるい、っ、ユノさん、」
「は、…何が?」




だってズルいじゃないか。
傲慢で冷徹男だと思っていたのに、今さらこんな笑顔を見せてくるなんて。








なぜか悔しくて、ギュッと奥歯を噛みしめ目をそらし、これ以上ペースを崩されるのは堪らないと製造に没頭した。
そしてユノさんもコホンとひとつ咳払いをして居心地悪そうにシンクにたまった洗い物へ手を伸ばす。
本当なら製造の流れのなかに洗い物も含まれていて、フライしながら使用済みのボウルを洗って水分をきってる間に次のドーナツのミックス粉を計量するのだ。
ゆっくり洗われてはペースが崩れるけど、でも僕はなにも言わなかった。
水道の音で僕の意味不明な心音を誤魔化してほしくて、そしてめいいっぱい捻られた水道の水でこのおかしな雰囲気を洗い流してほしかった。













「…おはようございます。」




しばらくして学生アルバイトのジウがやってきて、いつものように厨房を覗き挨拶をする。
今朝は見慣れない男性に驚いたようだが本社の社員がヘルプで来ているとでも思ったのか特に何か言うでもなく更衣室へ入っていった。



「こんな早朝から若い女の子を雇ってるのか?」
そう聞いてきたのはユノさん。
「…どういう意味ですか?」
さりげなく言ったつもりかもしれないが、言葉にトゲが含まれていて感じ悪いんだよ。
「いや、早朝の製造にあんな若い子が来るとは思わなかった。しかも可愛い。シム店長もやっぱり男だなと思っただけだ。」



その言い方にカチンときた。
なんだよ、それじゃあまるで僕が公私混同してるみたいじゃないか。
ジウは医療系の専門学校へ通う成人したばかりの子で、選んだわけじゃないけど清楚で可愛い子だった。
「彼女は家庭の事情で自分で学費を払いながら専門学校へ通ってるんです。知ってます?医療系の専門学校はかなり忙しいんですよ。そのなかで時給のいい早朝バイトをしながら学校へ通ってる。新聞配達より安全で雨風もしのげるし、学校が休みの日は昼間でも働けるからと僕が勧めました。決して可愛いからという理由ではありません。」




どうだ、一気に言ってやった。
ピシャリと言い切った僕へユノさんは少し驚いたようにしている。
おそらく冗談半分のつもりだったのだろうが、すみませんね、冗談が通じなくて。




「ついでに言うと駅前のこの店は車を持たない学生達には大切なアルバイト先なんです。もちろん遊ぶ金欲しさの学生もいますがジウのような子もいる。店の存続は彼女達の為でもあるんです。」




これまでの穏やかな雰囲気を一掃するような乾いた空気。
僕はそれに触れて少しだけ安堵していた。
僕とユノさんはこうでなくちゃいけない。
雇う側と雇われる側こそ馴れ合いは無用なのだ。













*********************

 

おはようございます、えりんぎです。


待ちに待ったライブ初日ですよヽ(〃∀〃)ノ
すでに札幌入りされてる方。
今日、札幌へ行かれる方。
お留守番組の私達のぶんもたくさんの愛を届けてきてくださいね!


私も、日経エンタでほんの少し漏らされた内容の答え合わせを楽しみに、想いは札幌ドームです(*´-`)









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